読書日記108「トラペジウム」-高山一実

作者の書く文章に興味があり、この本を読むことにした。自分は乃木坂46のファンではないが、時々テレビで拝見する作者の人の良さそうな感じが印象に残っていた。

主人公がアイドルになることを夢見て、メンバーを集めに奔走するところから始まる。てっきりオーディションから始まるものだと思っていたので驚きだった。読み始める前はアイドル活動メインの話だと思っていたがそうではなく、アイドルを夢見た女性の成長物語だった。

主人公は海外に住んだ経験があり、進学校に通っている。大人びた思考を持っていて、メンバー集めでは良く言えば用意周到に、悪く言えば打算的に行動していた。そして、その計画が予定通りにいかなかったところから主人公の成長が始まるが、成長後の様子は少ししか描かれていない。その間のプロセスは読者の想像に委ねられていたのかもしれない。

この本は作者のデビュー作で、今まで読んだ本に比べると、展開に疑問を感じる部分があった。しかし、解説にあるように人が小説家になる瞬間を垣間見ることができ、興味深かった。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?