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小さなコミュニティで抜きん出た才能

「東大行ったら大したことない」

 ある日、わたしは身近な人間にこう言われた。

 わたしは自信家である。それは自分でもわかっている。どれほど自信家かと聞かれると、「自分って天才じゃね?」なんて思うくらいには。

 そもそもわたしの家族自体が自信家の集まりで、自称天才の集まりである。それが本気か冗談かはさておき、そんな家庭で育った。

 たくさん褒められた。褒められることが大好きだった。褒めてもらうために勉強をしていた。

「上には上がいる」

 この考えは常に持っていた。知っていた。上がいることを。でも深く考えていなかった。

 今情報系の学校に通っている。パソコンを使った授業が多い。その学校でわたしは先生によく褒めてもらえる。理由はすぐ終わるから。他にできる子だっているけど、その子は別のクラス。クラスで1番な自信はある。

 褒めてもらおうと身近な人に話した。

「今日褒めてもらった!早くできたから!」
「へぇ〜。でも東大行ったら大したことないよ」

 褒めてもらうために話したからその返答は正直嬉しくなかった。そんなの知ってるって思った。東大なんて本当の天才の集まり。わたしは昔から小さなコミュニティでのできる子。大きなコミュニティに出たら大したことない。

 でもそんなわたしにも印象に残っている言葉がある。

「できることには変わりないから、それはあなたの特技だよ」

 「外に出たら大したことない」と誰かに言った時、その誰かがこう返してくれたのだ。この言葉を聞いた時、自分はできる子だと思っていいんだ……となった。

 わたしのタイピングもカメラも、大きな世界ではまだまだ素人だけど、小さな世界では褒めてもらえる。だからできない子じゃない。

あなたの他人から褒めてもらえるものは十分特技です。

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