読書日記100「校閲ガール」-宮木あや子

ドラマ化された小説の原作なので面白いだろうと期待して、この本を手に取った。

校閲という仕事の存在は知っていたが、思っていたよりも校閲がチェックする範囲は広かった。季節の描写に矛盾点はないか、移動にかかった時間が確認していることは、初めて知った。

主人公の河野悦子はファッション誌の編集者に憧れながらも校閲部に配属された新卒2年目だ。悦子は校閲部から編集部への異動を狙い戦略的に仕事はできるが毒舌というキャラを演じており、読んでいてスカッとした。

印象に残ったのは、この言葉だ。

「ーもし文章がヘタクソでも書かれていることが事実とは異なっていても、その内容が利益を生みさえすれば許されるとするならば、校閲なんて必要ないし、そもそも校閲という概念すら存在しなかっただろう。」

自分も直接的には利益を生み出さない業務をしている。利益を生み出さない部分も重要視するプロとしての姿勢、そしてそれを受け取る顧客への信頼があってこそ校閲のような直接的に利益を生まない業務に価値が見出され、長期的な視点ではそれが利益につながるのではないかと考えた。

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