ワンダヴィジョン・F&W・ロキだけじゃない、他にもいろいろMCUドラマ

インフィニティサーガが終わり、フェーズ4でマーベルシネマティックユニバース(以下MCU)はディズニープラスを配信媒体に本格的にドラマをシリーズに組み込んできました。

シットコムのような形式を取り入れつつっホームコメディと狂気のホラーテイストも組み込んできた異色作『ワンダヴィジョン』。『キャプテン・アメリカ』シリーズの志を引継ぎ、『エンドゲーム』後の混沌とした世界と人々の象徴として戦うヒーローたちを描いたアクションエンターテイメント『ファルコン&ウィンターソルジャー』。そして、シリーズ屈指の人気キャラクターを主役に時間を扱ったサスペンスからシリーズの今後を大きく左右する驚愕のラストに進んだ最新作『ロキ』

どれもバラエティ豊かで映像とシナリオのクオリティも映画と遜色ないレベルで面白かったですね。今後も『ホークアイ』『ミズ・マ―ベル』などの配信が予定されています。

しかし、MCUと世界観を共有するドラマシリーズは『ワンダヴィジョン』以降の物だけではありません。これまでにも何作か、MCUの一環として放送・配信されてきたドラマがありました。今回はこれらを紹介しようと思います。

これらは『ワンダヴィジョン』以降のように密接に映画のMCUシリーズとかかわりがあるストーリーにはなっていませんので、見ないとMCUのメインシリーズに付いていけなくなるといった類のものではまったくありませんが、映画とはまた違った個性が光る作品が多いので是非勧めたい。


エージェント・オブ・シールド

MCUの派生ドラマとしては初の作品。ABCスタジオによって製作され、7シーズン、全132話という最長のシリーズでもあります。

主人公はMCUの初期映画作品や『キャプテン・マーベル』にも登場した”フィル・コールソン”。時系列では『アベンジャーズ』の後で、ロキに殺されたはずの彼がなぜ生きているのかという謎を残しながら、スーパーヒーローたちの裏で活動する諜報組織S.H.I.E.L.D.の精鋭チームの活躍を描くスパイアクションドラマです。

ドラマの中では映画シリーズと関わりが強い方で、映画から登場したキャラであるコールソンをはじめに、お馴染みのニック・フューリーや『ソー』シリーズのシフもゲストですが登場します。特にシーズン2まではS.H.I.E.L.D.の敵対組織で『キャプテン・アメリカ』シリーズなどに登場した”ヒドラ”との対決や、『ウィンターソルジャー』と時系列が重なりS.H.I.E.L.D.の解体の裏側やその後が描かれており、MCUの外伝的な側面が強いドラマです。

しかし、それ以降はシーズンを重ねるごとに独自の路線が強くなり、特殊能力をもつ人間”インヒューマン”絡みのストーリーや、宇宙・仮想世界・タイムトラベルのような要素を扱ったSF色が濃い内容になっていきます。映画では登場していないマーベルコミックスのヒーローやヴィランも何人か登場し、特にシーズン4では人気の”ゴーストライダー”が活躍します。

私的このドラマの魅力は、スパイや警察ものの海外ドラマらしい個性的でプロフェッショナルなチームの活躍と、シーズンごとにバラエティ豊かな息つかせぬ展開の連続ですね。リーダーのコールソン、初めはハッカーとしてスカウトされストーリーのキーパーソンとなるスカイ、コールソンと腐れ縁で高いパイロット技術と戦闘能力を持つ女戦士メイ、科学者で優秀なバックアップ担当のフィッツ&シモンズなどのメンバーが、各々の専門分野を活かして戦う展開は、アベンジャーズのようなスーパーヒーローものとはまた違った面白さがあります。人気海外ドラマあるあるでかなり長期のシリーズにはなっていますが、それ故に見進めるとレギュラーメンバーへの愛着が大きくなり、終盤は彼らが無事に戦いを生き延びられるかハラハラしながら見進めました。最後のシーズン7は集大成的なコンセプトにもなっているので、長期シリーズならではの感動がありましたね。

MCUメインストリームには現状ほぼ関わりがない状態になっていますが、なんとかMCUの本筋にキャラが逆輸入されたりしないものですかね…(期待薄ですが)。

現在はディズニープラスで全シーズン視聴可能です。次の『ホークアイ』配信までまだ時間があるのでその穴埋めなどにも是非。


エージェント・カーター

"キャプテン・アメリカの恋人”こと、ペギー・カーターが主役のドラマです。『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の後、キャプテン・アメリカを失ったペギー・カーターが1940年代のアメリカという女性の活躍が望まれない時代に一人のエージェントとして悪に立ち向かっていく内容です。

『ザ・ファースト・アベンジャー』から地続きとなる世界観ですが、内容的つながりは薄く、ほぼオリジナルのストーリーとなっています。とはいえ、トニー・スタークの父で映画にも何度か登場したハワード・スタークや、彼の執事で後にトニーの家庭教師となるエドウィン・ジャーヴィスらがレギュラーとして登場します。ジャーヴィスはアイアンマンのAIでお馴染みの”J.A.R.V.I.S.”の元となった人物ですね(実は彼は『エンドゲーム』に一瞬登場しています。今のところおそらく唯一ドラマから逆輸入されたキャラ?)。

