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生き物とのつき合い方を考える

どうも、タジです。

タイトルのイラストは海ちゃんが5歳のときに描いた蝶なのですが、見て描いたとはいえ中々のでき栄えではないでしょうか?

海ちゃんは蝶が大好きで、見つけるやいなや猫のように追いかけて素手でつかまえてきます!

私も子どもの頃はよく虫をつかまえたものですが、大人になってからはすっかりダメになりました。

さわる機会が減ったことで「噛まれる!」という防衛本能が働くようになったからなのか、「汚れる!」という衛生意識が強くなったからなのか…。

でも、明らかに大人になってから芽生えたのは「かわいそう」という感情です。

たとえば海ちゃんがにぎりしめた蝶は、ふたたび華麗に空を舞うことはありません。
それを見ると

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と思います。

カブトムシを虫かごに入れて育てる光景は夏の風物詩ですが、カブトムシからしてみれば迷惑な話ですよね。

世界的に見ても、日本の昆虫採集文化は異常なようです。

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アメリカに来て思うことは、まず、アメリカ人たちは、あまり虫には興味がないと言うことである。いや、むしろ世界的に見れば、この方が普通なのかもしれない。よく考えてみると、日本はどちらかと言うと異常だ。
引用|アメリカな虫事情

とはいえ、子どもは好奇心の塊。

身近なものに興味をもち、「知りたい」と思う感性は教育上のばしていきたい部分でもあるので悩ましいですが、そこは図鑑にお任せすることにして、生き物からは命の尊さや生態系という概念を学んでほしいと考えています。

ゴキブリはなぜ殺されるのか?

とつぜんですが、もしあなたの家にゴキブリが現れたら殺しますか?
それとも、捕まえて外に逃がしてあげますか?

私は迷わず殺します。
外に逃がしても、また入ってきたら気持ち悪いからです。

では、家にホタルが迷い込んできたら殺しますか?
それとも、捕まえて外に逃がしてあげますか?

私なら外に逃がしてあげます。
ホタルはキレイですし、殺したらかわいそうだと瞬間的に感じるからです。

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では、家に光るゴキブリが迷い込んできたら殺しますか?

私ならもしかするとホタルと勘違いしてキレイだと喜び、外に逃がしてあげるかもしれません。

実際にこの実験を行ったのが、若き日の落合陽一さん。

この蚊帳の中に入った人たちは、最初は嫌がりながらもゴキブリに触ることに慣れていった。
引用|Yoichi Ochiai at TED×Tokyoyz 2011

私たちは商業的にゴキブリを殺すCMを見て、「ゴキブリを見たら殺す」というマインドセットができあがったのかもしれない。
そう、仮説しています。

ホタルとゴキブリの命に、どれほどの違いがあるのだろうか?
引用|Yoichi Ochiai at TED×Tokyoyz 2011

この感性が、私を含め欠如している人がほとんどなのではないでしょうか。

必要な殺生

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と教わる一方で、むやみじゃない殺生はあるのか考えてみました。

①食用

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食欲は人類が生まれ持つ生存本能であり、そのために生き物を屠殺する行為は、弱肉強食という自然界の掟そのものです。
人間だってクマに殺されて食べられるリスクは背負っていますし、今まさにコロナウィルスという小さな生き物に生命を脅かされています。

ただし現代の日本人は男性で3割、女性で2割が肥満と言われ、アメリカではなんと7割が太り過ぎ、4割が深刻な病気を併発する肥満症だと言うのですから、誰がどう考えても食べすぎですよね。

消費過剰になった結果、命を粗末に扱う工場式農場が増えたり、生態系を犯し、種を滅ぼす事態に発展しています。

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さらに牛のメタンガスは非常に強い温室効果があり、環境問題の観点でも大きな問題を抱えています。

二酸化炭素の86倍も強力だとされる温室効果ガスのメタンガスは、世界全体の排出量のうち70%が、肉用牛が放出するものだという。
専門家の中には、気候を巡る破滅的な状況を回避するには、世界の赤身肉の消費量を90%削減する必要があると指摘する人たちもいる。
引用|Forbes(2021/4/7記事)

食用による屠殺が完全になくなる世界は想像できませんが、植物由来代替肉を選択するなど、消費者一人ひとりの心がけ次第で無駄な殺生は確実に減っていくはずです。

②動物実験

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医療研究用ラットなどがその典型だと思いますが、昨今のワクチン開発もこの小さな動物の命が数多く犠牲になっていることを忘れてはいけません。

こちらもやはり、種として強者である人間が生きていくために必要な殺生だと言えます。

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本当にそうでしょうか?

