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event report 「本と占い相談室」を終えて

本屋であるポトラに、様々な分野のゲストをお呼びして、本と◯◯(ゲストが持ち寄るモノやこと)のセッションを届ける企画「本と◯◯」。その2回目として、昨日7/30に「本と占い相談室」を開催しました。

イベントの告知に寄せた文章は以下のようなものです。

日々の中のちょっとした「誰かに聞いてほしい!」や、「なんかいつもこうなっちゃうんだよな〜」「これってどういうことなんだろう...」というもやもや。それ、”占い相談室”に持ってきてみてください。

占いを使ってみることは、一つの方法です。一歩下がって今の状況を眺めてみたり、正体がはっきりしないもやもやを違う角度から観察してみたり。本や本屋という場所もまた、通ずるところがあります。その時の自分の直感に従って本を選び、いろんな言葉や考え方と出会って、ふっと道が開ける瞬間があります。

「本と占い相談室」は、そんなあなたの、”今のじぶん”定点観測所みたいな日になるといいなと思っています。

「本と占い相談室」告知分より

ゲストにお呼びしたのは、岡山県美作市東粟倉に住む「やさしいタロット占い*りりか」さん。実は、私、ポトラ店主・諸岡の前職の同僚であり、一時期は同じシェアハウスに住んでいた仲でもあります。

占いをする人と本屋の人、7年前の出会い

前職では、私は会社の事業を色々と(ウェブメディアの運営アシスタント、会社の広報、新規事業のリサーチや立ち上げなど…etc)、りりかさんは主に、会社が行政と組んで運営している”地域おこし協力隊”制度の運営・個々のサポートや、起業家育成事業などを担当していました。

新卒でローカルベンチャー企業に飛び込み、ぐるぐると目まぐるしく焦燥感と感情の起伏の波に乗っていた私にとって、おっとりとした性格で、時折天然な発言で場を和ませてくれるりりかさんは、ふっと心をゆるませてくれる存在でした。
そんな優しいりりかさんには、誰からも頼られる分、求められたことに一生懸命になりすぎるあまり自分のケアを後回しにしてしまう一面があって。一緒に住んでいたときは、遅い時間に帰ってくるりりかさんにご飯を作って待っているのが私の楽しみでもありました。「若葉ちゃん、おいしい〜!」と喜んで食べてくれると、少しホッとしました。

そんなりりかさんが、「私、(今は休んでるけど実は)占いやるんだよ〜」と教えてくれたのは、知り合って少したってからだったと思いますが、”占い”というものに馴染みのなかった私は、ふんわりした雰囲気のりりかさんと、私の固定された占い師イメージ像(全身黒い格好で水晶の前に座っている人)が似ても似つかず、驚いたのを覚えています。

それから、りりかさんが少しずつ占いの活動を再開し、「やさしいタロット占い*りりか」として、ホームページも作ったり、東粟倉のカフェでの鑑定やオンラインでの鑑定を始めると、私の思っていた”占い”とはだいぶ様子が違うことがわかるようになりました。

約7年前、出会った時には同僚であり同居人だったりりかさんと私が、今は占いをする人と本屋の人として、一緒に企画をしていることは不思議で楽しいことだなあと思います。

未来を予想するのではなく、今を観察する占い

今回、ポトラ店主・諸岡も初めてタロット占いを受けてみました!

先に今回の「本と〇〇(占い相談室)」の振り返りにもなってしまいますが、今後この企画では、改めて「本」とのつながりを生むこと、そして「言葉」を大切にしたいと思うようになりました。

今回は、4名のご予約、1名の当日受付、それに私自身を含めて6名が占い相談室に参加しました。そのうち1名の方が申込みの時点で「占い後に本を選びたい」と希望を申し出てくださり、別の方は占いの後に店主・諸岡とおしゃべりをする中で、まさにその方の話題にぴったりな本があることをお伝えすると購入してくださいました。

「本と占い相談室」という企画名もまさに、占いをきっかけに本にも出会ってもらえれば、という意味を込めてのものなのですが、実際にそのシーンを目にし、本屋として一緒に体験させてもらえたことは、頭で考えていたこととは別のものでした。

撮影:青木写真事務所

先に正直に言うと、”占いを受けた”という体験が先にあることで、選書のお手伝いがとてもやりやすかったんです。普段から、本を選ぶにあたって「おすすめはありますか?」と聞いてくださる方や、選書のお手伝いを希望される方は時折いらっしゃいます。ただ、万人に合う本なんてものは存在しないので、限られた時間の中で、その方を知ることから始めなければなりません。初対面の人に「あなたはどんな人ですか?」と聞くのも自然ではないので、「普段どんな本を読まれますか?」「どんな本に出会いたいですか?」といったことをいくつかお伺いするのですが、今回は「占い、いかがでした?」という話から始めることができました。

どの方も、占いによって「こう言い当てられた、こんな結果が出た」というようなことではなく、「普段からこう思ってて、こんなことを感じてて、それが言葉にできて気持ちが軽くなった。楽しかった。」というようなことをおっしゃっていました。これは、りりかさんの占いの特徴でもあると思います。未来を予想する占いではなく、今を観察する占い。

占いを体験した結果、改めて見えてくるのが”今の自分”であるからこそ、その後にその方自身から話される言葉がそのまま、本を選ぶヒントになると感じました。

体験から好奇心という触手が伸びて本に届く

今回は”占い”でしたが、他にもいろんな”体験”が、本を選ぶ入り口になると思います。実際に、普段から本を読み、本屋として約1,000冊の本を選書している私が、何をきっかけに本を選んでいるかというと、生活の中にある小さな体験、一つ一つの延長でしかないと思うんです。体験から触手のように伸びるのは”好奇心”です。気になることをもっと知りたい、のぞいて見たい、考えてみたい、そのことについて人と話してみたい。そういう好奇心の先に届くものが本であって、その好奇心をさらにあらゆる方向に伸ばしてくれるものが本だと感じています。本屋としてそういう現象のようなものが生まれる場所でありたいし、そのもとに人が集まるような場所に育てていきたい、ということを改めて感じた「本と占い相談室」でした。

告知にも書いたように、「本と占い相談室」は「”今のじぶん”を定点観測する日」として定期開催していきたいと考えています。次回の予定は秋頃にと、別れ際にりりかさんとも約束したところです。

そして、熱冷めやらぬうちに、本の周りに人が集まれる企画の定期開催を近日中に告知します。本にまつわる取り組みに馴染みのある方には「読書会」というとわかりやすいかと思うのですが、もう少し参加のハードルを下げられるような、”本”を1つのきっかけに様々な人たちが集えるような会の名前と説明文を考え中です。(もうちょっとで産まれそうな気がします!)
お楽しみに。

最後に、今回初めての試みとなった「本と占い相談室」、記念すべき第一回にご参加いただいた皆様、そしてゲストのりりかさん、ありがとうございました。

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