見出し画像

ピラミッドを作ったのは宇宙人? - 古代エジプトの精密な天文観測〜 「河江肖剰の古代エジプト」より


はじめに

ピラミッドは宇宙人によって作られたのだ!
こんな話をみなさんは聞いたことがありませんか?

ピラミッドがあまりにも正確に作られているためにそのようなことを言われるようになったのですが、果たして古代エジプト人はどのようにしてあの美しい形のピラミッドをつくったのでしょうか?

この動画では、エジプト考古学者である河江肖剰先生が古代エジプトのピラミッドの精度について詳しく解説されています。

古代の北極星: トゥバンの軌道と真北の発見

古代エジプト人は、何千年も前から星を観測していました。その中でも特に重要なのが北極星で、現代ではポラリスと呼ばれている星です。しかし、古代エジプト時代の北極星はトゥバンというポラリスとはまた別の星が北極星の役割を担っていました。

トゥバンの観測から真北を測定

このトゥバンは観察すると円を描いていることから、その円の真ん中が真の北であると判断されました。これを発見したのは古代エジプト人自身でしたが、その測定方法は現代にまで伝わっていません。しかし、古代エジプト人が使用した一部の器具が現代まで残っており、これを基に測定方法を解明しようという試みが行われています。

星空の観測: 神秘的な器具とピラミッド内部の観測点

古代エジプト人が使用した器具の中で現代まで残っているものはほとんどありませんが、その中でも重要な役割を果たしていたと言われるのが錘とヒモになっています。錘とヒモは、水平線や垂直線を確認するための道具として使用されていました。これらを使うことで、彼らは精密な計測を行い、建築や天体観測に活用していたと考えられているのです。

錘とヒモが精密な計測を行うのに重要な役割を担っていた

またピラミッドの内部には、多くの通気口という穴があります。これらはピラミッドの建設に関与した人々が通気のために開けた穴とも考えられますが、実はこれらの穴から見ると古代の北極星トゥバンやシリウス、オリオン座といった星空が見えることが発見されました。
こういったことから、古代エジプト人は何かしらの測定方法を用いて星空の観測をしていたということは間違いないようです。

古代エジプトの天文観測の精度:精密な角度と建築技術

古代エジプト人の天文観測の精度がどれほど高いかは、現代の実験考古学者であるGlen Dash氏による研究で明らかにされました。
例えば、ピラミッドの穴から見てトゥバンの位置を計測したところ、その誤差は1度以下という驚くべき結果が得られました。さらに、これらの計測は肉眼のみで行われ、高精度の測定器具は一切使用されていませんでした。この結果から、古代エジプト人が現代と同等の計測精度を持っていた可能性が示唆されています。

驚異的な計測精度を持っていた古代エジプトの天文観測

さいごに

古代エジプト人の知識と技術は、今なお私たちを驚かせています。特にピラミッド建設に関わる精密な計測技術は、それこそ宇宙人の仕業だと考えてしまう程に彼らの高度な知識と技術力を物語っていました。そのような精密な技術の一部は、天文観測による精密な角度計測によって可能になっていたのです。

今回の内容についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの河江肖剰先生の動画「都市伝説を考古学者が斬る!ピラミッドを作ったのは宇宙人?」をご覧ください。今回学んだ内容を、より深く理解することができるでしょう。

河江 肖剰(かわえ ゆきのり)
エジプト考古学者/名古屋大学高等研究院准教授/米ナショナルジオグラフィック協会のエクスプローラー。19歳でエジプトに渡り、1992年から2008年までカイロ在住。カイロ・アメリカン大学エジプト学科を卒業後、名古屋大学で歴史学の博士号を取得。ピラミッド研究の第一人者であるアメリカ人考古学者マーク・レーナー博士のチームに参画し、ギザの発掘調査に10年以上従事。2016年ナショナルジオグラフィック協会のエマージング・エクスプローラーに選出。ピラミッドの3D計測など、最新技術を用いた斬新なアプローチでエジプト文明の研究調査に取り組んでいる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?