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コラム#6. 博士号の取りやすさ(課程博士・ラボ選び)

 課程博士を無事に所定年数(修士課程を除いて通常3年)で終えられるかは、本人の能力もさることながら、学術論文必要数とラボのアクティビティーに大きく依存すると言えます。

 規定年数を1年くらいなら超過してしまっても良いという方は、ざっと見積もっても400万円から1億円の損失を許容するという意味であることを理解してください。

### 1年の損失の内訳
・働くのが1年遅くなる(入るはずだった1年の年収が入らず、退職金が減る。)
・希望職種に就職できる可能性が50%程度減少、生涯年収が大きく減る可能性あり。
・学費を1年多く払う、入社してから退職するまでの時間が1年間喪失する。
→トータルで400万円~1億円の損失

 まず大学院の博士課程へ進学を考える場合は、テーマが面白そうだからという理由だけで決めるべきではありません。以下のポイントをチェックしましょう。

①そのラボに博士課程への進学者がいるか?

 そのラボに在籍する博士課程進学者(D1~3)がいるかどうかを確認しましょう。常に博士課程の学生さんがコンスタントにいるラボは、研究アクティビティーが高く、研究論文を成果にまとめるプロセスがきちんと確立されている可能性が高いです。博士課程の先輩がいると、先生が不在時も色々相談に乗ってもらえる可能性があり、研究が進めやすいかもしれません。逆に博士課程の方がいないときは、なぜか調査することをお勧めします。

②博士課程進学者が所定年数で卒業できているか

 博士取得を断念して退学する満期退学や、博士課程4年以降の学生がいるか(これをオーバードクターと言います)を確認しましょう。オーバードクターが複数いる場合や、特定のリーダーの元に多い場合は特に注意が必要です。リーダーのマネジメントに問題がある場合や、リーダーがメンバーの成果を盗んでしまっているケースがあります。この辺は、業績論文を確認することで推理可能です。

③ラボのアクティビティーは維持されているか?

 さらに、そのラボの毎年の平均論文発表数(ラボ主催者が第一著者の論文を除く)と平均的な博士過程進学者の毎年の在籍人数を調査しましょう。もし、(ラボの先生がFirst authorの論文を除く、年間平均発表論文数×博士課程年数)÷平均博士課程在籍者数が、学術論文必要数よりも少ない場合は、所定年数以上の年月が必要になる可能性が高いと考える必要があります。例えば、博士課程進学者が3年に1報の論文を書いてスムーズに卒業しているラボの上述の式の値は必要論分数の1より大きくなるので、安全と考えられます。

 また、そのほか私が考える進んではいけないラボの特徴を以下に示します。参考にして頂ければ幸いです。

### 進んではいけないラボの特徴
・博士進学者がいない
・ラボのHPがない、あるいはあるけど更新されていない
・ホームページの業績欄がない、または更新されていない.
・学会発表と論文投稿の区別がされずに記載されている。
・大学公式の教員の(過去の)プロフィールへリンクされている
・OD(Over Doctor)が多くいる
・研究業績でPIが第一著者の論文が多い
・日本の研究.comで調査した研究費の取得状況が思わしくない
 (代表を務めている研究費が殆どないなど)

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