欧米では化粧品や日用品の分野でクルエルティフリー(動物実験ゼロ)をうたう企業が増えてきており、いち消費者としてこのような企業の商品を購入、応援することで動物実験の数を減らすことだってできます。

オルガノイドと呼ばれるミニ心臓がラットの代わりになる可能性があるということも言われていて、テクノロジーの進化に伴い動物実験はレガシーになっていくことでしょう。

ちなみに宇宙開発でも様々な生き物が犠牲になっています。

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日本では未公開ですが、そういった生き物の一生を描いたドキュメンタリー映画もあるようです。

宇宙開発の中には医薬品の開発や気象衛生など、人命に関わる目的のものもあります。

しかし、もし昨今流行りの富を持て余した大富豪たちの道楽である宇宙旅行のため尊い命が犠牲になっていたとしたら、とても許されることではありませんよね。

害虫

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農作物や家畜に危害を加える害虫、木造住宅を侵食するシロアリ、人命を脅かすスズメバチや感染症の原因となる蚊を駆除することは、いずれも強者である人間が生きるために必要な殺生だと考えることができます。

こちらもテクノロジーで解決しているのかと思い調べてみましたが、あまりヒットしませんでした。

おそらく被害のケース、害虫の種類が多種多様なので、テクノロジーの開発コストを回収するのが難しいからではないかと推測します。
一言で言うと「殺すほうが安くて手っ取り早い」

よって、テクノロジーで解決する方向には今後も進んでいかないでしょう。

ちなみに冒頭ででてきたゴキブリは、害虫としては極めて害が少ない部類のようです。

人間の都合で生きる生き物

次に、人間の都合によって生きている生き物について考えたいと思います。

①ペット

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アメリカの受刑者に犬を飼育させたところ再犯率がゼロになったというドキュメンタリー番組を見たことがあります。

調べたらすぐにヒットしました。

私も昔実家で猫を飼っていたので、ペットの持つ癒やしの力はよく分かっています。

が、人間を癒やすために動物が商品として売られていることが果たして正常なことなのかは考える余地があるでしょう。

例えば、妻方の実家ではウサギを飼っています。

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購入当時はリビングに放し飼いにして、海ちゃんもよろこんで遊んでいたのですが、陸くんが生まれてからは「あぶないから」「床が汚れるから」という理由で、ずっと小さなカゴの中に入れられたまま。
忘れ去られて、ほとんど誰からも相手にされていません。

その姿を見るたびに

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と悲しい気持ちになります。

とはいえ、ペットショップで売られている動物は売られないからと言って野生にかえるわけでもなく、保護先が見つからなければ殺処分されるだけ。

特に近年はアクセサリー感覚で購入する買い主が増加し、多くの弊害を生んでいます。

生後約2カ月というのは、動物の発育にとって重要な時期にあたる。
この期間は、親や兄弟たちとの間で社会性を身に付ける機会(社会化期)としても重要な時期とされる。
ところが、日本では「小さい=可愛い」ということで、この時期の子犬や子猫の人気が根強く続いている。このことが、早期の親離れと販売に拍車をかけてきた。また同じ理由から、体格の小さい個体を増やすため、身体の小さな親を掛け合わせ続けるという無理な繁殖も横行するようになった。
引用|Forbes(2021/8/20記事)

ペットショップに並ぶ小さな子犬や子猫を見て「かわいい」と思う感情は抑えようもないことですし、私も子猫が大好きなので分かります。

しかし、そのかわいさとは裏腹に、まだ幼くして親から引き離された動物たちは、短期間で売られなければ殺されるという残酷な未来を背負っているという現実から目を背けてはいけません。

こちらの記事を見て、ますますそのことを考えさせられました。

コメント欄には留学生からこのようなコメントが寄せられています。

日本に来てびっくりしたことはなんですかって聞かれる時に、ペットの売買が真っ先に思い浮かべちゃいます。別に日本の特有ではないが、日本が僕の初めての外国なものです。猫の鳴き声で気を取られ、店に入っていたら、ペットの用具かと思いきや檻の中のペット自体が売られているのが衝撃すぎて、ポカンとなりました。あの渋谷の夜多分一生忘れませんw
引用|Quora

海外在住の日本人からのコメントです。

日本って未だペットショップで動物売ってるんですか!?!?!?!!
言葉にならない怒りが込み上げて来ますね。。。世界中から動物園の動物の件などであれ程呆れられているのに、動物愛護の点ではまるで発展途上の第三世界の様ですね。。呆れて何も言えません‼️
引用|Quora

