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【告知】人種差別と銅像―植民地、記念碑、Black Lives Matter(7月4日)

ポスト研究会第8弾は、ミネアポリスでのジョージ・フロイドさん殺害以降全米のみならず世界中に広がっている、人種差別を生み出した近代植民地主義や奴隷制度に貢献した人物の銅像を引き倒す運動について考えるトークです。

ぽすけん企画 第8弾トークイベント
テーマ:「人種差別と銅像ー植民地、記念碑、Black Lives Matter」
出演者:稲垣健志×高橋進之介×小笠原博毅(MC:竹崎一真)
日時:2020年7月4日(土) 18:00〜20:00
場所:zoom(参加費500円/Peatixより予約受付中

【トークテーマ】
ポスト研究会第8弾は、ミネアポリスでのジョージ・フロイドさん殺害以降全米のみならず世界中に広がっている、人種差別を生み出した近代植民地主義や奴隷制度に貢献した人物の銅像を引き倒す運動について考えるトークです。反人種差別運動の視点からイギリス現代史を研究している稲垣健志さん、日本近代史の周縁からの見直しを唱えている高橋進之介さん、カルチュラル・スタディーズの小笠原博毅さんを迎え、MC竹崎が議論の舵取りをします。

警官によるジョージ・フロイドさんの殺害は、ずっと繰り返されてきた警察による人種差別暴力の歴史の大きな転換点となる出来事です。差別と暴力の日常が、植民地主義と奴隷制の歴史へとはっきり結び付けられたからです。アフリカ系アメリカ人は未だに奴隷なのか?抗議行動は警察の制度改革を求めるのみならず、奴隷制を生み出した植民地主義の見直しを求める運動へと展開しています。

エドワード・コルストンからクリストファー・コロンブスまで、セシル・ローズからベルギー王レオポルドⅡ世まで、ジェームズ・クックからウィンストン・チャーチルまで、植民地主義と奴隷貿易にかかわった人物の銅像が引き倒され、川に投げ込まれ、ペンキを塗られ、撤去や取り壊しに直面しています。植民地経営と奴隷によってもたらされた富を蓄積し発展してきた都市は、そこかしこで歴史を語る記念碑の意味付けの見直しを迫られているのです。

「何を今さら、遅きに逸している」という声もある一方で、「負の歴史を忘れぬために銅像は残すべきだ」という意見もあります。今回のトークでは、この間世界中で起きている銅像の見直し現象を入り口として、以下のような争点をじっくり考えてみます。

1.ストリートで起きてきた警察の暴力的人種差別と植民地主義と奴隷制度をつなぐ回路を作る
2.記念碑としての銅像の意味、銅像を「ない」ことにする行為の意味
3.問題は人種差別と警察の「生」の暴力であり、人種間対立ではない
4.そもそも人種など「ない」。ただ人種差別が「ある」のみ

銅像を破壊するとはどういうことか? 人種差別と人種とは実はどのような関係にあるのか? Black Lives Matterは人種差別をやめさせるだけではなく、人種に基づく思考そのものへの批判的武器となりうるか? 喫緊の危機を歴史的視野に広げて考えるとともに、いま何をなすべきか、できるだけ突っ込んだ議論を展開しようと思います

【出演者プロフィール】
稲垣健志(いながき・けんじ)
1978年愛知県生まれ。金沢美術工芸大学美術工芸学部准教授。金沢大学文学部卒業、ウォリック大学(イギリス)大学院修了、大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得退学、博士(言語文化学)。専門はイギリス現代史、イギリス文化研究。主な論文に「A.シヴァナンダン『新時代のたわごと』にみる新自由主義時代の社会運動」『金沢美術工芸大学紀要』第60号(2016年)、「英語圏の中心でパトワを叫ぶ―リントン・クウェシ・ジョンソンのダブ・ポエトリーをめぐって―」『金沢美術工芸大学紀要』第61号(2017年)、共著に『教養のための現代史入門』(ミネルヴァ書房、2015年)がある。

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高橋進之介(たかはし・しんのすけ)
1985年神奈川県生まれ。中央大学総合政策学部卒業、オーストラリア国立大学大学院修了(PhD in History)。熊本大学大学院先導機構特任助教、神戸大学国際人間科学部助教を経て、2019年1月よりニュージーランド・ヴィクトリア大学ウェリントン言語文化学部アジア学科講師。専門は沖縄現代史、日本近現代史、ディシプリンとしての日本研究、トランスナショナル・ヒストリー。最近は日本近現代史をニュージーランドとの関係から研究している。主な論文に、”Memories of struggles: Translocal lives in okinawan anti-base activism”, PORTAL 16(2): 46-58, 「媒介(カタリスト)としての沖縄戦後史―新崎盛暉著『私の沖縄現代史』を中心に」『PRIME 特集沖縄研究が開く地平』第42号:70‐78頁, 共編著にTransnational Japan as History: Empire, Migration, and Social Movements (with Pedro Iacobelli and Danton Leary) (Palgrave Macmillan, 2016)など。

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小笠原博毅(おがさわら・ひろき)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。専門は、カルチュラル・スタディーズ。著書に『真実を語れ、そのまったき複雑性においてースチュアート・ホールの思考』(新泉社、2019年)、『セルティック・ファンダムーグラスゴーにおけるサッカー文化と人種』(せりか書房、2017年)、『反東京オリンピック宣言』(共編、航思社、2016年)、『やっぱりいらない東京オリンピック』(岩波ブックレット、2019年)他多数。

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竹﨑一真(たけざき・かずま):MC
1989年兵庫県生まれ。学習院大学、東京理科大学等非常勤講師。筑波大学大学院人間総合科学研究科体育科学専攻単位取得退学。専門は、スポーツ社会学、身体とジェンダーのカルチュラルス・タディーズ。論文に「身体とジェンダーの系譜学的思考:J・バトラーをめぐって」(『現代スポーツ評論』、創文企画、2019年)「戦後日本における男性身体観の形成と揺らぎ::男性美(ボディビル)文化の形成過程に着目して」(『体育学研究』、2020年)「戦後日本における女性身体美文化の系譜学的研究:"触発する身体" としての「八頭身」および「美容体操」の登場に着目して」(『体育学研究』、2020年)など。

記事自体は無料公開ですが、もしサポートがあった場合は今後の研究活動にぜひ役立てさせていただきます。