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【目指せソムリエ#33】東西南北に広がる個性に注目!チリ

はじめに

プレソムリエの皆さん、こんにちは!もう受験期間も3週間ほどとなってしまいました。今週、来週あたりに1度目の受験を受けられる方も多いのではないでしょうか

今回の学習範囲はチリです。チリのワインはワインショップだけでなくスーパーやコンビニで見かける事も多く、安くて美味しいワイン!のイメージが強いですよね。そしてカベルネ・ソーヴィニョンのようなしっかりとしたワインのイメージが強いのでは?と思います。

カベルネ・ソーヴィニョンはチリの中でも特に栽培面積が多いですが、南北に長く、また東西でも地形の特徴が異なるチリでは、バラエティの豊富なワインがたくさん生み出されています!

ちなみに、私は大学の卒業旅行と称して1ヶ月半ほど南米に滞在した事があるのですが、チリは人も優しく食べ物もワインも美味しくて最高でした!毎日早起きしてサンティアゴの魚市場で白ワインに合いそうな魚介を物色していました。

サンティアゴの中心街

チリの概要

チリの国土は南北に細長い国で、北はアタカマ砂漠、南はパタゴニアの南氷洋、東はアンデス山脈、西は太平洋に面しています。アンデス山脈は6,000m級の山々が連なり、太平洋は南氷洋から北へ向かってフンボルト海流(寒流)が流れます。

アンデス山脈と海岸山脈の中間部セントラル・ヴァレーが広い平地となっていて、典型的な地中海性気候です。

ブドウの生育期間を通じて乾燥状態が続くため、ボトリティスやベト病など菌類の病気に罹らず、フィロキセラの被害もありません。(秋雨の心配もありません) 

一方、チリではアンデスの雪解け水を利用し灌漑を行っています。

伝統的な方法で雪解け水を貯めて(又は川から引き込む)畝間に流す「ナチュラル・イリゲーション」と、アンデスからの水の供給量が不足している地域(カサブランカ・ ヴァレーなど)で採用されている井戸水を利用する「ドリップ・イリゲーション(点滴灌漑)」がありますが、近年、自然に任せて潅水しない「ドライ・ファーミング」も増えてきました。

日本におけるチリワインの輸入量は、2020年までは国別輸入量第1位を維持していたのですが、2021年はコンテナ不足などが起因し、フランスに次ぐ2位となりました。

地理ワインの輸入増加が始まったのは2007年です。きっかけとなったのは、二国間で発効された経済連携協定に基づく関税率の段階的なていげん逓減措置で、2019年からチリワインにかかる関税はゼロになっています。協定が結ばれた時は連日ニュースで取り上げられていましたね!

チリの歴史

16世紀中頃、スペインのカトリック伝道者が聖餐用ワインを造るため、パイス(チリに初めて持ち込まれたブドウ品種)を植えました。フランシスコ・ デ・アギーレのブドウ畑が最初のものとされます。

1818年にチリはスペインから独立しました。鉱物資源をもとに経済成長し、この頃チリには続々と富豪が誕生しました。

1830年にはフランスから招聘されたクロード・ゲイが、ヨーロッパからカベルネ・ソーヴィニヨンなどの苗木を輸入し、チリ政府はサンティアゴに開設した農事試験場「キンタ・ノルマル・デ・アグリクルトゥラ」の実験畑にそれらを植えました。

1852年にはクロード・ゲイの試験栽培に触発されたオチャガビアが渡欧し、フランスから大量にボルドー系の苗木を輸入し、マイポ・ヴァレーのタラガンテに植えました。これらの品種には、今ではチリを代表する黒ブドウ品種のひとつ、カルメネールも含まれています。

近年では、クール・クライメット(冷涼な栽培環境)を越えた、これ以上の条件ではブドウ栽培ができない究極の栽培環境(エクストリーム・ウェザー、アルティメット・クライメット)を求める栽培家が増えています。なんか少年漫画に出てくる必殺技みたいな名前ですね。

チリのブドウ品種

チリで最も栽培されているブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニョンで、チリの栽培面積の約3割を占めています。

カルメネールは19世紀半ばにボルドーからカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどと一緒に持ち込まれた。ボルドーでは栽培が途絶えてしまった品種で、すっかりチリのメジャー品種として定着しています!

