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「生きづらさ」に負けない力~     日本で生きづらさを感じている女の子に寄り添いたい

この春、オープンして3年が過ぎたわたカフェには、多くの女の子たちの合格や入社の知らせが届き、スタッフ一同、心を躍らせました。
知らせてくれた女の子たちは一人一人みな違った「生きづらさ」を抱えています。
私たち支援する側からみると、わたカフェに来る女の子たちの「生きづらさ」は、彼女たちだけの責任ではないことは明白です。
しかし、彼女たちはうまく生きられない自分を責め、自己肯定感を持てずにいます。

「生きづらさ」という言葉を目にすることが多くなった昨今ですが、
文献(*)によれば「生きづらさ」という言葉は1980年代後半から散見されるようになり、2000年以降から現在に至るまで一挙に増えたと指摘されています。
「生きづらさ」は自分の努力だけではどうにもならない問題を表すときに用いられることが多く、それだけ今の社会や環境が個人の努力だけでは変えられない圧倒的なものに脅かされていることを示しているように感じます。

昨年春、ほとんど準備ができないまま受験をし、全て不合格になり、
死ぬことしか考えられないと相談に来た女の子がいました。
家族からの心無い言葉に深く傷つき、苦しんでいました。
こちらから見れば彼女に非はなく、環境的な不運が重なっていたのですが、
自分を強く責め、いなくなりたいと言っていました。
わたカフェで何度も相談を重ね、家族のためではなく、自分の人生のために再度受験することを話し合いました。
途中、転居や家族の入院など思うように時間が取れないなか、わたカフェや自宅で勉強に打ち込み、今年見事に合格を果たしました。
合格を知らせてくれた時の晴れやかな顔は忘れられません。

わたカフェの様子

生きづらい環境でもなんとか力を出して前に進みたいと考える若者たちが大勢います。
そんな子たちの背中をそっと見守り、応援していくことが私たちの役割だと思っています。
この春、新生活を迎える彼女たちの更なる飛躍を心から願っています。

(*)藤川奈月「『生きづらさ』を論じる前にー『生きづらさ』という言葉の日常語的系譜」北海道大学大学院教育学研究院紀要138号
(*)事例は個人が特定されないよう変更しています。

プラン・インターナショナル 臨床心理士 橋本

「女の子のための居場所・相談」プロジェクト
https://www.plan-international.jp/kifu/girls/10514.html