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「一杯」の中身は?〜日本語も人のこと言えないじゃん案件〜

【Preface】

Hi mate, how's your day going? 
そろそろもうちょっとわかりやすいタイトルが付けられるようになりたい三十路ひねくれ柑橘ですこんばんは。

ようやっと日常的にnoteを書くことに慣れてきたのか、最近は3日に1本の投稿が続いております。今ケアンズは閑散期なのでね、シフトがそんなに立て込んでないことも落書きの後押しをしてくれているかもしれません。

ケアンズが閑散期でも、youtubeの相方さんはダイビングマスターの講習でお忙しいようで、先週の毎週土曜日22時(日本時間21時)の更新は、謝罪&低画質画像の供養と相成りました。

ケアンズにあるギリシャ料理レストランでの「皿割ダンスお祝いパーティ」みたいな謎イベントに関しては、ギリシャに詳しいおじダチからも話を聞きつつ、また別で記事を上げたいと思います。

脱線という名の言い訳が過ぎましたが、今回はAussieおじダチから教わった1単語……元3単語が色々あって1語になってしまったやつです。

【In A Smoko】

今回の単語に遭遇したのは、例の如くレンタカー屋でのこと。休憩中に店長パパがLindtのチョコを勧めてくれました。
本章の見出しの単語をまだご存知でない方は以下の記事からどうぞ。

今回はサクッと本題に入りますね。美味しいチョコと双子(店長パパとその姉か妹)の丁々発止の言い合いに聞き取れないなりにもほっこりしていたら、出し抜けに店長パパが私に向かっていうのです。

This chocolate is really nice with カパ, isn't it?

はて、カパ??
こういう時は、わからなかった単語を拾って質問するか、聞き取れたところまでだけ繰り返すのが実際の会話中での勉強としては効果的です。てことで、もちろん聞き返しました。

Sorry, what's カパ?
-
Oh, you didn't know that? It's a cup of tea or coffee.

日常で使える言葉や、ちょと使いづらいワルめの言葉を折に触れ教えてくれる店長パパが、ニコニコしながら教えてくれました。

【Something to drink in a cup】

後に調べると、cuppaと書くそうです。マリオのクッパじゃん。
でも、英語圏ではクッパはBowser(バウザー)って愛称で呼ばれているそうです。本名はKing Koopa。クーパやん。イギリス産の可愛いけど操作性の悪い車はcooper。そろそろ本題に進みます。

店長パパの言った通り、a cup of teaでも、はたまたcoffeeでも、cupに入れて飲むものをざっくり差しているんだとか。

英語では入れ物をcupかglassで表現する、というのは中学1年生で習うことですが、この2つの大きな違いはサイズではなく素材、言い換えるなら用途です。どんな液体を入れるかが違いますね。

cupは通常、マグカップやコーヒーカップ、スープカップなどからわかるように、暖かい飲み物を入れます。
一方glassは、カタカナ語でガラスとも、グラスともいうように、基本は冷たい飲み物が入ります。……あったかいカフェラテを耐熱のグラスに入れて出すおしゃれなカフェはあるけどね。まあ「基本」です。

スープだってカップに入れるじゃん!と思うかもしれませんが、スープは英語ではeatを使うので、飲み物に使うcupとはちょっと馴染まないのかもしれません。(ネイティブに聞いて検証したわけではないので、あくまでも仮説ですが)

てことで、cuppaは、a cup of tea/coffeeが、「カフェで飲む暖かい飲み物」くらいのニュアンスまでぼやけた表現ということでした。茶菓子に合う「茶」の方だね。
相変わらずAussieは短くするのが好きなようです。

【How About Japanese?】

てことで、じゃあ日本語はどうなん?とね、英語の文句ばっか言っててもしょうがないので、考えてみました。簡単でした。

「お茶しよー」って誘ったからって茶道のお茶会に行くとも限らない、というか大抵の人は別に紅茶すら飲まない、なんて普通だし、
なんならタピオカ飲みに行くのも「お茶」と括りかねません、いやでもあれか、タピオカは「タピる?」というんでしたね。そもそもタピオカがあまり得意ではないのでよくわかりませんが。あれは日本語で「食べる」と「飲む」のどっちも使えそうではっきりしないからこそ、「飲みながらも咀嚼をする」という中間的な意味として「タピる」という動詞が生み出されたのだとしたら、言語学徒としては若い女の子たちに拍手を送りたいところです。いいセンスしてる。

