見出し画像

この世界は、特権を持つ者と持たざる者でできている|LAP8期ジェンダー単元の復習

去る7月2日(日)に、INVITATION 代表 変革リーダーシップコーチ  松田美幸さんをお迎えして、LAP8期のジェンダー単元を開催しました。

今回は学習者としての視点で、講義を振り返りたいと思います。

※参照:Liberal Arts Program for Next Leaders~人間を考える学び舎~

冒頭ではプロデューサーより、LAPひいては物事全般における「出逢い力」「向き合い力」についての話があり、LAPの基本姿勢、①自分の見解を持つこと、②謙虚かつ勇敢に言語化すること、③違う見解を許容することを、受講者とともに再確認。そして、早速講義へ。

事前に美幸さんから出題していただいた課題については、こちらを参照していただければと思います。

▼特権?ジェンダー格差?|LAP8期ジェンダー単元の予習


1)自分につけられているタグ

講義、最初のテーマは、私たちにつけられている「タグ」について。
動画を視聴して「特権」について考えた。

▼【日本語字幕つき】特権とは?がわかる動画【Privilege Explained】

動画の内容は、100ドルの賞金を懸けたレースで、条件に適う人は2歩ずつ前に進めるというもの。

そこであげられた条件とは、「両親が離婚していない」「父親のいる家庭だった」といった、当人の意思や努力ではどうすることもできないもの。

・自分の特権には気づきにくい。
・特権、格差が可視化された時、前に居る人も後ろにいる人も居心地が悪い。
・公平でないから、競争しなければいけないという前提。

「すべての特権が輝くなら、世界は明るいのではないか?」

と考えてみたけれど、でも、その世界は如何にして実現できるのだろう?

2)日本におけるジェンダー不平等

続いて、話題は「日本におけるジェンダー不平等」へ。
上記のレースのゴールが「働く機会を得る」だったとしたなら?

日本では1986年に男女雇用機会均等法が施行されるまで、「うちの会社は女性は採用しない」「女性は自宅通勤に限る」ということが許されていた。また「子どもを保育園にあずけると可哀相」といった価値観から、女性の社会進出が身勝手とされる風潮も根強かったという。女性は足枷を付けられていたわけだ。

もちろん、進んで家庭に入り幸せに生きてきた女性も、望まない社会進出を余儀なくされ苦しむ男性も居たことだろうと思うけれど、如何なる性別であっても、自由な職業選択が許されない社会が自分を大切にしてくれていると感じることは難しいし、それが自分ではない何者かには許されている場合に心から祝福するのも難しい。

進学、就職といった人生の岐路で、女性として生まれた運命を呪わずに済んだことはありがたいことなのだと思った。

3)あなたにとっての自動ドアは何ですか?

続いてのテーマは、「自動ドア」。
ここでは「特権」を言い換えたメタファーとなっている。

※「特権」とは、「あるマジョリティー側の社会集団に属していることで労なくして得る優位性」と定義しています。「本人の労なくして得ることができる優位性」というのは、たまたまマジョリティー側の社会集団に属することで、自動的に受けられる恩恵のことです。たまたまマジョリティー側の集団に属していることから、本人が気づきにくいとも言われています。

▼参照:ジェンダー平等に向けてビジョンを共有する職場で、労働組合で、何をめざすのか
特権に気付き社会を変えるマジョリティーへの教育を|2021.06

7月1日のカナダデーでは、近年お祝いのセレモニーが縮小に向かっているという。

建国記念日、それは先住民の方々にとっては侵略の歴史。先住民は迫害の影響で、アルコール依存症などを抱える人の割合が多い。女性への被害も甚大なものだったそう。

そうした歴史は、今を生きる世代にとって「知らない話」。それでも「侵略した人々」というタグは外れない。

“(先人を含む)私たち”の過ちを認め、引き受けることは、勇気と覚悟が必要なことだけれど、向かうべき人類の成熟の方向性であり、身に着けるべき所作だと思う。

カナダの事例の一方で、アメリカでは、今年2023年に入って、大学入試における「アファーマティブ・アクション」が白人の権利を侵害する違憲行為であると訴えを起こし、裁判で勝訴。また、レイプ被害者を含む女性の中絶を規制する州が増えているという。

※アファーマティブ・アクション:社会的・構造的な差別によって不利益を被ってきた人々に対して、一定の範囲で特別の機会を提供 するなど、実質的な機会均等を実現するために講じる暫定的な優遇措置。

政策は「ずっと正しい」わけではない。時代の流れ、社会の変化に応じて変えていかなければならない。

そして、向かうべき人類の成熟の方向性とは逆行してしまうこともある。それは、私たちの失敗として真摯に受け止めなければならないし、私たちの手で変えていかなければいけない。

4)ジェンダー格差をなくすためには?

