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トマトジュース

すっかり忘れてしまっていた。わたしはその日、壁に掛けられたプラズマテレビを知らない人と一緒に見ていた。その人の顔を思いだすことがどうしてもできない。たぶん眼鏡を掛けていたと思う。髪は直毛で量は少なかった(ような気がする)。どの点についてもいまいち確信が持てない。唯一確信を持って言えることがある。それは、その人がトマトジュースを飲んでいた、ということ。真っ赤なトマトジュース。濃厚なそのドリンクは半分個体のようにどろどろとグラスから流れ落ちて、その人の口のなかに入っていった。トマトジュースというよりもケチャップの質感により近い。しかし、それはケチャップではなく、トマトジュースだった。わたしは確信を持ってそう言い切れてしまう。


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