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思考整理、アウトプットの場所。

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最近の記事

読書日記125「その扉をたたく音」-瀬尾まいこ

難しめの本を読んだあと、ほっこり系の作品を読みたくなり、この本を手に取った。 大学卒業後、就職することなく音楽をしながら仕送りで生活していた男性が老人ホームの人々と交流する物語だ。 主人公の素直さに読んでいてスッキリした気持ちになった。入居者に頼まれた買い物に文句を言いながらも行き、相手の喜ぶことを考えながら商品を選ぶ、初対面の人の演奏が素敵だと思ったらそれをすぐに伝え、自分と音楽をやろうと声をかける。そういったことをあまり考えこむことなく出来るところが素敵だと思った。で

    • 読書日記124「まんが パレスチナ問題」−山井教雄

      いつかちゃんと勉強しようと思っていたことの1つがパレスチナ問題だった。まんがであれば理解出来るかもしれないと思いこの本を手に取ることにした。 いきなりパレスチナ問題の話に入るのではなく、まずは宗教の話からだった。その後も自分がイメージしていたパレスチナ問題の時期よりも遡った歴史の説明が続いた。自分が今まで聞いてきた説明の中で1番分かりやすいのがこの本だったが、それでもまだ理解出来なかったというのが感想だ。 最後の部分が特に印象に残った。民族という概念がどのようなものなのか

      • 読書日記123「Z世代のアメリカ」ー三牧聖子

        以前からZ世代というワードがが気になっているので、この本を手に取った。アメリカの政治問題についてZ世代が他の世代と異なる意見を持つ部分が説明されている。 この本を読みながら各論点について、自分の意見はどうだろうかと考えてみたが、なかなか難しかった。本を読み進める中で自分にはなかった観点を知り、意見に迷いが出てくることが多かった。 また、日本ではZ世代というワードが政治問題と絡めて言及されることが少ないと感じた。環境問題に対する意識や仕事に対する価値観などについては言及され

        • 読書日記122「磯田道史と日本史を語ろう」−磯田道史

          著者の対談をまとめた形式の本だ。歴史の専門家だけでなく、俳優や医師などさまざまなジャンルの人との対談だった。 内容はもちろん面白かったが、それ以上に驚いたのが、対談によって話の幅が広がることだった。今までも著者の歴史に関する広く深い知識に驚かされてきたが、対談によってよりその幅が広がっていた。色々なことを知っていると幅が広がるから色々なことを経験してみなさいとよく言われるが、こういうことかと納得した。 DNAの話など、対談文章に注釈がついている場合もあり、後ろのページで後

        読書日記125「その扉をたたく音」-瀬尾まいこ

          読書日記121「わたしの幸せな結婚 八」−顎木あくみ

          前回よりも短い間隔で新巻が出たと思っていたが8ヶ月も空いていたらしい。時間の経過に驚きつつ、この本を手に取った。 この本の半分くらいは清霞が軍に入る経緯が描かれている。清霞の周囲の人間は清霞に進路を自ら選択させようとするが、清霞はそれを突き放されたように感じてしまうという内容だった。 自分も学生の頃、進路は自分で決めるようにと言われたが、当時その重要性を分かっていなかった。でも、今となっては分かる。自分の意思で物事を決めている方であるが、時々自分よりも確固たる意志を持って選

          読書日記121「わたしの幸せな結婚 八」−顎木あくみ

          読書日記120「時代を生きた女たち」−植松三十里

          「帝国ホテル建築物語」を読んだ後Amazonにおすすめされたこの本を読むことにした。全部で35人が紹介されていたが、自分が読む前から知っていたのは11人だけだった。既に知っている人物でも知らないエピソードを学ぶことが出来、興味深かった。 この本を読んで1番印象に残った人物は、沢田美喜だ。学生の頃史料集の端の方に小さく紹介されていて、知ってはいた。当時も興味を持ち、電子書籍で調べたが、あまり詳しい情報が出てこず、それきりだった。この本を通して、当時知りたかったより詳細な人物像

          読書日記120「時代を生きた女たち」−植松三十里

          読書日記119「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込」−若林正恭

          著者の本を過去に2冊読んだことがあり、この本も読もうと思っていたのだが、電子書籍化されておらず、後回しにしていた。しかし、久しぶりに紙の本を買い、読むことにした。読書日記をつけるようにしてから初めて読む紙の本だ。 過去に読んだ2冊よりも先に出された本で、オードリーが急激に売れ始めたころを振り返って書かれた部分が多い。 自分が共感したのは「客観視し過ぎると楽しめなくなる」という部分だ。自分が人生をあまり楽しめていないような感覚は以前からあったが、これも理由の1つだと気付くこ

          読書日記119「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込」−若林正恭

          読書日記118「帝国ホテル建築物語」−植松三十里

          どこか面白い企画をしている美術館はないかとXで探していたら「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」という展示があることを知り、予習としてこの本を読むことにした。 帝国ホテルには行ったことがあったが、自分が行ったことがあるのは3代目帝国ホテルで、この物語は2代目帝国ホテルの話であるとのことだった。帝国ホテルについても建築についても知識がない状態で読み始めたが、面白かった。 最初に読み始めた時、あまりにも人物同士のつながりがうまく出来すぎていて、フィクション比率が高い作品

