見出し画像

私の強気なおばあちゃん

私には90歳になるおばあちゃんがいます。
昔気質の商売人で、気が強くて声がでかい。やることなすことダイナミックで、子供の頃からのほほんとしていた私は、よく叱られていました。
なので、そんなおばあちゃんが苦手でなるべく話さないように、関わらないように子供の頃は過ごしていた気がします。

そんなこんなで、私は実家を出て東京で一人暮らしを始めることに。
たまに帰った時も“ただいま”“おかえり”以上のことは話さず、強いて言えば、子供のころからおばあちゃんを遠ざけてきた私は、どうやって話したらいいのかが分からなかったのが正直なところです。

私は就職して、1年も経たずに病気をしました。
手術や入院が必要な病気だったので、仕事を休職し実家に一時的に帰ることに。自分ではいろんな変化が目まぐるしくて、ただ日々を過ごしていた気がします。その当時、意外な人の言葉と行動に私は活力をもらいました。
おばあちゃんです。

おばあちゃん宅と実家は距離にして5分ぐらいのところにあったのですが、
しょっちゅう私の様子を見に、実家に来てくれました。
そして必ず帰り際にハイタッチをして、私に元気を注入してくれるのです。「これでもう大丈夫だ」と。
でも私は、おばあちゃんが苦手だった子供時代の気持ちの切り替えがうまくできずに、最初はなかなか素直に応じることができませんでした。

でもおばあちゃんは、そんな私のことなんてお構いなしに会いに来ます。
「〇〇~!元気か~?」と、勝手口をドンドン叩いて突然現れます。
(も~。。)と内心思いつつ、勝手口を開けると、そこには私に食べさせようと思って持ってきた、寿司・赤飯・肉と、何かのお祝いですか?と聞きたくなるような、食事をこれでもかとおぼんに乗せてきます。
私病人なんだけどなぁ…と思いつついただきました。
「食べないとだめ!元気でないから。これで〇〇はもう大丈夫。」と
私をバシバシ叩き、またハイタッチをして帰っていきます。

おばあちゃんと一緒に過ごす時間は、あっという間に過ぎていきました。
常におばあちゃんのペースで、私に弱音の一つも吐かせてくれない。
でも、当時の私にはそんなおばあちゃんが本当に心強かった。
私はおばあちゃんと会うたびに、強く元気になっていった気がします。

今も私は、おばあちゃんと会うとハイタッチをします。
自分からハイタッチを求めると、私の倍の力でおばあちゃんは応じてくれます。

昨日は敬老の日。おばあちゃんに電話しました。
少し緊張。でも話始めると本当に楽しくて、おばあちゃんは相変わらず元気でした。そんなおばあちゃんが嬉しくて、なぜが泣いてしまうと
「泣くな!元気だせ!」と、こんな日にも励まされてしまいました。
なぜ泣いたのかは自分でもわかりません。

おばあちゃんは私にはない、豪快さとたくましさを持っています。
苦手だったおばあちゃんは、今や私にとって本当に大事な存在になりました。ハイタッチは痛いぐらいがちょうどいい、声も動きもでかいおばあちゃんでこれからもいてほしいと、心から思います。

敬老の日おめでとう。これからも長生きしてね。