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「シャボン玉のアヴァランシュ」#motohiroとカフェ

「あら?ねこちゃんがシャボン玉を飛ばしているわ」

森の中ひとり。どこか疲れた顔のお姉さんが言いました。

目の前には素敵なエプロンを着けた黒ねこが

「ぷぅ ぷぅ」と

青空に向かってシャボン玉を飛ばしています。

その様子を見ていると後ろから

「こんにちは」

優しそうな男の人。
お姉さんは慌てて挨拶を返します。

「今、僕たちのカフェの新メニューを作っている所なんです。良かったら味見をしてみてくれませんか?」

森の中にある、あたたまるには、ちょうどいいくらいの、ちいさなカフェ『ひだまり』

男の人はmotohiroさんといって、黒ねこの女の子と一緒にカフェを開いていました。

店内はほっこりとあたたかく、どこか懐かしい雰囲気。

「今日はどちらへお出かけですか?」

motohiroさんが尋ねると、お姉さんは木の椅子に腰かけながらう~んと悩んで答えます。

「それが、分からないんです。気付いたらここにいて、どこへ向かえばいいのか、これから何をすればいいのか…」

お姉さんはとても疲れているようでした。
何かとても嫌なことから逃げてきて、走って走って、疲れて立ち止まったのがこの森の中。

「でしたらコレがお役に立てるかもしれません」

コトッ

テーブルの上に不思議なものが差し出されます。

「これは…ガラス玉?」

白いお皿の上に大きなガラスの塊がひとつ。

「シャボン玉のアヴァランシュ。『ひだまり』の新メニューです」

ガラス玉の中には沢山の色が渦巻いています。

(どうやって食べるのかしら)

不思議そうに見つめるお姉さん。

そこへ黄金色のシロップを手にしたmotohiroさんがフフッと笑って言いました。

「よく見ていてくださいね」

とぷ とぷ とぷ…

シロップをガラス玉にかけていきます。

すると…

ふしゅーっ

ガラス玉が煙をあげて溶け出したかと思うと、中から沢山のシャボン玉がふき出しました。

「わあ」

色とりどりのシャボン玉が甘い香りを漂わせながらゆっくりゆっくりと宙を舞います。

その中には今までに見たことのないような綺麗な景色が見えました。

「まるで夢を見てるみたい」

そう呟くと

「世界の景色を集めました。本物はもっと綺麗ですよ。」

その言葉にお姉さんは目を丸くしました。

(この世界には…こんなに沢山の綺麗な景色が広がっているんだ)

夢中でシャボン玉を眺めていると

「さあ、溶けないうちに召し上がれ」

目の前には溶けたガラス玉の中からひょっこり顔を出したキャラメル色のアイスクリーム。

すくって食べるとひんやりと冷たく、とろりととろけたキャラメルの風味が口いっぱいに広がります。

カリッとした食感のクランチキャンディーが入っていて、ほおばるたびに幸せな気持ちでいっぱいになります。

「motohiroさん、この新メニュー、最高です!」

「それはよかった」

疲れた顔はどこへやら、お姉さんの顔はキラキラと輝いていました。

(これからどこに行ってみようか。あそこにも行きたいし、あれもこれもやってみたい!)

シャボン玉を眺めながら、なんだか楽しそうなお姉さん。

お店の隅では素敵なエプロンを着けた黒ねこが二人の様子をニコニコと見つめているのでした。

あま~いシャボン玉を食べながら。

おしまい

motohiroさん、素敵な企画をありがとうございました(*^^*)

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