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ニッポンを蝕む全体主義

"本書で扱うのは、全体主義が発生する経緯(構造)と、それを醸成する大衆のメンタリティについてです。要するに『体質』の部分です。"2022年発刊の本書は「時代への警告」シリーズで知られる著者が現代日本社会に警鐘を鳴らす刺激的な一冊。

個人的には著者の本は未読でしたが。タイトルにひかれて手にとりました。

さて、そんな本書は"個人より全体を優先させる"全体主義を【近代以降の病】として、近代の発生や個人概念"大衆"の誕生から始まり【全体主義台頭の歴史】をオルテガ・イ・ガセットやマイケル・オークショット、ハンナアレント、エーリッヒ・フロムやマルティン・ルターに夏目漱石、そして著者の研究分野てもあったフリードリヒ・ニーチェなどを引用しながら前半の四章までで解説した後、残りの第五章、第六章は『維新の会』や橋下徹、安倍晋三といった【エセ保守への批判】を行なっているのですが。

個人的には特に前半。前述した人物たちで本書で紹介される【著作の多くが既読だった】こともあって、復習的に大衆や国家といった近代以降の西洋文明の発明、それが孕む【問題点としての全体主義】という病への理解がわかりやすく進み面白かった。

一方で、後半の【維新の会や安倍晋三への容赦ない批判】は、過去にも日本の政治家や著名人を「バカ」と書いてきた著者らしい書き振りだと思われるのですが。内容はともかくタイトルから特定の政治家批判への期待より『全体主義』の方にイメージをもっていた私には【些か突然感があって】良くも悪くも驚いてしまった。

タイトル通り『全体主義』が気になっている方へ。また維新の会や安倍晋三に色々思っている方にもオススメ。

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