シナプスが繋がらねぇ

酒というものは不公平である。
人によって酔いやすさが異なり、一口飲んだら真っ赤っかな人もいれば、何杯飲んでも変わらず、ケロリとしている人もいる。

弱い人からしたら「たくさん飲めて楽しそうだなぁ」「飲み放題なんてもったいなくてできないよ」であるし、強い人からしたら「いくら飲んでも酔えないし、弱い人がうらやましい」「飲み放題2時間じゃ足んねーよ、時間延長するのもったいねー」であり、それぞれ隣の芝の青さを嘆いている。
人間とはそういったものなのである。

ちなみにおれは酒に弱い方で、たくさん飲むと頭が痛くなってしまうため、普段から用法容量を守り、適量を適切に飲むことを心がけている。
飲み進めると最初は顔が赤くなり、段々と黒ずんでいき、後に白くなり、最終的に青くなる。
色で大体のレベルがわかるので、おれと飲まれる際は気にかけていただけるとありがたい。
黒まではなんとかなると思われる。

また、今日は飲みすぎてるなという時は、必ずスポーツドリンクで水分補給をするようにしている。
ウコンも試したが自分にはこちらの方がプラシーボれるようで、ガバガバと飲むことで頭痛が軽減できているように感じる。

昔は「酒の後にスポーツドリンクを飲むとアルコールも一緒に吸収されてヤバい」と聞いていたが、飲んでヤバい状態になったことはない。
むしろ飲まないとヤバいので、おそらく過去にスポーツドリンクに恨みがあった者の風説だと思われる。

尚、過去の偉人が残したように、酒のチャンポンは本当にヤバい。
何種類か飲み変えていると、ほぼ確実に頭痛がアポ無しでこんにちはしてくる。
3種が腹の中で混ざり、塩酸と硝酸を混ぜるくらいヤバい化学反応が起こった結果なのだろう。

典型的サラリーボーイなので、1杯目はビールを頼む。
ビールを続けることもあるが、その後何杯目かでレモンサワーやハイボールに切り替える。
できるだけ2種類を守り、3種以上の酒を飲まないよう心がけている。

しかし、一緒に行った先輩が焼酎やワインをボトルで頼み出せばそれを「待ってました」とばかりに一緒に飲むことになる。
そのため、2杯目のオーダーは先輩よりも先にしてはいけない。
先輩が頼む動きを見つつ、己の動きを変えていく。
後の先で対処することで、危険な地雷原を進んでいくのである。

「好きな酒飲めばいいじゃん」と言っちゃう方もいるかと思うが、酒が好きなんじゃなくて誰かと飲み会をするのが好きなので、そんなこと言われるならジンジャエール飲むわとなってしまう。
以後、気をつけてほしい。

また2種であっても気をつけなければいけないのが日本酒と赤ワイン。
「日本人なら日本酒やろが」なんて言われるかもしれないが、次の日の頭痛率が以上に高いため、相当の覚悟が必要なのである。
わかりやすく言うと、中高生がコンビニでエロ本を買うレベルの覚悟が必要だ。
がんばって隣町までチャリンコを漕ぐ体力も必要になってくる。

また赤ワインは100%の確率で頭痛が来るキラーアルコールである。
子供の頃読んだ本に出てきた「ぶどう酒」なるものに憧れていた。
主人公も飲んでいて、ファンタみたいな甘くて美味しいモンかと想像していたが、実際に飲んだら甘くねぇ、すぐ酔う、頭いてぇとなった。
裏切りの書である。

唯一飲める赤ワインはイタリアのランブルスコくらい。
赤ワインに珍しいスパークリングで、言われてみればファンタ寄りかな?という感じで、3年に一回くらい飲みたくなる。

そんなほぼ本編な前段を終え、話を進めていきたいと思う。
久しぶりの先輩と飲んだのだが、その日は飲み放題を頼んでいた。
最初はビール、続いてはレモンサワーと基本に忠実なオールドスタイル布陣である。
大体適量の4杯くらい飲んで、いやーあっという間ですねーなどと話した。

しかし次の瞬間、先輩がお店の人に「全員にアレ」と頼んだ。
「アレ…?」
指示代名詞は隠語の王様。
ほぼヤバいから代名詞を使っていると言っても過言ではない。
ヤバい話は大体が「アレをアレしとくね」と言えば通じるのだ。

出てきたのは、人数分のショットグラス、炭酸、テキーラのボトル。
グラスの中に注いで、テーブルにトンと叩いて一気に飲む通称「ショットガン」である。
ゲームのバイオハザードでは頼りになるが、まさか自分の口内にぶち込まれるとなると話は違う。

ちなみに韓国では、同じようにショットグラスにチャミスルとビールを混ぜて飲む「バクダン」と呼ばれる飲み方があり、オマエら世界中で何バカなことやってんだよと思ってしまう。

そんなショットガン、今回はライムが既にテキーラに含まれていて、普通に飲むより全然飲みやすい。
本能と脊髄が「危険なヤツです」と伝えてきたが、時既に遅し。
先輩が「もう1発」とお店の人に頼み、2回戦が厳かに執り行われた。
すりおろし玉ねぎを裸眼に直接ぶっ込まれたような衝撃。

もちろん2度あることは3度あるため、最終の3発目も即時行われた。
北朝鮮のミサイルだってもう少し間隔空けますよと言いたくなるが、先輩はケロリとしている。
細かいことは記載しないが、おれは星になったとだけ記しておく。

ちなみにテキーラといえば、学生時代とタイ赴任の際に大変お世話になっており、中でもタイでは向こう20年分くらいのライムをかじってきた。
鬼に金棒、マリオにヨッシー、テキーラにライムである。

いつか庭にライムを植えたいと思います。
骨は根元に埋めてください。

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