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虚空を眺める

▶︎ 再生紙に生まれ変わる前のそれら
▶︎ 綺麗に畳まれるはずの布の山
▶︎ 空虚の入ったペットボトル

▶︎ つづきを読む

選択肢はいくらでもあるのだけれど、
何もかもが選択肢から外れている。

もう、そういう日なのだ。

無音の孤独に耐えられず流すYouTubeもうるさいし
心の内より明るい照明はやたらと眩しい。

昨日の夜は酷かった。

洗い物も少ししたし、ご飯も作った。
でもそれ以上の何かをする気は持ち合わせておらず
動画を流しながらスマホゲームをぽちぽち進める。

楽しくない。

何もかもが、楽しくないのだ。

目の前の動画がつまらないとか、
ゲームが面白くないとか、
そんな単純な感情じゃない。

五感全てを通してわたしに届く、
そのすべてが楽しさを孕まない。

それに気づいた時にはもう、
虚空をぼんやりと眺めていた。

同居人が帰ってきて、
「今、何を考えているの」
と尋ねる。

何も考えずぼんやりと座っていたはずの
わたしの口から、ひとつ、ふたつと言葉が漏れる。

それと同時に、涙がぼろぼろと溢れる。

今の自分にあるものは無から下の何かだけ。

あんなに美味しそうだと騒いで取り寄せた
いちごのケーキも、もうどうでも良くなってしまった。

とりあえず、薬を飲もう。
不安に効く頓服薬と、寝る前に飲む薬。
このまま起きていたところで、
いなくなりたくなるだけだから。

ゲームの電源を落とすように、
わたしはもう「今日」を終わらせた。

ぐっすり寝ることができたら
もう少し違ったのかもしれないけれど、
2,3時間で目を覚まし、寝直すと夢を見る。
また2時間ほどでぐったりと目が覚めて。

その繰り返しで朝を迎えたって元気になれる訳もない。

最近過食気味なのに、なぜか顔がやつれて見える。

この世界から抜け出す攻略本は
一体どこに眠っているのだろうか。


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