続いて、事前課題に対する考察をチームごとに発表してもらった。
課題の詳細はこちらを参照されたい(再)。

▼特権?ジェンダー格差?|LAP8期ジェンダー単元の予習

「ジェンダー格差をなくすためには?」

各チームからはクオータ制の導入やジェンダー教育などが提案され、それに対し美幸さんから、海外の先進事例や、実効性のない理念法ばかりの日本の現状について、情報提供いただいた。

5)女子サッカーに見るジェンダー格差

続いて、「女子サッカー」の事例をご紹介いただく。

▼壁を壊せ!-ドイツ女子サッカー 台北の奇跡-【予告編】Das Wunder von Taipeh

かつてドイツでは、「サッカーは男性のもの」「女性は不要」と考えられていた。女子サッカーチーム「Bグラートバッハ」はとにかく実績を積み、大会での優勝経験は8回。ドイツサッカー連盟は台湾での国際大会に同チームを推薦するも、「ドイツ代表」とは認めず、遠征費用を工面しようとしなかった。

▼LFG-モノ言うチャンピオンたち- 予告編

アメリカの女子サッカーチームの訴え。あらゆる職業において、女性は男性よりも収入が少ない。女子サッカー選手は、選手としての給料だけでは生活もままならない。アメリカサッカー連盟による男女不平等を告訴するため、選手たちは立ち上がった。

・マジョリティとして何ができるか。マイノリティとして何ができるか。
・立ち向かう気力すら起こせない、諦めていることにも気づけない、学習性無気力。
・「あなたは・・・なのだから、わきまえなさい、慎みなさい」の積み重ねによる、意欲の冷却効果。
・「男性スポーツだってマイナースポーツは大変なんだぞ!」という男性コメント。「一方が大変である」ということは、「もう一方が大変でない」と言っているわけではない。お互いの苦しみが解放されるのが望ましい状態のはず。
・男性の敵は、女性ではなく家父長制。男性が生きづらさを感じているのであれば、女性に怒りをぶつけるのではなく、家父長制を形成している社会に怒りの矛先を変える必要がある。お互いのコアな願いを共有し合っていくこと。
・成人発達理論とリーダーシップ。自分の意見を伝えること、相手の意見を受け容れること。その両者を成り立たせるには、一度自分のコアな願いとしっかり向き合う必要がある。

6)おわりに

今回の予習と講義を通して、少なからず自分の中にもバイアスは「社会の前提」として染みついていることを感じ、改めて危機感を持ちました。

参考図書「ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法」を読んでいて、「セクシスト(=性差別主義者)」や「マンスプレイニング(=男性が上から目線で説明や説教をすること)」など、あまりにもジェンダーに関する知らない単語のオンパレードでしたし、「フェミニストの敵は、男性ではなく性差別と性暴力」、「性差別・性暴力の被害者は女性だけではない」ことなど、全ての人が性別を理由に不利益を被ることのない社会を協力、連帯して築いていくために、社会全体で共有すべき認識だと思いました。

また、「ノットオールメン(=男性が皆悪者ではない!という男性による反発)」や「クインビー(女王蜂)症候群(=私たちはもっと苦労したのよ!という女性から女性に対する圧力)」など、あるある、おるおるでしたし、当事者に何をどう伝えるとよいのかや、実際に社会へ働き掛けていくときに、いかにしてマジョリティを巻き込んでいけばよいのか、先人の知恵も共有されていてあまりにも学びが多く、ありがたい書籍との出逢いでした。

▼ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法/著・アルテイシア

そして、今回何よりも、美幸さんが仰っていた「ダイバーシティとインクルージョンを実現していく上で、ジェンダーはよい入口になる」というお話しに膝パーカッション!(前述のヘルジャパン~参照)

チーム・組織において、ハラスメント防止の文脈でジェンダー教育を施すことが、性に留まらず、あらゆる多様性を包摂し、活かし合う道を拓いてくれそうだと思いました。コミュニティデザインを考えるときに、この視点を忘れずに活かしていきたいと思います。

私には、持っている特権も、持っていない特権もあります。労せず開く自動ドアもあれば、開かないドアもある。ドアの前で誰かが立ち尽くさなくていいように特権を活用していきたいと思うし、目の前のドアが閉まっているときに、そのドアを開けることは、誰かの道をも拓くのでは?と素敵な勘違いを携えて、特権保持者の力も借りながら精一杯開けてみたいと思います。

降りかかってくる世界のすべてを変えることはできないけれど、自分も世界に影響を与える1人であることを信じて。

以上


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?