チリのワイン法

チリワインの定義

チリワインは、ヴィティス・ヴィニフェラのブドウ果汁を発酵させたものに限ります。

また、ワインの製造工程でアルコール、ショ糖などの糖類、人工甘味料を使用するのはNGで、ブドウ果汁の糖分だけで造らなければならなりません!また、ワインのアルコール分は11.5%以上でなければならないというルールもあります。

スパークリングワインのEspumoso エスプモーソを製造する時に限っては、二次発酵を促す「リコル・デ・ティラヘ」にショ糖、最終的な糖分調整「リコル・デ・エクスペディシオン」の時にショ糖、ワイン、ブランデーなどのスピリッツを加えることができます。

D.O.ワイン

チリのワインの原産地呼称はDenominación de Origen(D.O.)と呼ばれます。
州はさらに県(Provincia プロビンシア)に分割され、県はさらに市町村(Comunas コムナス)に分けられます。細分化されたD.O.がありますが、栽培範囲を表しているのみのシンプルな仕組みです。

フランスのA.O.C.のような収穫量の制限や栽培品種の特定、熟成期間などの醸造法等に関する規制はないので覚えやすいですね!

◆ラベル表示の義務記載事項
・ワインの種類(赤ワイン、白ワインなど)
・製造者(瓶詰者)名と所在地 ・ワインの容量
・アルコール含有量
・原産国がチリであることの分かる表示

◆ラベル表示の任意記載事項
チリのD.O. ワインには特別な品質表示を加えることができます。

また、D.O.、ブドウ品種、収穫年はその表示のものを75%以上満たしていれば記載する事が出来ます。他国よりも少し緩めかな?と思いきや、輸出の場合は85%以上でないといけないようです。

新しい原産地呼称表示

チリでは2011年より従来の原産地呼称に二次的産地表示を付け加える事が可能となりました。

新しい原産地呼称表示は3つあり、海岸に面した畑をコスタ(コースタル)、海岸山脈とアンデス山脈の間である中央部の平地をエントレ・コルディリェラス(2つの山脈の間という意味)、アンデス山脈側の麓の斜面はアンデスと表示する事が出来るようになりました。

ワイン生産地域

チリの国土は長さは1,400kmにも及ぶため、気候条件や土壌に大きな違いがあります。

今年の教本には、ケッペンの気候区分についての記述が追記されました。
それぞれの区分には小気候や微気候が存在していたり、温暖化の影響もあって厳密に区分する事は難しいのですが、目安として分けると、下記のように4つのタイプに区分されます。

チリのワイン産地は大きく6つのリージョンに分けられ、それぞれにサブ・リージョンが存在します。それぞれのサブ・リージョンがどこに属すものがしっかり覚えましょう!

また、この他にセカノ・インテリオルという特異なD.O.があります。セカノ・インテリオルはクリコ、マウレ、イタタ、ビオビオ非灌漑地で栽培したパイスとサンソーに適用される呼称で、4地域のブドウは単独でもブレンドしてもよい事になっています。

そして、チリでは新しい原産地呼称表示が採用されています。
チリのワイン産地は大きく6つのリージョンに分けられると前述しましたが、チリの気候は南北の区分のみで説明する事はできません。

チリの西側は太平洋に面しており、東側のアルゼンチンとの国境にはアンデス山脈がそびえており、それらによる影響もチリのテロワールを形成する大きな要因となっています。

海岸に面した畑をコスタ(コースタル)、海岸山地とアンデス山脈の間の中央部の平地をエントレ・コルディリェラス、アンデス山脈側の斜面であるヒルサイドをアンデスと呼びます。

今後はこの改訂に沿って、「D.O.マイポ・アンデス」や「D.O.ラペル・コスタ」などとラベル表記されたボトルが市場に出てくることになるそうです。

おわりに

皆さん、学習はひととおり終えましたか?

このnoteもとっくに全主要国が終わっている予定だったのですが、全然追いついていなくてお恥ずかしいです(^^;)

受験日までに少しでも多くの情報を叩き込みましょうね!!悔いの残らない受験にしましょう♪

プルールではチリのワインをはじめ、世界各国のワインを取り扱っています。

オンラインショップにはほんの一部のみの掲載なので、ワインをご希望の方はお気軽にこちらまでご相談ください☆
また、よく見直しをしているつもりなのですが、noteの間違いに気がついた方はこっそり教えて頂けるととても助かりますm(_ _)m

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