置いてけぼりの世界②

しかし、流行を追うということはお金を使い続けること。

JKの私は部活にも入らず毎日アルバイトをし続けた。学校が終わったら喫茶店で働き、夜は家でコスメ紹介のブログを書く。一位の物を買い続けるため、周りから賞賛を得続けるため。全ての努力は繋がっていると思っていた。

「それじゃあミクちゃん、文化祭実行委員よろしくね」

周りから贈られる拍手が気持ちよくないのは初めてだ。なんでこんなことに。しかも男代表は

「あー、よろしく」

安藤!髪もぼさぼさ、ズボンしわくちゃ、猫背でいつもかったるそうにしている私と合わない男代表の安藤。

「私、バイトあるから居残り作業するつもりないからね」

センスがあるから選ばれた私と違って安藤は部活もバイトもしていないから放課後残れるってだけで推薦された。こういう大切なことは始めに言っておかないと。

「あれ、そんなこと言っちゃうんだ」
「どういう意味よ」
「みんなに期待されたんだから応えないとまずいんじゃない?」

悪意を含んだ笑みを感じる。こいつ性格も悪そう。

「手を抜くつもりはない。でも、余計な時間はかけたくないの」
「欲張りだなあ」

ムカつく…!ため息交じりに言ってくるし、いちいち癪に障るのよね。あー、だめだめ。

「文化祭でやるコンセプトカフェ、案考えてくるから明日はお互いその発表ね」
「はーい」

合わない相手とは一緒にいる時間を減らす。これに限る!私はバイト先がカフェだから、店をそのまま真似すればいいわ。

携帯を開いて昨日投稿したブログの反応をチェックする。みんなが小さな画面に目を向けていて、私たちは同じ場所に存在してるのに見えない箱で区別されているようだった。

本当は他人に関心がない。

人と繋がりたいと思っているけれど、人間関係は求めていない。

心の奥底にあった無意識な感情が今回の企画案に出たんだと思う。

「なんか、ミクちゃんの案はテンプレって感じ」

1番を選んだはずなのに、
ネットの世界で調べれば、可愛いもすごいも約束されているはずなのに...

「安藤くんの案がいいと思うな」
「私も」
「やったことなくて面白そうだよな!」

どうして認められないの??

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