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一生一緒にいてくれ、と思えた本。

こんなに緊張する書評は初めてかもしれない。先日、1章でページを捲る手を止めた、という本だ。

書評に緊張感が走る理由は、「この世は明ける。書けば、必ず」と帯に書かれているからだ。「書く」ことに対する本に対して、何かを「書く」というのは非常に勇気がいる。

僕もライターとしてお金をいただいて働いているだけあり、それこそ言葉を選んで勢いよく切り込みたいところ。端的に言わせていただく。

「これは棺桶に入れてほしい」と思える一冊に何年かに一度出会うのですが、2023年7月にやってきてくれました。いつか我が子にも読んでほしい。

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2章から「娘の習い事の待ち時間で読めるだけ」と読み始めたら、まるで1本の映画を見ているような感覚に陥った。「2章だけ読もう」という考えは甘かった。映画館のような「拘束」が本にはないので、適当なタイミングで離脱するだろうという考えも甘かった。

待ち時間は習い事の教室の近くにあるマクドナルドが定番で、常にガヤガヤしている。昨日もうるさかった気がする。「気がする」というのは、正確には音の様子を覚えていないからだ。

僕は、作品の中に潜り込み、時間を忘れていた。時計は、7月24日17時24分。お迎えに行く6分前だった。

一冊の本に没入したのは久しぶりで、1本の映画を夢中で観ている感覚を抱いたように思う。本という媒体は好きで、よく買うのだが、たいていすぐに読むのをやめてしまう。積読されている本は山ほどある。手に入れて一気に読み切る本など数冊しかない。その点でも、この本は別格なのだ。

読了後の興奮を知り合いに速く伝えたくて、でも、陳腐な言葉では語り尽くせなくて、そのもどかしさの中にある昂りを言葉にしたのが引用文である。

「これは棺桶に入れてほしい」と思える一冊に何年かに一度出会うのですが、2023年7月にやってきてくれました。いつか我が子にも読んでほしい。

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冷房の風が直接当たる、マクドナルドのカウンター席。ひとつ離れた席で一回りくらい上の方がパソコンに一生懸命向き合っていた。娘は習い事に一生懸命だった(だろう、その様子は知らない)。僕は、本に夢中だった。

現在、39歳。いろいろと迷うことはこの先もあるだろう。でも、この本がお守りだ。娘は7歳。今迷っている最中で、この本を読ませてあげたいが、まだ難しい。いつか必要な時に手渡したい。

僕の人生が終わりを迎えるまで、この本には付き添ってもらう予定だ。

*stand.fmさんの機能で、AIによる読み上げを作成しました!


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