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【パワポ研のパワポ資料探訪31】みずほリサーチ&テクノロジーズの「電車の中で座るための戦略とアクションプラン」はすっきりした習作

様々なパワーポイント資料について解説するこのシリーズ。
毎回大変好評をいただけておりまして、おかげざまで引き続きシリーズを重ねられております(好評だった初回Goodpatch様の記事は以下)。

今回も見どころあるパワーポイント資料について紹介させていただきます。
対象とするのは、みずほリサーチ&テクノロジーズ社の「電車の中で座るための戦略とアクションプラン」

https://www.mizuho-rt.co.jp/company/brand/pdf/kaiketsu.pdf

この資料は、同社曰く「アフターコロナにおける電車利用率の上昇。そして、リモートスタイルの勤務や受講に慣れたからこそ、通勤通学の際には「座りたい」と感じる電車利用者が数多く存在することを自主調査から発見。「座りたいけど座れない」その課題の解決のため、みずほリサーチ&テクノロジーズは、全94ページにわたる提案書「電車の中で座るための戦略とアクションプラン」を作成いたしました。その読み応えのある提案書のスライドを抜粋し、電車内をジャック。座るための解決策をテーマとした提案書形式の交通広告を展開いたします。提案書については、みずほリサーチ&テクノロジーズの広告特設サイトで全94ページをご覧いただけます。」ということで、要すれば技術力などを見せつける広告用資料ということですね。大人の本気のお遊び、というような資料になっています。それでも大変参考になるので、今回いくつかのスライドをピックアップさせていただきました。

それでは早速見ていきましょう。

表紙

みずほのコーポレートカラーと曲線を意識したデザインで、シンプルでよいですね。このあとディバイダーでも同じようなデザインが出てきます。同じおしゃれなデザインを使いまわせるのは、決して悪いことではありません。むしろ楽に目を楽しませることができるのでいいことかと。

スコープ定義

この1枚! 無理に情報を詰め込み過ぎず、(おそらく)用意されたフォーマットに箇条書きでつらつらと記載するだけ。この1枚に情報をぎっしり書くタイプの方もいらっしゃいますが、ここはすっきりまとめたほうが読者の頭に入ると言うものです。水色ハイライトと下線のハイライトの使い分けも見事ですね。ちょっと下線の割合が多い気がしますが、それだけ大事な文言だけが並んでいるスライドということです。

アプローチ

この1枚も情報量が少なくてよいですね。基本的には青色の枠のところ(電車利用に関するマクロ分析 など)を見れば十分で、より細かい情報を知りたい人はその下のテキストボックスを読めばよいと。でも細かい話よりも、とにかく「マクロとミクロ分析で戦略とネクストアクションを練りました」ということが画面構成から分かるという点が素晴らしいのです。その上のメッセージ(濃い青の部分)でもしっかりと記載されていますしね。

スケジュール

いわゆるガントチャートですね。細かいことを書くよりも、このチャートを用いれば視覚的にスケジュールがよくわかります。細かく日付を書く場合もありますが、そういうのはエクセルにお任せして、スライドではざっくり矢印をひっぱるだけ、というのはよく見られる手法です。

電車の中での「座りたい欲求」

少しスライドを飛ばして、「背景と目的」章のスライドです。このスライドも他と同じく、情報を必要以上に詰め込んでいないところが素晴らしいですね。こうした円グラフを書くと人は往々にして不安になり、グラフをカラフルに派手にしたり、また余計な補足・注釈を入れたくなります。しかしメッセージである「座りたい人が多い」ということを支えるならば、堂々と取って出しのデータを使ったシンプルな円グラフで表現すればよいのです。

特に、今回のスライドは電車の中吊りなどの広告に使うそうなので、遠目でも見えるように極力文字を大きく、また画面をシンプルにする使命が課されていると考えられます。

少し工夫もあります。矢印で座りたい人の場所を示しているところです。色でハイライトをつけてもよいところですが、矢印で少しキャッチーな画面としていますね。

電車の利用者数および利用距離

この折れ線グラフが並んでいるスライドもシンプルですね。余計なことを言おうとすればなんぼでも言えそうなスライド(例えば、2020年度はコロナ禍で沈んだ など)ですが、そういうことを言う必要はありません。

工夫ポイントとしては、折れ線グラフの線も太く、マーカーも大きいところ。とても見やすいスライドです。

座席に座りたいと思う背景

このスライドも労力が少なくてよいですね。エクセルのように表をまず作ってしまって、そこに機械的に情報を挿入するという作り方は、スライド作成の手間をぐっと減らします。特にこのスライドのように余白を大きく使うとなおよいですね。作成者は余白をみると怖くなるかもしれませんが、受け手は別に余白が多くても気にしません。むしろ見やすいとも言えるでしょう。

電車で座れる確率を上げる戦略

3つの戦略が出てきました。このスライドではごくシンプルに3つ並んでいますが、それで十分でしょう。もっと細かく説明するのは次以降のスライドの任せて、ここでは紹介に留めるためです。

ブルーオーシャン戦略とは

上述の戦略の詳細説明です。ここでは箇条書きで記載するという方法を採用されています。ここはもうちょっと見やすく工夫されてもよかったかもしれませんね。しかし工夫せずとも、黒色の部分だけ見れば戦略の意図は分かるようにはなっています。工夫しても内容は変わらず、言いたいことがより見えやすくなるだけですので、時間がなければこのように箇条書きでも全く悪くありません。

各車両の停車位置

このスライドは逆に気合をたくさん入れましたね。実際に写真やこのようなイラストがあれば読み手の理解度はグっと上がります。ただしコスト(時間や予算)が跳ねあがりますので、使いどころには精査が必要です。この資料全体で、ここぞという場面がこのスライドだったということかもしれません。

エリア別傾向分析

これらと同じフォーマットのスライドが30枚並びます。調査結果が一覧で見やすく閲覧できるというのは、資料に求められる役割の一つです。しかし一枚一枚丁寧に作りすぎると時間がいくらあっても足りないので、このように画一化させたフォーマットを流用するのが一般的かつ、最適解です。読み手もコロコロ紙面が変わると見づらいとさえ思うでしょう。

エグゼクティブサマリー

サマリーのスライドはこのように文字がびっしりで問題ありません。むしろ、そのほうが望ましいでしょう。このサマリーのスライドしか見る時間がない(あるいは見る気がない)人も多いので、情報を細大漏らさず記載すべき紙面です。

会社概要

こういう会社概要スライドはしばしば使うので、このように気合が入った一枚を会社として用意しておくといろいろな資料に使えるので大変便利です。本編とは関係ありませんが、一枚差し込んでおくことのデメリットはほぼありません。

まとめ

習作かつ電車広告で流すということで、余白も含めてシンプルなスライドが多くありました。しかし実際のところ、我が国のスライドは海外のそれと較べると複雑怪奇にも見えますので、このくらいシンプルでもよいでしょう。すっきりしていて分かりやすい、良い資料だったかと思います。同社に発注を検討する人も増えるやもしれませんので、プロモーションとしても大変面白いのではないでしょうか。やはり大人の真剣な遊びという感じで、個人的には楽しく閲覧できました。

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