          読書日記118「帝国ホテル建築物語」−植松三十里

          読書日記117「この世にたやすい仕事はない」−津村記久子

          地元の本屋さんのおすすめの本コーナーで何を迷っていた時、この本がなぜか目立って感じられ、手に取ることにした。 主人公はずっと続けてきた仕事を逃げるようにして辞め、紹介された4つの仕事を転々としていくというストーリーだ。 自分が一番面白かったのは、おせんべいの包装に記載される豆知識を考える仕事だ。自分が普段おせんべいを食べる時にはさっと読むだけだが、この小さなコーナーにも色々な人が携わっているのだろうなと感じ、次からはもっと注目してみようと思った。仕事の話自体は面白かったが

          読書日記117「この世にたやすい仕事はない」−津村記久子

          読書日記116「コンサバター 失われた安土桃山の秘宝」−一色さゆり

          今回は狩野永徳の屏風がテーマだった。日本史は好きだが、美術史には疎い自分でもこの作品を通じて歴史の流れを感じ、その奥深さを楽しめた。 当時の美術品が戦国大名などのパトロンから支援を受けていたことで文化として成立していたことは知っていたが、その多くが戦国時代の戦火によって消失していたことは知らなかった。武士の支援によって生計を立てている以上、その意向に従わざるを得ず、苦労して完成させた作品は戦火で失われることが多い。自分の支援者が政治的な立場遠失うと自分の命も危うくなる。なん

          読書日記116「コンサバター 失われた安土桃山の秘宝」−一色さゆり

          読書日記115「コンサバター 幻の《ひまわり》は誰のもの」−一色さゆり

          主人公達が大英博物館を退職し、独立後すぐの様子から物語が始まる。組織から距離をとったことで、大きな事件に巻き込まれることが減るかと思われたが、全くそんなことはなかった。 今回は前の巻よりも作品の盗難にスポットがあてられていた。多くの人の思惑が複雑に絡み合う中で起こった事件は、一切展開が読めず、面白かった。それぞれの正義がぶつかり合う中で、何を選択するかはとても難しい。現実で解決できない問題が多くある理由もそこにあるのだと改めて考えさせられた。 最後には次の巻への伏線がはら

          読書日記115「コンサバター 幻の《ひまわり》は誰のもの」−一色さゆり

          読書日記114「コンサバター 大英博物館の天才修復士」

          地元の本屋さんでおすすめコーナーにあったこの本の表紙で美術品を修復する修復士という仕事を知った。 以前国立西洋美術館に行った際、修復について紹介されていたため、美術品が修復されていることは知っていた。しかし、その時はプロセスの方に興味がいき、それに携わる人についてはあまり考えなかった。この本を読めば、修復士という仕事について知ることが出来そうだと思い、読むことにした。 まず、修復士にはそれぞれ専門分野があるということに驚いた。美術品にはさまざまな種類があるから展示の幅が広

          読書日記114「コンサバター 大英博物館の天才修復士」

          読書日記113「外科医、島へ」-中山祐次郎

          以前から読んでいたシリーズの続きが出たので読むことにした。この本では、主人公の雨野が離島への派遣を命じられるところから始まった。 離島医療の厳しさなどについてはなんとなく聞いたことがあったが、この本を通して具体的にどう厳しいのか知り、難しい問題だと感じた。また、今までは患者目線で考えることが多かったが、医師の目線も知ることが出来た。医療資源が限られた中で、専門ではない文野も診察し、少ない人数で大きな責任を負う。気象状況によっては患者を設備の整った環境に搬送することも出来ない

          読書日記113「外科医、島へ」-中山祐次郎

          読書日記112「陸王」-池井戸潤

          老舗足袋メーカーが陸上用シューズの業界に参入する物語だ。陸上用のシューズは自分に縁のないものだったので、興味を持てるか少し不安だったが面白かった。 この本を読んで印書に残った人物は物語の途中からこはぜ屋の担当となった銀行員大橋だ。池井戸作品はビジネスに関する作品だからか登場人物の意思決定が論理的で分かりやすい。ところが、大橋は最後まで何を考えているか分からず、登場人物の中で浮いているように感じられた。 一言で言うならば、自分のスタンスを明確に示さず、最低限のエネルギーで動

          読書日記112「陸王」-池井戸潤

          読書日記111「太陽の棘」-原田マハ

          少し前からAmazonのおすすめに目力の強い人物の表紙が目を引くこの本が表示されるようになった。 読むことが決まっている本が少なくなってきた時、この本のあらすじを調べてみた。戦後の沖縄の人々が作ったニシムイ芸術村とアメリカ軍の軍医の実話に基づく物語と知り、興味が湧いた。 物語と関係ないところとなるが、占領下の沖縄に派遣されていたのアメリカ軍の医師が含まれていたことに驚いた。軍医も軍の一員なのだから当たり前と言われればそうなのだが、私は勝手に占領に必要な武力を持ついかにも軍

          読書日記111「太陽の棘」-原田マハ

          読書日記110「あめつちのうた」-朝倉宏景

          甲子園のグランド整備などを担う実在する阪神園芸という会社を舞台にした物語だ。 野球に詳しくない私は、なにわ男子が阪神園芸さんに甲子園の水撒き体験をさせてもらっていたのを通して、阪神園芸を知った。それまでは甲子園の芝が天然芝であることすら知らなかった。 この本では、甲子園のグラウンド整備がどのように行われているのか丁寧に描かれている。気候の影響などを踏まえ、高度な技術を求められる仕事だった。整備状況によってはボールが思わぬ方向に跳ねるイレギュラーが発生し、勝敗の分け目になる

          読書日記110「あめつちのうた」-朝倉宏景