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珈琲店タラーレンの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を

"目を細めて挽きたての豆の香りを嗅ぐ。うっとりしたその表情にドキドキしていると、彼女は僕にふわりと微笑んだ。『その謎、たいへんよく挽けました』"2012年発刊の本書は第10回"このミス"隠し玉(編集部推薦)にして、第1回京都本大賞受賞の珈琲店を舞台にした日常謎ミステリ人気作。

個人的には人気シリーズとして気になっていた事から、今回ようやく手にとりました。

そんな本書は京都に住む珈琲好きの主人公の"アオヤマ"が恋人と喧嘩別れした後、迷い込むように訪れた珈琲店タラーレン。そこで出会った理想の珈琲、魅力的な女性バリスタの切間美星(きりまみほし)と共に、店に持ち込まれる謎を軽妙に解き明かしていくわけですが。

まず、各章ごとに連続ドラマの様に繰り広げられる【主人公と美星の珈琲うんちく話】が良いですね。私自身はそんなに珈琲に詳しいわけではないですが、読んでいくうちに【喫茶店に珈琲でもいこうかな】と自然に思わされる魅力があります。

また本書はミステリといってもバダバタと【殺人事件が起きることはなく】傘を間違って持って帰られたり、彼氏のうわき調査をしたりといった『日常の謎』を解き明かしていくわけで。京都の風景を頭に浮かべながら気楽に楽しめるのも良かったです。シリーズ化されているみたいですが。一冊目の本書もきれいにまとまった終わり方をしているのも好印象。

珈琲好きな方、日常ミステリ、京都好きな方にもオススメ。

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