当たり前だけれども忘れてしまうこと
YOUTUBEを見ているとこんな動画が流れてきた。
「プロに行ける選手とそうでない選手の違いは?」という質問に対して
渡邊雄太は「努力できるかどうか」と答えている。
言葉にすれば特別なことを言っているようには思えないかもしれないが、努力できるかどうかは本当に才能だと思うし、その差はめちゃくちゃ大きい。
うちのチームはほとんどの選手が中学校からバスケットを始める。年間を通して全員が同じメニューをすることが多い。しかし、同じメニューをしていても3年間で上達する選手とそうでない選手がいる。
もっと言えば、ミニバス経験者であるにもかかわらず、中学3年生になったときには、中学校からバスケを始めた人に簡単に1on1で負けてしまう人もいる。
さらに言えば、ミニバス経験者がたくさんいるにもかかわらず、中学はじめの選手ばかりのチームに負けてしまうチームもある。
この差は一体何なのかというと渡辺雄太が言うように「努力」の差なのだと考える。
ただ、ここで考えを止めずにもう少しこの「努力」について深掘りしたい。
努力とは何か?
環境が全て決める
まず言えることは「努力できるかどうかは環境が大きな影響を与えている」ということだ。
例えば、全国大会を目指しているチームがあったとする。ほとんどの選手が全国大会を目指して練習している。そういう環境にいれば、そこまで意識の高い人でなくても周りに引っ張られて一生懸命やるだろう。
逆を言えば、たとえバスケで上を目指したいと思っていても、周りの選手が「ただ楽しければそれでいい」という考えであれば、努力するのは難しいだろう。
良くも悪くも人は周りから影響を受けてしまうから、「努力することが必要だ」と考えているチームが、つまりは環境が努力できるかを左右するといえる。
これをチーム運営に置き換えると「コーチと選手の方向性をそろえる」ということがとても重要だといえる。つまり、コーチが「全国だ!」と思っていても、選手が「勝ちたいとは思わない」と考えていてはうまく行かない。
コーチのひとつの仕事は「環境を整えること」と言えるだろう。
それは、練習道具や練習場所、時間の確保などの物理的なことだけではなく精神的な環境を整えることを意味する。
だから、バスケットの技術の前に人間性を磨かせることが重要だと思う。
「努力」と感じているようではだめ?
次に言えることは「努力を努力と思っていては成果は上がりづらい」ということだ。
矛盾している。
どういうことか。
努力と聞くと一般的には「つらいもの」「乗り越えるもの」といったイメージがあるはずだ。しかし、このイメージからは「バスケットで努力することはやらされているもの」「しょうがなくやっているもの」という考えしか生まれない。
「夢中は努力にまさる」という言葉があるように、本当に好きでなにかに向かって努力している人は自分がしていることを「努力」とは思わない。
単純に好きでやっているから。行為そのものに魅力を感じているから。
実際にバスケを教えていても伸びる選手は「バスケが好き」だ。
「休んでいいぞー」といっても水を飲んだらすぐにシュート練習やドリブル練習を始める。そういう選手は最初は下手でもいつの間にかうまくなる。
逆に、そこそこできても、できないことから逃げてしまったり、諦めたりするような人はたいしてうまくならない。結局、そういう人にとってはできないことにチャレンジするのは「努力」になってしまうからだ。どこまでいっても「やらされている」からだ。
これをコーチングに当てはめて考えてみると次のようになる。
「バスケを好きにさせれば勝手にうまくなる」
これは、バスケットの指導者なら頭ではわかっているが、なかなか実行に移すのは難しい。なぜなら、下の記事にも書いてあるが「うまくならないと少なくともバスケットを楽しむことはできないから」だ。
まともにドリブルがつけないと試合に出てもすぐにボールがとられるから楽しくない。DFができないと、試合で簡単に抜かれて点を取られてしまって楽しくない。
こういう例を挙げだすときりが無いが、バスケットがうまくならないと「バスケットを楽しみ続けること」はできない。最初のころははじめの経験ばかりだからどんなことも楽しい。ミスしても試合に出られるだけで楽しい。ボールをつくだけで楽しい。
しかし、バスケットの楽しさは試合のなかで活躍することに凝縮されていると私は思う。シュートを決めるたびに会場に響く大歓声。仲間と協力して守って、走って点を決めること。すべて相手がいる試合のなかで起こることだ。
これこそバスケットの楽しさだと私は思うし、その楽しさにやはり触れてほしい。
そういうふうに考えるとコーチは
「バスケットを楽しいと選手が思えるように、選手の心に火をつけて、選手を試合で活躍させること」
がその最大の使命だといえる。
この視点で常に自分のコーチングを振り返ることが必要だと思う。
そう選手が思えるような仕掛けを練習のなかで創っていくことがコーチの仕事だし、「努力」すべき部分だ。
そのために、「練習は試合のつもりでやれ」とか「声を出して切り替え早くやれ」とかいう当たり前すぎることを口すっぱく言い続けることが必要なのだ。
今日の自分にはそれが足りなかった。
選手を育てないと、選手が嫌な思いをする。
選手が嫌な思いをすれば、バスケットを嫌いになってしまう。
結果、チーム全体がバスケットが好きでない集団になってしまう。
バスケットのチームなのに。バスケットがしたくて集まっているのに。
そういう思いを選手にさせないためにできることをやるしかない。
明後日はいよいよ初の大会。どんなバスケットになるか。楽しみ。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
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