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Mr.Children との出会い

記事を開いてくださってありがとうございます。

前回の記事では「私の音楽年表」と称し、私自身の音楽遍歴をざっくりと紹介しました。

その中で、いくつかのミュージシャン・バンドのエピソードとの出会いは詳しく語りたいと思ったのですが、Mr.Children だけはどうしても書くことがいっぱいあるので、1 つの記事にしてしまおうと思います。

というわけで、国民的素敵バンド Mr.Children の名前を見てこの記事にたどり着いたあなたは、よかったらこちらの記事もお読みください。

それでは、本題です。

***

高 2 のある秋の日、家族で車に乗って出かけていた。

車内には、いつものように父が買った CD の音楽が流れていた。どんな音楽が流れていたかは覚えていない。当時音楽に一ミリも興味のなかった私は、いつものようにそれらを聞き流していた。

しかし、あと 5 分で家に着くだろうというとき、その状況は一変した。
「何だ⁉︎ この曲すごく引き込まれる……」
あまりにも美しいメロディに、言葉が直接脳に響いているかのような印象的な歌声。突然流れ始めたその曲に、私は打ちのめされた。

気づけば我が家が見え、曲はアウトロに差し掛かっていた。

Mr.Children の『himawari』。ディスプレイに表示されている曲名を記憶し、私は車を降りた。


自分の部屋に帰り着くやいなや、私はスマホを取り出して「Mr.Children himawari」と検索し、ヒットした動画を再生した。

この動画である。

暗いステージのスクリーンに浮かび上がるひまわりの絵。吠え始める田原さんのギター。と同時にステップを踏みながらくるくると回り出す桜井さん。叫んでいるような泣いているような歌声と音色。足を大きく開き、首を揺らしながらベースを鳴らすナカケーさん。ギターソロと共鳴しているかのような間奏中のレーザー。大サビの青いライティング。アウトロ終わり、やり切ったぞと言わんばかりのジェンさんの笑顔。

もう最初から最後まで鳥肌立ちっぱなし、圧倒され通しだった。終わってしまったことが信じられなくて、気づけば動画を何度も巻き戻していた。

とんでもないものに出会ってしまった。5 週目あたりで私はそう確信した。


数日後、親がいない時間を見計らって『重力と呼吸』をこっそり近所の本屋さんに買いに行き、ラジカセで聴いた。アルバムを通して聴くと、曲同士がつながって一つの物語を聴いているような感覚になり、またもや圧倒された。

プレイパスを使えばスマホでも聴けると知り、意気揚々とダウンロードして通学時間にも聴いた。

一耳惚れした『himawari』は言うまでもないが、当時の私に刺さりまくったのは 6 曲目の『addiction』である。こんなかっこいい曲があるのかと、通学電車の中でひたすらリピートし、足でリズムを取り、ひとり俯いてその怪しげな曲調に浸った。小さな反抗期から抜け出し始めた頃の青い思い出である。


『重力と呼吸』では飽き足らなくなり、YouTube でライブ映像を漁った。『HANABI』の美しさに感動し、『エソラ』に心躍り、『ニシエヒガシエ』のクールさに痺れた。当時上がっていた Short Ver. の MV も一通り見たが、やっぱり生きている彼らを見るのが好きだった。


一通り見終わった頃、また両親がいないタイミングを見計らい、今度は「Thanksgiving25」の DVD を見た。『CENTER OF UNIVERSE』の緩急に心を揺さぶられ、『ポケットカスタネット』のパフォーマンスに圧倒された。「この曲でみんなをコテンパンにやっつけたいと思います」という MC の後に『himawari』が始まったときは、こわいくらいに鳥肌が立ちまくっていた。


まだまだ Mr.Children のことを知りたいが、自分が手を出せるものはもう見尽くしてしまった。親に内緒でサブスクを契約することはできないし、CD を買い込むわけにもいかない。そう途方に暮れているとき、Spotify を知った。

広告がたくさん入るとしても、アルバムを曲順に聴けないとしても、当時の自分にとって Spotify は救世主だった。

Sporify で解禁されている曲を全部入れたプレイリストを作り、聴いた曲を片っ端からプレイリストから外していき、単語帳の要領で曲を網羅した。『Another Mind』に『SUNRISE』に『未完』に……とお気に入り曲も増えていき、私は完全に Mr.Children ファンになっていた。


ここまで書いていて、当時の私が「両親にバレる」ということに非常に敏感になっていたことに気づいたので、ここで少し補足しておく。

父親も Mr.Children の CD や DVD を欠かさず買っているファンなのだが、当時は Mr.Children に限らず、自分が音楽を聴いていることがバレるのを徹底的に避けていた。Mr.Children の話をしたいという気持ちはありつつも、自分が好きな音楽を否定されたり、あまり嬉しくない語られ方をするのをすごく恐れていた気がする。

親が帰ってこないかヒヤヒヤしながら見た Thanksgiving25 は、今や全編 YouTube で見ることができるのだから時代は変わったなと思う。

なお、今は音楽好きであることをオープンにしており、父親とは 1 番の音楽仲間になっている。


実を言うと、今はほとんど Mr.Children を聴いていない。たぶん、普通の音源では満足できなくなってしまったというのが要因のひとつだと思う。

Thanksgiving 25 の『himawari』を見てしまったことに加え、「半世紀へのエントランス」ではドームとスタジアム両方に参加できた。しかも、ドームは『PADDLE』と『LOVE』という日替わりの中でも特にニッチな曲を聞かせてくれた名古屋公演、スタジアムはツアーファイナルの大阪である。そして何より、今は自分がまだ知らないたくさんの音楽に出会いたいという欲求が強い。

それでも、私は相変わらず Mr.Chidren が大好きだと胸を張って言うことにする。新曲も聴くしライブにも行きたい(ホールツアーは外れたけれど……)。きっと私が寿命の半分も使い切らないうちに Mr.Children は終わってしまうから、今を生きる彼らの姿をできる限り目に焼き付けていたいなと思う。

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