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スペシャリストに仕事を正しくお願いするための2つの問いかけ

こんにちは。

僕はもうすぐ、社会人7年目になります。
新卒からずっと同じ会社の同じ事業にいて、マーケティング・開発まわりの仕事をしてきました。

大きな仕事は、一人ではできません。一人でやれることなんて限られています。

僕自身も、デザイナー、エンジニア、広告運用者、法務など、スペシャリティを持った方々とチームを組むことが多かったので、なおさらその想いが強くあります。


先日、会社で「デザイナーさんと連携したけど、要件が決まらずに、いつまでたっても作業に入れない」という相談にのりました。

話を聞いてアドバイスする中で、スペシャリストの方と働くときにしているちょっとした工夫が整理されたので、(僕がここでとても苦労したのもあり)誰か困っている人の役に立てればと、話したことをまとめようと思います。

結論からいうと、 僕がスペシャリストの方と仕事をするときは、次の2つを問いかけとして意識しています。

「仕事」のフローと役割のすみ分け

人と一緒に仕事をしたり、人にお願いすることって、日々当たり前にやっていることですよね。

なんとなくやっている「仕事をお願いする」は、要求・要件・実装という、3つのフローに分けることができます。ちなみに、要求≠施策です。

そして、この3つにおける、ジェネラリスト・スペシャリストの役割のすみ分けがこちらです。要件をつくるところは、2人で行うものです。

ジェネラリストのよくある失敗 6選

と、ここまではとても単純に見えるのですが、いざやってみると色々上手くいかないものです。

これまでの僕のやらかしを整理すると、要求をつくるときに3つ、要件をつくるときに3つと、合わせて6つのパターンに失敗を分類できます。(6年もやってると、だいたい全部の失敗をしてきた気がする)

失敗1:【要求をつくる】要求の思考不足

結局この施策、何がしたいんですか?」って言われたことありませんか?

そういうとき、要求がこんな状態になっていたりします。

  • 要求(施策によって実現したいこと)が「施策を実行すること」になっている

  • 要求が2つ以上存在している

  • 要求を満たしても、事業貢献(更に上段の要求)につながっていない

どれも、要求を考えきれていない、思考不足の状態です。

失敗2:【要求をつくる】暴走・迷走

デザインなどに取りかかると、アイディアがたくさん生まれて楽しくなり、本来の目的(要求)をおいてけぼりにしてしまうことがあります。

これも、「要求の思考不足」のように、要求が明確になっていないにも関わらず、要件化にとりかかるとよく起こります。

「この施策やったのはいいし、楽しかったんだけど、何でやったんだっけ?」とかなると、まずいです。

失敗3:【要求をつくる】自信を失う

施策をつめて、エンジニアさんやデザイナーさんと会話するときに、「持ち帰ります」が口癖になっていませんか?

「要件」を詰めていく中で、仕事をお願いする人が「要求」に自信がなくなることがあります。 自信を失う理由は、例えばこんなものがあります。

  • 要件をつくる中で、聞かれた質問に正しく答えようとして、答えられない

  • 要求をつくるときに気づいてなかった、新しい観点が見つかる

失敗4:【要件をつくる】専門性への甘え

「ここから先はスペシャリストの領域だから、自分はあまり触れない方がいい」

「専門性」ゆえに、無意識にその人に任せてしまう/甘えてしまうことってありませんか?
これが「実装」のところなら良いのですが、「要件をつくる」ところだと失敗します。

これを繰り返すと、スペシャリストに負荷がよってしまい、ハレーションが上がったりします。

失敗5:【要件をつくる】MustとWantの取り違い

要件をつくる中で、Must要件とWant要件を取り違えてしまって失敗することがあります。

構造にすると単純なのですが、実際の仕事は要求と要件を行ったり来たりします。 それゆえに、意識してないと「要求をつくる」役割と「要件をつくる」役割を混ぜながら、会話してしまいがちです。

ここをあいまいにすると、何の目的に沿って今考えればいいかがわからなくなり、気づいたらその場のノリとテンションで決めて進めてしまいます。こうして決めたことが、後々自分を苦しめることになります。

