やだ、もう長い（笑）
ありがと。これでラストで〜す。

来た！金沢のピーカンで気持ちのよい朝だ☀️


★   戸水屋とみずや

地元客じもときゃくでいつもいっぱいだという、老夫婦が営いとなむ和菓子屋。ウチの夫は大だいのあんこ好きなので、最終日は朝1番あさいちばんにこちらに駆かけつけました。うっかりしてましたが、その日はお彼岸ひがんで、ガラスケースは空からっぽ。
老夫婦が裏うらの厨房ちゅうぼうでフル回転かいてん。誰も他に雇やとってないらしく、奥から白衣はくいの老夫婦ろうふうふが痴話喧嘩ちわげんかしながら飛び出て来た。

「何がありますか？」
「ないよ、何にもない。おはぎだけ。きな粉とあんこ」
「あ、そちら買いたいんですが」
「まだないよ。あとね〜25分は、かかるよ」
「大丈夫です。」

気長きながに車中しゃちゅう待ちして、熱々あつあつのおはぎの包みをゲット。あんこ好き夫の興奮コーフン。

「わっすげ〜！出来たてだ。今すぐ食くいて〜」

江戸時代の旅人たびびとの気分。峠とうげの茶屋ちゃやで貰もらったまだ湯気ゆげの出る包つつみを楽しみに歩く。そんな事をふと思い浮かべて、ほくそ笑んだ。

★  金沢城址公園かなざわじょうしこうえん

とにかく広い。日本史に疎うとく、今ひとつ城しろへの見聞けんぶんが足りない私は右往左往うおうさおう、もうどうしていいかわからない広さ。

でも日曜の朝は、気持ちがいい。家族連れや観光客でいっぱい、ここは健康的だ。

〇　休憩施設きゅうけいしせつ

日陰ひかげを求めて、ホッとひと休み。ウッディで新しい。売店ばいてんや食事処しょくじどころも。

★  中谷宇吉郎なかたにうきちろう 雪ゆきの科学館かがくかん

金沢から加賀かが方面へ高速道路で40分片山津かたやまつ。私の一度来てみたかった場所。

〇　中谷宇吉郎なかやうきちろう

ここ片山津かたやまつ生まれ。
北海道大学で教授を務める中で、雪ゆきの結晶けっしょうの美しさに魅了みりょうされ、生涯しょうがいにわたり雪ゆきや氷こおりの研究に携たずさわった。

「雪ゆきは 天てんから送られた 手紙てがみである」

そんな研究けんきゅうって良い。生活も人生も、ロマンティック色になる。

◯  贈られた記念品の数々

彼が還暦かんれきや、何かの記念きねんに、あちこちから貰もらった品々しなじな。花瓶かびんや文筆箱ぶんぴつばこや便箋びんせんまで、みんな雪ゆきの結晶模様けっしょうもよう。年を取って貰ったものなのに、どれもこれも、なんだか全部が愛あいらしい。

◯   絵えも歌うたも達者たっしゃ

小唄も上手だった。

☆   氷こおりの結晶けっしょうペンダントつくり体験たいけん

しばらくしたら溶とけてしまう氷こおりの出来たてのペンダントを持って、ダッシュで外そとに出て、スマホ撮影。陽光ひかりを集める氷こおりの輝きって、長く生きて面倒臭めんどくさくなってる私たちの心だって簡単に弾はずませる。ああ、自然は、無敵むてき。

☆   併設へいせつのカフェ

★  金沢海かなざわうみみらい図書館

また1時間半かけて金沢に戻って来ました。金沢の幾つかある図書館、どれも雰囲気があるらしい。
こちら「世界の美しい図書館25選」に選ばれた、シーラカンスH&M 設計のもの（2012年）

◯  移動中に見えた家

夫が隣で、ニコニコ撮影。

★   室生犀星記念館むろうさいせいきねんかん

室生犀星むろうさいせいは、詩人で作家。不倫の親のもと金沢で生まれすぐ養子に。養母が育児放棄し遊びまくり、彼は小学校も中退させられ、家を追い出され、実の親も探せず、養護施設で育つ。地方裁判所に給仕の仕事をしている時に、文学を独学で学んで、東京に出た。出生や学歴のせいで、仕事も恋愛も何もかもここでは上手く行かない。思い出したいものもない。金沢は故郷ではあるが、犀星さいせいに帰る場所などどこにもない。いつも早く東京に帰りたがっていた。

