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「人は人」という言葉の意味

小学生のとき、同級生と喧嘩をした私に祖母はこういった。

「人は人、自分は自分だよ」と。

その時は意味をよく理解していなかったけど、大人になってからもその言葉は忘れることはなかった。

「人は人だから、いちいち相手の言うことをを気にするな」という意味だと思っていて、それで感情の整理ができていた。
もやっとしたことがあっても「人は人」と言い聞かせて、自分を納得させることができていた。


適応障害になって、働き方を見直す必要があるんだろうか…と思い悩んでいた時、友人から「仕事は、お金を稼ぐためと割り切っている」と言われた。

確かにそうかもしれない。そう考えたら気持ちは楽になるかもしれない。

でも、私はそう思えなかった。私にとって仕事は、「好き」「やりがい」と密接に絡んでいて、「お金を稼ぐため」という風に思考を切り替えられなかった。

復職してから、その友人から何度も励ましの言葉をもらった。うれしかった。
しかし、「残業してないよね?」というメッセージが頻繁に届くようになった。「あなたは頑張りすぎるところがあるから、心配している」とも言われた。
友人の「あなたのこと、なんでも知ってますよ」という態度が、心底嫌だった。
ちなみに適応障害の原因は人間関係であって、過労は直接の原因ではなかったので「残業しなければ良くなる」という考えは早計である。

ちょうどその頃、主治医から「環境調整がうまくいけば、良くなりますよ」と励まされて、すごくホッとした。
前のように働けるのだ!働き方を工夫する必要はあるとしても、自分を無理に変える必要はないかもしれない。これまでの自分を肯定された気持ちになった。

仕事への考え方は人それぞれ。環境が変われば、マインドも変わる。正解も人それぞれ。
私は、楽しみながら仕事をしたい。仕事を通じてたくさんのこと得たい。
それは友人とは違う考えだけれど、私にとっては正解なのだ。

ふと、祖母の言葉の意味が、わかった気がした。
「人は人」というのは、相手を尊重するということ。
考えが違う人間がいるのは当然だし、自分と異なる考えを持っているからといって否定する理由にはならない。
友人は、自分の働き方は正しい、と肯定してもらいたかったのかもしれない。

最近、相手の気持ちを察しない人が多いと感じる。
他人を傷つけていることに気付いても、深く考えず、同じことを繰り返す人もいる。
自分を尊重することに熱心で、他者を尊重することはおろそかになっているなと思う。
なんだか悲しいものだ。

他者を尊重することを忘れずにいたい、と思う今日この頃。