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短き映画感想文その2『AWAKE』

元奨励会の大学生プログラマが将棋AI「AWAKE」を作り、かつてのライバルで現プロ棋士と戦う映画、『AWAKE』。

あらすじだけ読めばよくあるライバルとの対戦ものである。
が、そうさせないのが主演の吉沢亮とライバル役の若葉竜也の演技力だ。
プログラマと棋士の孤独ゆえの強さ、そして、対局におけるそれぞれの大きな決断に根拠を感じさせる。
終局の2人の表情を見るだけでもこの映画の価値は間違いなくある。

しかし、キネマ旬報1月上・下旬合併号において佐野亨も指摘しているように、「定石を踏み越えるような躍動の瞬間が一度も訪れない」のもまた事実である。
定石に捕らわれない思い切った手を指す主人公に反して、既視感ありありの展開・映像が続くのが退屈でもあった。

劇場には吉沢亮のファンらしき女性の1人客もおり、将棋やAIという興味のない人は割とスルーしてしまうように思えるテーマにも関わらず、間口は広く感じた。
いわゆる「週刊少年ジャンプ的なもの」が好きな人は、はまると思う。

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