つまり、お茶しよーって言って、コーヒーを飲みに行ったってみんな違和感ないでしょ?ってことです。

発言者の性別も年齢も変わって、
「一杯どうよ?」の誘いに乗って頼んだのが烏龍茶では相手もちょっとびっくりするでしょう。でも、言葉だけ厳密に捉えたら別に烏龍茶だろうがビールだろうがテキーラだろうが「一杯」ではあるのでいいはずなんですけどね。その言葉から連想する「定番」があるってことです。

【This Is Metonymy】

今回のcuppaに関しても「一杯」と似ていますよね。
本来はcupという1単語しか言ってないので、コーヒーや紅茶、まさに日本で言うところの「"一杯"の"お茶"」をさすわけです。
cuppaに関しては、もっと文字通りに厳密に捉えるなら、cupと言っているだけで、中身については触れてないので、「液体の入れ物」が、「その中に入っている飲み物」を指してるんですけどね。あ、こういうのを言語学ではメトニミーと言います。メタファーの仲間です。

「やかんが沸いてる」
この表現に我々はなんの違和感も抱きませんが、実際に湧いているのは「やかん"の中の液体"」あって、やかんそのものではないですよね。お風呂もしかり。

あとは扇風機が回ってる、とか。
実際に回ってるのは「扇風機"の扇部分"」であって、扇風機全体がぐるぐる回ってるわけじゃないんですけどね。
そんな芸術作品ありそう。「題:回る扇風機」とか。

冗談はさておき、こんな風に、わかりやすいものに、「その中身」の意味まで背負わせるのがメトニミーです。知ってたところで役には立たないです。言語生活がちょっと豊かになるだけ。

「カップに入ってくるような飲み物」この抽象度合いって、結構便利です。
毎回毎回
This biscuit is nice with a cup of tea, oh, do you prefer coffee? …Ah sorry, you like smoothies, I got it.
こんなめんどくさい会話をしなくて済むわけなので。

ぼんやりさせるのにも合理的なんですね。

【Postscript】

サクッと、とか言ってたのに案外ちゃんと大学の講義でかじったような話までしちゃった。誰だ書き始める前に「これあんまりボリューム出ないなぁ……」とか悩んでたやつ。しっかりいつも通り3000字エリアじゃないか。

しかも紹介しようと思ってたゆる言語学ラジオの関連回まで触れてないし。供養がてらここに貼っておきます。
「後ろを省略したら本体がどっか言っちゃった」パターンです。見直したらまさにこのcuppaと同じなので、興味のある方はぜひみてみてください。

1つだけ例を出しておくと、「携帯」は「電話」であって「ケータイ」と言うものじゃなかったはずなのに、みたいなやつです。

確かに何を携帯してんだ、と言う話なんですよね、言葉尻を捉えるなら。でもまあ、昨今の携帯電話って、元電話だっただけでもはや電話としての機能以外が多いですしね。
cuppaも全く同じで、a cup of teaのteaが本来は茶菓子に合う茶だったはずなのに、人によってコーヒーだったり、もしかしたらミルクシェイクだったりすることもあって、じゃあもうcupだけ言及しとけばよくね?と後半が省略されちゃってますね。あれこれあとがきじゃなくて章立てしなきゃだったやつか。まあいいや。

てことで、私も日々ちょっとずつ知識や体験を入れながらみなさんに面白おかしく発信していきますので、今後ともお付き合いくださいね。

Youtubeもよろしくお願いします。このマガジン同様、知っててもなんの役にも立たないけどちょっと生活が豊かになる(かもしれない)コンテンツを配信していきます。

May everyone be yourself.
See you later.

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