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書店ガール

"『棚から五ミリくらい本が出ているのが理想だ。そうすると、背が並んで綺麗に見えるし、本の背の角のところに指を引っかけて取り出しやすいだろう?』自分が書店で働き始めた頃、最初に先輩に教えられたことだ"2012年発刊、本書はドラマ化もされた女性書店員コンビによるお仕事エンタメ小説、シリーズ第一弾。

個人的には渡辺麻友、稲森いずみ主演でドラマ化された際に、気になっていた事もあり手にとってみました。

さて、そんな本書は吉祥寺にある書店のアラフォー副店長"カリスマ書店員"の理子、そして正社員ではあるが裕福なコネ入社、仕事に対する真摯さはあるも協調性がなく映っている亜紀の『立場、性格、境遇の違う二人』が誤解も重なり衝突を重ねるも、働く書店の存続を目指して一時休戦、工夫を凝らしたブックフェアや人気作家のサイン会といった業績向上の為の店舗改善策を次々と実行していくのですが。

まず、書店員経験もなく(これからもない予定)"自分なりの本屋"を手探りで試行錯誤を重ねながら運営している立場としては、中堅ブックチェーン(ペガサス書房)の第一号店を舞台に、また主人公たちの目線を通じて【書店、出版業界話】が紹介されるのが、ロールプレイング的に書店員になった気分になることが出来て、単純に楽しかった。

また、全体のストーリーとしては『相棒もの』としては良くも悪くも【目新しさはなく、オーソドックス、王道的な内容】になっていますが。家族や周囲の人間関係も含めて【主人公たち二人の様子が丁寧に描写されている】ので、中盤からの店舗改善の様子こそ駆け足気味に感じるも、自然に感情移入できる読後感でした。

現役、元書店員の方はもちろん。お仕事エンタメ好き、気軽に読める本を探す人にもオススメ。

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