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負けるが勝ち。他人にいらいらしない方法。

私は毎日電車に乗って会社に通勤している。


毎日決まった時間に家を出て、毎日決まった時間の電車に乗る。

自分が乗る電車の1本前の電車が出発する頃の時間に駅のプラットホームに着くようにしている。そうすれば、自分が乗る電車に一番に乗れるからだ。


電車に乗るために朝から鬼の形相で走っている人や、電車のドアに挟まってでも電車に乗ろうとする人を横目に、

あと3分家を早く出れなかったのかしら。と思っている。


そんな余裕を持って優雅に通勤する私を、怒り狂わせる人がいる。


それが、一番に並んでいた私を差し置いて先に電車に乗ろうとする人だ。


電車の扉の前に2列で並んで待ち、扉が開いて、降りる人が全員降りた後に扉の左右から電車に乗り込んで行く。2列に並んでいるということは、先頭にいるのは2人なのだが、私は自分が列の先頭にいたとしても、隣の列の先頭の人が先に並んでいたら、その人が電車に乗ってから乗り込むようにしている。


それがマナーってもんだろ。


がしかし、私が1番手に並んでいたにもかかわらず2番手に並んでいた人が先に電車に乗り込もうとすることがあるのだ。


しかも、まだ降りる人がいるというのに。


許せない。


そんなとき私は、善良な市民を代表してそのものに対して制裁を加える。


その人が電車に乗り込むやいなや私も乗り込み、しれっと靴のかかとを踏んづけてやるのだ。


ああ、靴がっ


と思ってその人が振り返ったころにはもう私は電車の中の人混みに消えている。


その瞬間は、悪を懲らしめたり!と思うのだが

何度成敗しても悪人はいなくならない。


私の心が重くよどんでいくだけだった。



休日に電車に乗ったとき、私は仕事に行く朝と同様に一番のりで列に並んで電車を待っていた。


電車の扉が開いた瞬間に、後ろに並んでいた男の子が何食わぬ顔をして私を追い抜かして1番に電車に乗り込んだ。


いつもであれば鉄槌を下すところであるが

私はその瞬間、かわいい男の子を見てほほえんでいた。



そこで、私は気づいた。

悪人を完全に成敗するには、悪人を悪人と思う自分を成敗することだと。


1番目に並んでいた人より先に電車に乗り込むこと、まだ降りる人がいるのに電車に乗り込むこと、これらを悪だと思っていた自分をまず疑う。


彼らを悪人にしたてあげていたのは私だった。


電車の扉が開くなり乗り込もうとするサラリーマンのおじさんも、もしかしたら実は鉄オタで、一刻も早く電車に乗りたくてたまらなかったのかもしれない。


まだ降りる人がいるのに電車に乗り込もうとする、携帯ばかり見ているギャルも、もしかしたらその日は遠距離の彼氏に会うために気が急いでいたのかもしれない。


なんて、思うと

”お先にどうぞ”という気持ちになる。


負けるが勝ち


1番目に並んでいても2番目に電車に乗ってみる。

あえて譲ってみる。


私はもう、誰のかかとも踏んでない。




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