世界中のペットショップを調べたわけではありませんが、やはりあの光景が当たり前に思っている日本人は、感覚がマヒしているかも…。

狭いケージに閉じ込められたまま生産設備として扱われ、その能力が衰えるまでひたすら繁殖させ続けられる犬や猫たち。物と同じように市場で競りにかけられ、明るく照らされたショーケースで展示され、時に「不良在庫」として闇へと消えていく子犬や子猫たち。この繁殖から小売までの流通過程では、劣悪な飼育環境下に置かれるなどして、毎年、少なくとも2万4千匹前後の命が失われています。
他方で、減ったとはいえいまだに5万1495匹もの犬猫が全国の自治体で殺処分されています(2017年度、負傷動物を含む)。
引用|『「奴隷」になった犬、そして猫』

こういった背景もあり、日本の動物愛護管理法が改正され、2021年6月から数値規制(飼養管理基準の厳格化)幼齢犬猫の販売制限(8週齢規制)などの運用が開始されました。

ご興味がある方はぜひ調べてみてください。
これもまた、日本犬6種だけ規制の対象から一部外されているという業界の深い闇を抱えています。

現在、コロナ禍により在宅時間が増えたためペットブームが起きているそうですが、むしろ不買運動をおこすなりしてこういった生き物の命をないがしろにするようなビジネスモデルに声を上げるべきなのです。

②使役動物

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生がい者の生活を支える介助犬、災害や事件現場で嗅覚を用いて課題を解決に導く救助犬や警察犬など、人間のために働く生き物を使役動物と呼びます。

古くは馬車や田んぼを耕す牛や馬、伝書鳩など。

これらの生き物は、食用や売れ残りのペットのように短期間で消費されるものとは異なり、同じパートナーに一生を添いとげるまで大事にされるケースが多いです。

90歳になる義理の祖母は馬をつかって農業を営んでこられた方で、今でも敬意をはらって絶対に馬肉は食べません。

しかしながら、どんなに大事に扱っていようとも生き物には生き物の生き方があります。
馬が車やトラクターに代わったように、「本当に生き物でなければ務まらないのか?」という部分を常に問い続ける必要はあるはずです。

競馬の競走馬は最たるものかと思います。

馬主やジョッキー、はたまたそれを興行にして楽しむ人々、税収にする国のために働く馬たち。
怪我をして再起不能となれば殺処分される運命です。

考えれば考えるほど、命を冒涜している競馬が公営ギャンブルにしてまでなぜ守られているのかが理解できません。
もちろん競輪や競艇で代用可能で、今の時代ならオンラインゲーム・カジノで十分事足りるはずなのです。

③動物園や水族館の生き物

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個体保護や種の保存のために飼育されている生き物であればまだ理解できますが、いわゆる客寄せパンダのように見世物としてのみ飼育されている生き物はどうでしょうか?

元来、警戒心が強い野生動物が人間に取り囲まれる環境は相当なストレスなはずです。
また、すべての生き物にとって生息地と同様の環境が整えられているかどうかという部分も疑問が残ります。

世界から避難されているイルカショーが示すように、日本の動物園や水族館はアミューズメント要素が強く、莫大な購入、管理コストを考えると運営側の気持ちも分かりますが、とてもサスティナブルだとは言い難い。

将来的には教育研究施設としての機能だけが残り、アミューズメント機能はVRゴーグルをかけてサバンナの大自然をリアル体験するような形に変わっていくのではないかと思います。

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おわりに

もう20年以上も前のこと。
私の実家で、親猫と兄弟を失った生後まもない一匹の子猫を保護しました。

基本的には外に放し飼いにし、エサを食べるときや寝るときなど、自分の好きなタイミングで家の中を出入りし、自由気ままに17歳まで生きたミーちゃん。

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もし保護しなければこんなに長く生きられなかったでしょうし、みんなに愛されて幸せだったはず。こちらもたくさん幸せをいただきました。

しかし、それすらも、保護せず短命で終わるのが自然の摂理だったのかもしれません。
「かわいかったから保護した」という側面は否定できず、そのような人間の気まぐれで他の生き物の命をコントロールすべきではないからです。

今回のテーマは人によって見識が分かれる部分が多分にあると思いますが、常に「生き物の命を大切にする」という軸を持って、子どもたちと共に生き物とのつき合い方を考えていきたいと思います。

まずは毎食の「いただきます」を忘れずに。

この記事がみなさんの人生のヒントになれば幸いです。

それでは。

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