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別人格とたたかう日々

人間には2つの人格があると思っている。

なかには3つ4つ持っている人もいるのかもしれない。普段とはちがう別の人格が現れたとき、自分の意志とは反して行動や言動が変わってしまうので困ったものである。

そしてときに、それは取り返しのつかないことになるので注意が必要だ。


こんなことをいうと、それって家庭ではだらしのない自分、友人とはとにかく明るい自分、職場ではキリッと凛々しい自分など、場面によって自分の姿がかわることでは?と思われる方もいるかもしれない。

違う。別人格とはそんな生易しいものではない。


つい最近、そのことを強く感じた。それはある行きつけのラーメン屋でおきた。

そのラーメン屋は地元では多店舗展開されていて、地元の人間にとても愛されているラーメン屋だ。おそらくこのラーメン屋がつぶれるようなことがあったら、この地域の人間のほとんどが餓死することだろうと思う。それほど昔から地元に根付いているラーメン屋だ。


その日の夕食はそのラーメン屋で食べることにした。そこのタンタンメンが絶品である。その辺にある中華屋のタンタンメンとはちょっと違う。もはやどのカテゴリーにも当てはまらないから、強引にタンタンメンというカテゴリーに入れた感じだ。それほどのオリジナルのラーメンである。



今回はいつになくタンタンメンが食べたかった。頼むものは決まっていたが、とりあえずメニューを開くのはいつものクセ。そのクセが別人格を呼び寄せるものとなってしまった。

メニューにのっていた辛口タンタンメンが目に入ってしまったのだ。

そそる。とてもそそる。というのも辛いものが好きで、とくに辛口ラーメンとキムチ鍋は大の好物である。


さっきまでタンタンメンの口になっていたのに。気づいたら辛口の人格が表れてしまった。そしてついに辛口タンタンメンを頼んでしまったのだ。


辛口タンタンメンとは普通のタンタンメンをただ辛くしたものではない。味も全然ちがうものになってしまう。本来は素のタンタンメンの味を楽しみたかったのに。

ぼくはいつもそうである。結局、辛口に惹かれてしまうのだ。今日の主役はタンタンメン。家から出るときから、なんなら昼くらいからタンタンメンが脳内でうごめいていた。

それなのに「辛口」という単語をみただけですべてがひっくり返ってしまう。今までの思いを簡単に無下にしてしまう。

今まで1ポイントずつ繰り広げられてきたクイズだったのに、最後の問題で10000ポイントになったくらいの台無し感だ。

こうして辛口の人格によって本当に食べたかったものを食べさせてくれないことが多分にあるのだ。まさに悪魔そのものだ。


いつかはこの人格ともケリをつけなければいけないと思っている。しかし、今の自分の実力では辛口にかなう力はない。しばらくは完敗の日々が続くのだろうと思う。以上。終わり。






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