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【リトルプレス】エホン・ゴッホンvol.01~絵本にまつわる5つのお話

リトルプレス。
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『エホン・ゴッホンvol.01』


はじめて出会うあかちゃん絵本

『いないいないばあ』松谷みよこ/瀬川康男/童心社

何歳から絵本を読んであげれば良いですか」と、よく聞かれます。
松谷みよ子の『いないいないばあ』は、あかちゃんが初めて出会う絵本として人気です。ねこ、くま、ねずみたちが次々にでてきて、「いないいない」「ばあー」を繰り返します。
あかちゃんは、「いないいないばあ」が大好き。「いないいない」と手で顔を隠すと、あかちゃんはどうしたんだろうとちょっと不安げですが、「ばあー」と再び顔をだすと、安心したかのように見る見る笑顔になっていきます。あかちゃんはこんなふうに、大好きな大人たちと繰り返し遊ぶことが嬉しいのです。
あかちゃんは、字が読めなくても、ちゃんと絵本を楽しんでいます。そして、おかあさんや大人たちとの日常の遊びと結び付けて読んでいるのですね。

ボロボロになった絵本

『ずかん・じどうしゃ』山本忠敬/福音館書店

私には、息子が二人います。幼い頃は、よく絵本の読み聞かせをしたものですが、いつの間にか大きくなり、私だけが懲りもせず、いまもなお、絵本を読み続けているのです。
先日、本棚を眺めていたらボロボロになった絵本を見つけました。山本忠敬の『ずかん・じどうしゃ』です。背表紙の糸とじは今にもとれそうで、頁の所々に補修の跡が…。ずいぶん読み込んだものだと懐かしくなりました。
何がこれほどまでに子どもたちの心を惹きつけたのでしょう。山本忠敬さんの描く自動車たちは、描写が細やかで正確で、いまにも動き出しそうです。一台一台が子どもたちに「こんにちは、ともだちになろう」としゃべりかけてきます。これでは、子どもたちの心を虜にするのも無理ありません。
作り手の遊び心と、子どもたちへのメッセ―ジが随所に描かれていて、穴が開くほど読んでほしい絵本です。

絵本であそぶ!

絵本というと、お話を読むという楽しみがありますが、もう一つ、絵本で遊ぶという楽しみがあります。
かこさとしさんの『とこちゃんはどこ』は、赤い帽子をかっぶったとこちゃんが、大人が目を離したすきに、とことことかけだし、頁からいなくなってしまいます。読み手は次の頁を開いて、商店街や動物園、海水浴場、夏祭り、デパートなどの雑踏の中から、とこちゃんを探し出さなくてはなりません。
子どもたちは、隅から隅まで目を皿のようにして探します。何を目印にしているのでしょう?帽子でしょうか、洋服でしょうか。いち早く、とこちゃんと発見すると、得意そうです。何回も何回も、親子で歓声をあげながら、飽きることなくとこちゃんの行動を追跡していきます。
絵本で遊ぶという楽しみを知った一冊でした。

絵本はカステラの味?

『ぐりとぐら』中川李枝子/山脇百合子/福音館書店

私と絵本の出会いは遅く、子育てが始まってからです。
幼い頃の絵本というと、本屋の店先の回転に並ぶ「ももたろう」などの昔話。幼稚園から毎月定期的に配布されるペーパーバック『ひかりのくに』(たぶん、こんなタイトルでした…)でした。小学生になると、父親に買い与えられた「世界名作全集」(クリーム色の表紙で複数の作品が収められている厚い本)を黙々と読んでいたことを思い出します。
ですから、私が『ぐりとぐら』に出会ったのは、大人になってから。子どもと一緒に絵本を読みながら、カステラの焼けるのをワクワク、ドキドキしながら待ちます。大人も子どもも無条件に絵本の世界に引き込まれる至福のひとときです。絵本のロングセラーとなったこの絵本の魅力は、可愛い子ねずみ?いやいや、おおきくて、きいろいカステラなのかもしれません。

味と匂いがしみついた料理本

『いただきま~す』『ママおかわり』小林カツ代/女子栄養大学出版部

「おいしく、たのしく、すききらいなく、食べることが楽しい子に育てたい」。料理研究家・小林カツ代さんの『いただきま~す』と『ママおかわり』の2冊は、料理の本というより、私の育児書であり食の教科書のようなもの。手元にある本は、台所で何回もめくられ所々に醤油や油のシミ、料理の味と匂いがしみついているシロモノです。
カツ代さん自身の経験と実践から生み出された料理のレシピは、手軽に作れてしかもおいしい。例えば、カツ代式おべんとうの「色うかべ法」は、はじめにピンクの塩鮭、次に緑のホウレンソウのソテー、そして黄色の卵焼き・・・と、次々と色を連想しながら作るという方法。子どもたちの弁当作りにずいぶんお世話になりました。
なかでも「素朴な農夫のキャロットケーキ」は、私が作れる唯一のお菓子です(笑)


エホン・ゴッホン
vol.01
2019.3.1
発行:ウチソト編集室
編集:Junko Kasai


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