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キース・ヘリングと大山エンリコイサム

グラフィティ、ストリートアートを研究対象にしている大学院のゼミ友達がある。その経過発表でグラフィティのいろいろな用語を学んだ。

夏休みに滞在した小渕沢、中村キース・ヘリング美術館で開催中のキース・ヘリングと大山エンリコイサムの展覧会を見に行った。友達の研究テーマではあるけれど、何か見つけられるかもしれない。キース・ヘリングと大山エンリコイサムの接続性があるとしての企画。キース・ヘリングの作品50点と大山エンリコイサムの作品15点が展示されている。

撮影禁止エリアに展示されていた彫刻作品《オルターピース:キリストの生涯》は、多翼祭壇画なんだけど、ブロンズにホワイトゴールド。見た目はステンレスのように見える。祭壇画は木で作られるという先入観を覆された。天使、キリストなど全てがキースへリングの人物像で描かれており(掘られており)、それこそ木に描かれていた時代は、それぞれの役割毎の描き分けをしていた。それを否定するような平等さ、故に展覧会が、博愛と名づけられたのだろうと解釈した。

抽象的な人型をあしらったグッズで馴染みのあるキース・ヘリングだけど、立体作品も魅力的。

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平等さを感じたのは、キース・ヘリングの作品から人種、性的マイノリティなどをモチーフとして提示したものが多くみられ、それを超越したかったのではないか。

大山エンリコイサムの展示室。色がないが、雄弁である。どこにでも侵食するQTSこれは大山が解釈と還元を繰り返して到達したスタイル。

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QTSはどこにでも侵食する。

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美術館にある「自由の回廊」は、キース・ヘリングが1983年に来日した際に、川島義都が撮影した記録写真をモチーフとしてコラージュ。壁紙にしているが、そこに大山がQTSを施している。

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エゴを排除し、どこにでも侵食するというが、こういうことなのか。

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グラフィティのタギングとは何か?ポスターにシグネチャーを施すこともある。QTSは、その両方の役割・機能を持っているのだろうか。

ストリートからアートに来る場合とファッションに行く場合とがあると思う。主義・主張というよりも、入り口としてのストリートアート。

それは、果たしてどういうものか。

興味は尽きないけれど、ゼミ友達の論文を待とう...。


展覧会は2020年1月13日まで。


いただきましたサポートは美術館訪問や、研究のための書籍購入にあてます。