失敗6:【要件をつくる】「要件っぽいもの」しかできない

実は要求がしっかり固まっていても、要件がちゃんとできないことがあります。
それは、「要求」の抽象度が高く、「要件」にできないときです。

要求の抽象度が高いときは、実際に作業ができるまでに、何回か要求を要件にする必要があります。

しかし、お願いする人とお願いされる人ができることにギャップがあると、その間をつなぐことができず、正しい要件にすることができません。

こういうときって、ぜんぶ見えるスーパーマンがいて、助けてくれることがあります。上司とか先輩とか。でも、そういう人がいないときは、もう時間がかかることを承知で、お互いに歩みよるしかありません。

失敗しないための、2つの問いかけ

このように、スペシャリストの人に仕事をお願いすることは、構造はカンタンに見えても、いざやってみると様々な落とし穴が隠されています。そして、失敗を繰り返していると、どんどんお願いする人の信頼残高が減っていき、徐々にお願いしづらくなってしまうものです。

でも、そもそもお願いする人の役割は「要求をつくる」「要件をつくる」の2つでした。僕の経験則では、それぞれのフェーズで次のように問いかけると、スペシャリストに仕事を正しくお願いできるようになります。

以下で、もう少し詳しく説明します。

問いかけ1:「シンプルではなく、ミニマルな」要求をつくる

要求をつくるときの3つの失敗は、要求を考えきれていない、それゆえに要件化のプロセスで要求がブレる、あるいは要求に自信が持てない、と、どれも要求のクオリティが低いことが問題でした。

では要求のクオリティをどうやって高めるのでしょうか。(テクニカルな話はいくつもあるのですが)自分で広く・深く考えることと、いろんな角度からフィードバックをもらうことが重要だと思います。

僕が実際に仕事をする中でも、「めっちゃ考え抜いた」と思えるような、すごく自信度の高い要求ができるときがあります。でもそういうときに限って、要件にするときに出たちょっとした指摘で、考慮モレが見つかるんですよね。 


突然ですが、シンプルとミニマルの違いってわかりますか?

僕はこの、広野さんの説明がわかりやすくて好きです。
特に性質でいうと、シンプルは「単純」、ミニマルは「削ぎ落とされて尖っている」とのことです。

色々考え抜いた末に焦点が絞られた要求、つまり、ミニマルな要求をつくることに責任を持つことが大事なんだと思います。

問いかけ2:「スペシャリストが気持ちよく走り出せるまで」要件を(一緒に)つくる

要件をつくるときの3つの失敗は、「2人で作る」という特徴がゆえに、コミュニケーションの目的がズレたり、役割の期待値がズレることが問題でした。これらにズレを生まないためには、ジェネラリストがスペシャリストの視点に立つことが必要になります。

でも、スペシャリストの視点に立つって難しいんです。
てこの原理で岩を押してもびくともしないように、相手視点に立とうと思っても、なかなか立てないものです。

どこに力を入れると、(結果的に)相手視点に立てている状態になるか」を知ることが、大事になってきます。

僕は、 「スペシャリストが気持ちよく走り出せるまで、要件を(一緒に)つくる」 と決めてから、ボールがこぼれなくなり、失敗することが減った気がします。

特に、水準の「スペシャリストが気持ちよく走り出せる」というのがあると、相手が気持ちよく進めるには何が必要なのだろうかと考える癖が付き、いい「力の入れどころ」となっています。

現場や上司も、スペシャリスト

スペシャリストの人と上手く仕事ができると、思ってもみなかったことが一緒に実現できて、楽しくなります。
今回の記事が、そういう機会を増やすお役に立てれば幸いです。

今回の2つの問いかけ、経営と現場、上司と部下という関係性でも使えるのではないでしょうか。

例えば、「現場」は「一次情報を持つ/リーチできるというスペシャリティを持った」スペシャリストと考えることもできます。
経営の人がいう「現場が動かない」も、そもそも現場が気持ちよく走れるまで、要件を一緒につくれてるんでしょうか?

また、「上司」は「ヒト・モノ・カネを調整できるというスペシャリティを持った」スペシャリストではないでしょうか。
「上司がわかってくれない」という悩み、そもそも要求はミニマルになっていますか?


この2つの問いかけ、実はいろんなシーンで使える「人となめらかに仕事をする」問いかけなのかもしれません。

ちょっとした工夫で、仕事が楽しくなるのっていいですよね。そんな工夫を増やしていきたいものです。

では、またどこかで!


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