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読書記録 「かか」*宇佐見りん

「推し、燃ゆ」で芥川賞受賞した作家さん。
若くて才能溢れる作家さんがどんな世界を描くのか気になってデビュー作を読んでみた。

一言で言うと。
「宇佐見りん。。恐ろしい子!」

月影先生ならきっとそう言うと思う。笑

物語は金魚の描写からはじまる。
これが何のことなのか、
そして、この物語に流れる不穏な予感に
ここで吸い込まれていく。
ひらがなを多用し、
かか弁という、
主人公の母が作り出した独特の言葉たちが
読みづらくも独特の世界観を醸し出している。

うーちゃんと言う女の子が弟のみっくんに語りかける形で物語は進む。
共依存の世界。母と娘。
愛しているけど、憎しみも込み上げる。
家族という狭い世界で苦しむうーちゃんが
ライトに繋がれるSNSの世界でだけ
自分でいられたけど
現実世界で、母であるかかに対しての感情が
重く重くのしかかってきたピークを迎え、
うーちゃんは旅に出て、
SNSの世界とも決別する。

かか弁で語られるうーちゃんの独白は
胸のあたりにべっとりと
血糊がつくようで苦しい。
ただ、この主人公の気持ちを
リアルに言語化するのにかか弁は必要だったのかもしれない。

読後感は重いが、
作者の創り出す世界に引き込まれる力がある。
この表現力とエネルギー。
どれだけの本を読み、
どれだけ思考を巡らせ、
言葉を紡ぎ、作り出したのだろう。

宇佐見りん、本当に恐ろしい子。

さて、推し、燃ゆもよもうかな。

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