のちに書く
「故郷ふるさとは遠とほくにありて思おもふもの…」
あまりに切せつない。

室生犀星むろうさいせいは、とんでもない苦労をしたのに、恨うらんだり妬ねたんだりしない人生って偉えら過ぎる。私だったら、暴あばれてクダ巻まいて当あたり散ちらす鼻はなつまみ者もんになるくらい、絶対やったはず。優しくて家族思いなんて、当時の売れっ子作家には珍しい。
見かけによらない犀星さいせい、丸文字まるもじ➕甘党あまとう➕生物いきものが大好き、女の子みたいなのだ。

犀星さいせいの甘いもの好きは有名で、特に「森八もりはち」の羊羹ようかんがお気に入り。亡くなってから見つかった
メモ書き4枚が
「羊羹ようかんを買いに行ってくれませんか。」
で、2枚が
「羊羹ようかんを買って来てくれて、ありがとう」
もうどんだけ羊羹ようかんが好きなんだか（笑）

犀星さいせいは作家として大成しても、派手な住まいを持たなかった。
愛弟子まなでしたちは本当に顔をしかめた。それは自分達のどの実家よりも、師しの家いえが小ちいさいからだ。

のちに信州にも家いえを作るのですが、そこも小さな箱のようでした（庭は広い）。で、犀星さいせい自身は、いつも虫籠むしかごを首くびから下さげて虫むしとりをここで楽しんでいた。特にキリギリスが大好きで、みな総出そうでで探した。
「それが、キリギリスは、なかなかいなくて」
毎回、それに付き合わされた親族の女性が言う。

で、東京に帰らなければいけなくなると、その大切な虫をその人達に
「はい、これ」とニコニコ渡し、
「もし（虫が）死しんでしまったら、ちゃんとお墓はかを作ってね」
と言う犀星さいせい先生、
め、迷惑めいわくです。

★   犀川さいがわの夜景

徳田秋声とくだしゅうせい記念館近くの川べりを散策さんさく。人通りもまばらで、デートにもってこい！

★   金沢駅

夜の鼓門つづみもんも堂々どうどうとしていて、立派りっぱだ。

★   金沢駅で回転寿司かいてんずし

意外に早く店が閉まる。みんな考える事は同じなので、数少ない飲食店は、大行列だ。40分待ちで夫のイライラはマックス、でも我慢がまん。富山湾の（金沢じゃない？）回転寿司へ。
2種類しかない蟹かにと大好きな貝かいを頬張ほおばる。
炙あぶりのタレなし穴子あなご、最高サイコー！
「うんまいなぁ、これ」
「おーいしー」
人間ひとってやっぱり、お腹なかが満みたされると、ご機嫌きげんに。本能ほんのうって正直しょうじき、平和だわ。

最後の最後に、ようやく、とりあえず小さいけど、蟹かにを食べたし。やった〜

★  石川割いしかわわり

そうそう、あの「お得とく大好き男」の夫がまさかのコロナ接種証明せっしゅしょうめいを不携帯ふけいたい、悔くやしがってた。
夫　「なんで俺に、そんな大事なこと教おしえないんだよう」
私　「え？そんなの常識じょうしき。ねぇ何なーにテレビ観みてんの？」
私は、写真がスマホに残っていた。
で、私だけ。はい、¥3000（能登で）➕¥1500（金沢で）お買物券かいものけんいただきました。

上りの新幹線が（日曜の）20時台が1本もない？えーっ？21時06分発の、最終の東京行きに。でも行列の寿司で、結局時間ギリギリ。余裕ゼロで、乗り込みました。

記念に1枚欲しかったが買えなかった九谷焼くたにやきの皿さらと、やっぱりもう少しゆっくり蟹かには堪能たんのうしたかったなぁ、なんて考えていたら、新幹線はゆるりと東京駅に到着。

はぁ、楽しかった〜