1940年代というレトロな世界観が他のMCU作品とは一線を画していて、オシャレで独自の魅力を出しています。また、女性蔑視が激しいまだまだ古い考え方が主流の時代の中、持ち前の頭脳と勇敢さで男たちに負けない活躍を魅せるカーターがカッコイイ。彼女の相棒であり、生真面目でどこかコミカルなジャービスとのバディものとしても非常に面白いです。

ディズニープラスで配信されている『ホワット・イフ…?』第1話では、かーたーがスティーブの代わりに超人血清を打って”キャプテン・カーター”になったら?というお話でしたね。ドラマではあんな風に超人化はしていないのですが、カーターの活躍をもっと見たいという人は是非ドラマも。

評価は高かったようですが、残念ながら視聴率の伸び悩みで2シーズンで終わってしまいました。当初の予定ですとおそらくS.H.I.E.L.D.設立のあたりまでの展開を考えていたようですね。見たかった。まあ全18話ですので、逆に今からでも追いやすい話数です。こちらもディズニープラスで全話見れます。


デアデビル

ここからは、ネットフリックス×MCUのシリーズの紹介です。ネトフリオリジナルの作品のため、ネトフリ独占配信(もしくはセル・レンタルDVD)となっており、現在ディズニープラスで新作のMCUドラマを楽しんでいる人は視聴環境的に見づらいシリーズにはなってしまうかと思いますが、とても面白い作品が揃っています。

まずは一作目。視力を失った代わりにその他の感覚が超人的に鋭くなった盲目の弁護士マッド・マードックが、夜のニューヨーク・ヘルズキッチンで人知れず悪党を狩るクライムファイター”デアデビル”として活躍するダークヒーローものです。

ネトフリ×MCU作品全体的に言えますが、コミカルで明るい作風が基本の映画シリーズとは逆で、重くシリアスでダークな雰囲気のドラマ。アクションも肉弾戦がメインで、グロテスクでバイオレンスなシーンも少なくないです。

正体を隠して夜の街で孤独に戦うデアデビルのダークなカッコよさと、裏世界を権力と財力で支配する”キングピン”、同じクライムファイターながらも人殺しを厭わない処刑人”パニッシャー”などとの対決で描かれる単なる善と悪ではない重厚なドラマが魅力です。敵にヤクザ組織が登場し、忍者のようなヴィランとの戦闘もある謎日本要素はちょっと笑えます。

特にシーズン1はネトフリマーベルのアベンジャーズ的な集合作品”ディフェンダーズ”に続く大事な一作目で『アイアンマン』的なポジションなので、この作品の雰囲気が好きだったら後続のシリーズも楽しめると思います(逆に苦手だとこれ以降の作品も合わないかも)。

3シーズン全39話がネットフリックスで配信されています。ディズニープラスでの新ドラマシリーズが決まってことでネトフリのドラマシリーズはすべて打ち切られてしまったので、少し続編への布石を残したラストで終わってしまっているのが残念。


ジェシカ・ジョーンズ

ネットフリックス×MCUのシリーズ第二弾。

怪力と高い跳躍力のスーパーパワーを持ちかつてはヒーローとして活躍していた”ジェシカ・ジョーンズ”が、ある事件をきっかけにヒーローを廃業。私立探偵事務所を営みながら街に巣食う悪、そして自分にとって因縁の存在と戦っていくサスペンスもの。

ドS・酒浸り・ちょっとツンデレの女探偵というかなり濃い主人公。アクションシーンは他のドラマと比べても少なめながらも、探偵ものということもありシリアスなサスペンスドラマに仕上がっており、所謂ヒーローものっぽさは薄めでネトフリMCUドラマの中でも個性が強い作品です。ジェシカを演じるクリステン・リッターさんも、とてもキュートな女優さんで大好きですね。

個人的にはシーズン1のメインヴィランで、言った言葉で人を操るという恐るべき能力を持つ”キルグレイヴ”の狂気かつ変態じみたキャラクターがMCUのヴィランの中でもトップクラスに大好きです。主人公だけでなくヴィランも時間をかけて掘り下げることができるのがドラマシリーズの利点ですね。

デアデビルと同じく3シーズン全39話がネットフリックスで配信されています。シーズン3はネトフリ×マーベルドラマの打ち切りがあらかじめが決まっていた最終作となったため、比較的綺麗に完結しています。


ルーク・ケイジ

ネットフリックス×MCUのシリーズ第三弾。

銃弾をも弾く鉄壁の皮膚を持つ巨漢”ルーク・ケイジ”が、ニューヨークの黒人文化の街ハーレムを蝕む悪と戦うドラマ。主役のルーク・ケイジはジェシカ・ジョーンズS1にも先行登場しており、作品間のつながりを感じさせます。

