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ポラリス保健室だより 4月


春の訪れと健康

4月になりました。
今年の桜は何だかもったいつけている感じがしますね。
昨年の夏の暑さが影響しているのでしょうか?
環境は生きるもの全てに影響があることを改めて感じています。

春は寒暖差が激しいですし、進学、就職、異動、退職など
新しい環境に身を置く方が多い時期でもあります。
自然環境含め環境の変化は、人間にとってはストレス源となります。
ストレスがかかると身体もこころも健康状態が悪い方へ傾きがち。
いろいろと慌ただしい4月ですが、自分自身の「健康」について
考えてみませんか?

人が望む人生を生きていく上で、身体もこころも「健康」であることが
何よりも大事です。
健康が大事だということはわかっていても、多くの人は何からの健康上の
不安を感じるようになってはじめて健康管理に注意を払うようになります。
実はこれはとてもコスパが悪いのです。
健康であれば、学業も仕事もパフォーマンスはあがります。
すると、当然それは報酬として自分に返ってきます。
生活が充実し幸福度が上がります。
「健康でいられる時間」を増やすことで、生涯収入や幸福度を高めることができるのです。

健康診断は主体的に受けましょう

学校では毎年春に健康診断が行われています
私も体育着に着替えて、列を作って流れ作業のように受けた記憶が
あります。
日本では、生まれる前(妊娠期)から、生まれてからも乳幼児健診、
そして学校で、職場で、退職してからも健康診断を受けられる仕組みが
整っています。

学校では学校保健安全法で、職場では労働安全衛生法で健康診断を実施することが定められています。
受ける人は受ける義務があるのですが「受けなければいけないから受ける」ではなく、自分の健康状態を自分で知っておくために、主体的に健康診断を受けてほしいと思います。

健診機関を選ぶポイント

昨年からフリーランスになった私は自治体の市民健診を受けました。
少額の自己負担を追加することで、がん検診も同時に受けることが可能
だったので一緒に申し込みました。
市民健診の場合、受けられる医療機関は受診の案内と一緒に一覧表になって提示されています。
これはあくまでも私の意見ですが、選ぶポイントは自分が受けたい検診項目をまとめて受けられるところかどうか、つまり私の場合、婦人科のがん検診(子宮がん、乳がん)も一緒に受けられるところかどうか、胸部レントゲン検査、便検査も同時に受けられるかということでした。
胃の内視鏡も一緒にできるところが良かったのですが、残念ながら私の住んでいるところではありませんでした。
さらに、設備が新しいところかどうか、古い医療機関でも設備は新しいということころもありますが、あまり古い医療機関でない方が待ち時間も快適に過ごせます。
お勤めをしている時は、健康保険組合から人間ドックの受診に補助がでていましたから、毎年人間ドックを受けていました。人間ドックだとがん検診も含めてすべての検査が1回で受けられるのがメリットです。
人間ドックの施設もサービスが充実しているところの方が快適でした。
同じ施設で毎年受ける方が、過去3回分ぐらいの結果が掲載されるので変化をとらえやすく便利です。

健康診断はテストではない

みなさんは健康診断の前だけダイエットしたり禁酒したりしていませんか?
A判定B判定などと何となく自分自身を評価されているみたいで、
ダメ出しされたくないという気持ちになったりします。
健康診断を意識して行動できるのは素晴しいことです。
ただ、1回の健康診断の結果や数値に一喜一憂するのではなく、自分の健康状態を詳しく知る機会ととらえてほしいと思います。
自分の専門家は、自分自身です。
自分のことは自分自身が一番よくわかっていることが大事です。

健康診断結果のみかた

数字や記号、専門用語がたくさんあって「異常なし」ならOKぐらいに思っている方が多いと思います。
自分がどんな検査を受けて、その結果はどうなのか?を正しく知ることは、自分で健康管理をしていく上で大事なことです。
まずは、簡単ですべての健康診断で行われている3つの項目に絞ってお伝えします。
その他の項目は、別の機会にお伝えしていきますね。
*検査値の基準範囲は、健康な人の検査値を元に算出されたもので、健康な人の約95%が含まれる範囲として定義されています。

BMI(Body Mass Index)

一番簡単でわかりやすいのが、身長・体重から割り出されるBMI(体格指数)
です。
体重kg÷身長m÷身長m で求められます
身長はメートルで計算するところが注意点です(158cmなら1.58m)
基準範囲は18.5から25.0です。
イメージしやすくいうと
18.5は身長160cm体重47.5kgの方の体格になります。
25.0は身長160cm体重64.0kgの方の体格になります。
やせすぎても太りすぎても病気になりやすくなることがわかっています。
ご自分のBMIを計算してみてください。