特徴はハーレムという街を舞台に、ヒップホップをはじめとした黒人文化が演出にふんだんに取り入れられ、彼らの社会が物語の核となります。MCUでは映画の『ブラック・パンサー』でもアフリカの一国ワカンダを舞台にして黒人文化・社会を描いていましたが、この作品では別の切り口でそのテーマを表現しているのが面白いですね。

前述の2作より少なく、2シーズン全26話がネットフリックスで配信されています。


アイアン・フィスト

ネットフリックス×MCUのシリーズ第四弾。

飛行機事故で死んだはずだったダニー・ランドが15年ぶりにニューヨークへ帰郷。すっかり変わってしまった周囲の環境に戸惑いながらも、行方不明中に修行で身に着けた格闘技と光る拳(アイアンフィスト)で謎の組織と戦うヒーローアクションです。

これまで紹介した三作よりは。主人公の性格もあり少しノリが軽い印象の作品です。タイトルからもわかる通り、拳を使ったカンフー風味の格闘アクションが魅力ではありますが、ダニーの死んだ両親が経営していた会社を巡る一族の愛憎劇という側面も。シーズン1は後に配信された集合作品『ザ・ディフェンダーズ』のプロローグ的な立ち位置になっており、欠かせない作品です。デアデビルにも登場した謎の組織”ヤミノテ”との戦いが本格化していきます。

2シーズン全23話がネットフリックスで配信されています。


ザ・ディフェンダーズ

これまで紹介したネットフリックス×MCUの4ヒーローが一堂に会する集合作品、ネトフリ版『アベンジャーズ』的な作品です。

それぞれの立場からニューヨークという街を守って来た4人のヒーローが、『デアデビル』や『アイアンフィスト』にも登場した敵組織”ヤミノテ”に立ち向かいます。

『アベンジャーズ』では世界、宇宙まで巻き込んだ大規模ヒーローバトルが魅力ですが、こちらはあくまでニューヨークという一都市を裏からひっそりと守っているヒーローたちの集まり。大きな支援組織みたいな存在もいないのでかなりこじんまりしていて、敵の本拠地に向かう交通手段が地下鉄だったり。個々の性格もアベンジャーズに負けず劣らず我が強く、わかりやすく”正義のヒーロー”というタイプのメンバーもいない。能力もアイアンフィストの光る拳以外は派手ではなく、戦闘もビームや魔法もない挌闘戦主体。そんな地味で渋いヒーローチームなのが彼らの魅力。”表のアベンジャーズ”に対しての”裏のディフェンダーズ”といった印象ですね。シリーズを見てきて彼らが初めてそろうアクションシーンは、映画と変わらずテンション爆上がりでした。

1シーズンのみの全8話なので、一気見してもいいかもですね。

ちなみにディフェンダーズに至るまではそれぞれのドラマのシーズンをある程度時系列順に見る必要があり、以下のような順になっています。

デアデビルS1

ジェシカ・ジョーンズS1

デアデビルS2

ルーク・ケイジS1

アイアンフィストS1

ザ・ディフェンダーズ

また、ディフェンダーズ以降のシーズンは時系列があまり影響しないので、どのドラマから見ても問題ないかと。


パニッシャー

ネットフリックス×MCUですが、ディフェンダーズの一員ではなく『デアデビル』のスピンアウト的な作品。『デアデビル』シーズン2で登場した復讐に生きる処刑人”パニッシャー”を主人公としたドラマです。

パニッシャーはMCU以前に何度か映画化もされているマーベルの人気キャラクターで、元軍人の主人公が家族を殺されたことを機に裏の世界で犯罪者を次々と殺害する処刑人となります。銃火器のエキスパートで残虐な殺しも厭わないダークヒーロー味がより強いキャラクター。ネトフリのシリーズの中でも一段と暴力的なシーンが多いドラマですね。過激なアクションシーンと復讐鬼として生きる男の悲哀を描いたかなり面白い作品です。

2シーズン全26話がネットフリックスで配信されています。


その他…

これまで紹介したシリーズ以外にも、異能力者たちの王族が星を追われ地球に逃げてくる『インヒューマンズ』、ヴィランの親を持つ子供たちがヒーローとなっていく『ランナウェイズ』がディズニープラスでは配信されています。他にも、光と闇の能力をそれぞれ持つ男女のヒーローバディ『クローク&ダガー』というドラマもあるのですがこの作品は現在(2021年8月)日本では配信されていないようですね。チェックはしていませんがレンタルDVDならあるかも。

これらは私はまだ見れていないのですみませんが今回は詳しい紹介を省略します。制覇したくなる質なので、いつかは観たいとは思っています。観たら感想書くかも。



長くなってしまいましたが、今回はMCUファンでも追っている人が周りに少なかったので、これらのドラマシリーズを紹介しました。私的には大好きなシリーズですが直接語れる相手がいなかったので、語りたかっただけでもあります。

今後これらのシリーズがMCU本筋に関わってくるかはかなり微妙になってきましたが、ドラマも原作も人気のあるデアデビルなんかは何度か映画に再登場すると噂も出ていますね。先に見ておけば、MCUをより楽しめるかも。

『ワンダヴィジョン』や『F&W』、『ロキ』でドラマ作品の魅力に触れた人は是非こちらも!

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