尿検査

身体に負担をかけずに多くのことがわかります。
尿の中にタンパク、糖分、血液成分が出てきていないかをチェックします。
基準値は細かい数値ではなく、「ある」「なし」
つまり、-(マイナス、陰性)「なし」が基準になります。
尿は腎臓で作られていますから、腎臓の働き具合がわかります。
腎臓には水に溶ける身体に不要になった老廃物や毒素を尿として身体の外へ出す働きがあります。
「かんじんかなめ」といわれるように肝臓、腎臓、心臓の働きは人間が生きていく上で重要です。
腎臓の働き具合を調べることで、病気の徴候がないかどうか?ということを調べます。

1.尿タンパク

タンパク質は身体に必要なものですから、尿中にはほとんど出てきません。
ですから、尿中に多くのタンパク質があるということは、腎臓の働きが弱くなっているか、もしくは、腎臓で処理しきれる量を超えているということになります。

2.尿糖

糖分もタンパク質と同様です。
腎臓の糖の処理能力はかなり高いので、血液中の糖の成分(血糖値)が
160~180mg/dlを超えないと尿中には排出されないと言われています。
ですから、尿中に糖の成分がでているということは、かなり血糖値が高く
なっている可能性
があります。
糖尿病の名前の由来でもあります。

3.尿潜血

尿のもとは血液です。
腎臓で血液を濾過して、水分と身体に不要なものにしてから、尿として体外に排出されます。
血液がそのまま尿中に出てくるということは、腎臓がうまく働いていないか、尿を身体の外へ運ぶルート(膀胱や尿管など)に問題があるということになります。
女性の場合、月経血が検査時に尿に混じってしまうと正しい検査ができません。月経時の検査は避けましょう。

検査ではありませんが、1日に何回ぐらいトイレにいくか、1回の量はどのくらいか、色やにおいはどうかということは自分でチェックできます。
健康な成人であれば1日に1~1.5リットルの尿が排泄されます。
1回量は約200mlぐらい(コップ1杯分)ですから、1日に5~6回トイレにいく計算になります。もちろん、若干の幅はあります。
色はごく薄いクリアな黄色で、朝起きたばかりや運動後だと身体の水分量が少ないので濃くなっていきます。
においは排尿直後は、ほぼ無臭です。時間がたつと尿の中の尿素という成分が細菌により分解されアンモニアになりにおってきます。排尿直後から何らかのにおいがあるということは何かの病気が隠れている可能性があります。

心電図検査

学校では、小学1年、中学1年、高校1年で検査します。
社会人は毎年の健康診断の項目に入っています。40歳未満の方は医師が必要ないと認めれば省略可能ですが、痛みも伴わず、数分で終わるので、受けるのに負担が少ない検査です。受けておいて損はありません。

心臓は筋肉でできている臓器で、心臓の筋肉にはわずかな電気信号が流れています。これによって心臓は動いているのですが、この電気信号を記録したものが心電図です。
ですから、心臓に異常があれば発する電気信号でとらえることができます。もう一つ、心臓は一定のリズムで動いているのですが、このリズムが乱れていると心臓に異常があるということになります。
心電図ではこのリズムを視覚的にとらえることができます。

心臓は4つの部屋からできています。この4つの部屋が連動してうまく動くことで血液を体内に循環させるポンプの役割を果たしています。
基準値は数字で表わされるものではなく、異常があるかないか、ある場合、どんな異常があるのかで示されます。
異常がある場合、Q波、ST波や期外収縮など専門用語が出てきて不安になる方も多いのではないでしょうか?
どの病気もそうですが、1つの検査だけで診断をするわけではありません。
特に健康診断で行われる検査は、できるだけ受ける人の身体に負担がかからず、病気の徴候を見つけることが可能な検査が選ばれています。
心電図もその1つです。
心臓のどこの部分の働きに異常があるのかを示すことで、その働きを調べるためのくわしい検査を絞っていくことができます。
ですから、もしも「異常なし」以外の言葉が書かれていた場合、コメント欄をみて再検査や要精密検査ならば、先延ばしにせずに必ず再検査や精密検査を受けて下さい。
心電図に異常があったからといって、必ずしもすぐに治療が必要な病気だと断定できません。再検査や精密検査の結果、毎年の健康診断で様子を見ていくだけでよいという方も多くいます。
自分の心臓の状態を知っているということが大事です。

健診を自己管理に活用しよう

今回は多くの年代の健康診断で行われ、ほとんど受ける人に負担がかからない簡単な3つの検査項目についてお伝えしました。
健診は受ければよいというものではなく、自分の健康状態を知る機会としてとらえ、1回の結果のみに一喜一憂せず「健康でいられる時間を長くする」ために活用していってほしいと思います。


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