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声明文から学ぶカッコイイ文章表現3

公的機関の声明文を参考に、文章表現を学んでいきます。(中級者向けです)

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例9 農林水産省のパリ協定の実施指針について

隔年透明性報告書の」
➤ 隔年の意味は一年おき。こちらも基本的な表現です。「一年ごと」と書くよりもカッコイイです。

「〜を踏まえ、今次会合では
➤ 今次の意味は「このたび、今回」。集まりのことを会合と表現している点もカッコイイですね。

方法論的課題について合意されました」
➤方法論とは、目的を達成するための方法を考え、比較し、最適な方法を選択することです。硬く説明すると「学問の研究方法そのものを論理的に考察し、真理を得るための妥当な方法を探求する分野」です。

「土地利用分野の貢献量の計上を適切に報告する」
➤ 計上とは、一つ一つ挙げて全体の数値に組み入れること。
  会計業務でよく使われ「費用などを全体の計算の中に組み入れること」という意味があります。例として「予算に旅費を計上する」

「政府からの資金提供により追加的に開催された2つの~」
➤ 後から、それに続く形で発生した、という意味。 
 「追加的対策・追加的支援」という言葉でよく使われます。

「12の国・地域・団体が15億ドルの拠出を約束した」
➤ 金銭や物品を互いに出し合うこと。
  会計・経理関連でよく使われます。

進捗追跡のため~」
➤ 進捗とは、その状況の進み具合のこと。
  ビジネスにおいて必須級の単語です。
  ここでは進捗を確認することを、進捗追跡と表現しています。

「~を進めていく意向である旨を発信しています」
➤ 意向とは「心の向かうところ、考え」。
  自分もしくは他人がどうしたいか、思惑を示す場面で使います。
  (例 依頼を出す場面・依頼を受け取る場面)

  旨の意味は「述べたことのねらい、中心的な意味、大事な点」
  既に言及された内容を要約する時に使います。



例10 兵庫県弁護士会の平成25年本試験に対する声明

「国民の生命身体及び財産を擁護する公共的職責を担っている」
➤ 職責とは、仕事で生じる責任のこと。
  「職責を果たす」という表現があります。

「経済的な淘汰にさらされる」
➤ 淘汰とは不用・不適のものを排除すること。
  つまり取捨選択、振るい分けです。

「利益追求に汲々として
➤ 汲々(キュウキュウ)。小事に心をとらわれ落ち着かないことです。
   また、一つのことに心を傾け一心につとめるという意味もあります。
  この単語は言い換えがあまりありません。
  覚えておいて損はないかと思います。

「急激な法曹人口増加」
➤ 法曹(ホウソウ)とは、法律の事務に従事する人のこと。
  裁判官、検察官、弁護士などです。
  法律関連の文書でよく目にします。

「〜を掲げることは、現実性を欠くものであり」
➤ 実現しない、非現実的なという意味。
  少し遠回しな表現です。
  顧客の考え・提案を否定するときに使います。

当面、このような数値目標を立てる事はしないものとする」
➤ 当面とは、しばらくの間。
  具体的な期間で答えられない時に使います。

  数値目標の意味は言葉通り、数値で表した目標です。
  数値化することで、計画や進捗把握を簡単・明確化します。
  そのような場面で使ってください。

「〜の必要があることについては、衆目の一致するところである
➤ 衆目(シュウモク)とは「多くの人の目・観察」。
  つまり衆目の一致とは、大勢の見方・評価が同じであることです。
  世間一般の見解を表す時に使います。

「〜されかねない状況を打破し
➤ 行き詰まった状態を良い方向へ切り開くときに使ってください。

「弁護士を養成する関係を取り戻す事は急務である
➤ 急務とは、急いで果たさなければならない任務や仕事のこと。
  緊急性がある場面で使います。

「司法試験委員会には〜ついて責任の一端がある
➤ 部分的に関与しているということを表します。
  責任や役割について述べる際に使われます。

問題意識を無視したに等しい」
➤ 問題意識とは「問題の重要性を見抜き、その問題に対して主体的に関わり合おうとする意識」のこと。その問題をどう捉え、どのように解決すべきか考えます。

  その他にも「目的意識」という言葉があります。こちらは「行為の目的について、はっきりした自覚」です。自己啓発本でよく「問題意識、目的意識を高めろ」と書かれています。

「委員会の判断に対し遺憾の意を表するとともに」
➤ 遺憾とは、思い通りでなく残念なこと。
  残り惜しく思うこと。
  政治でおなじみの言葉ですね。



例11 国立大学協会 教育・研究委員会の提言

切れ目ない人材育成」
➤ 「継続的」の言い換え

個々にまた総体として有する多様な学術知を結集し
➤ 「個々に」は「各~、それぞれ~」の言い換えで使います。
  「結集」は周囲の協力を仰ぐ時に使えそうです。

「先導する役割を果たしていくために、持てる総力をつぎ込む覚悟である」
➤ そろそろ本気を出したいとき、全力で行動に移すときに活用してください。

それと時期を同じくして
➤ 複数の物事を同時に進める際に使います。

「地方創生の起爆剤ともなる画期的な取組」
➤ 面白い表現です。言い換えると「その事がきっかけとなる、口実・引き金となる」ということです。他にも「契機になる」という表現もあります。

「学術の多様性を狭め長期的には国の産業を弱体化し」
➤ 「多様性を狭める」。捉え方や考え、視野が狭まっていることを指摘したい時に使えます。

  一方「長期的には」は、遠い将来について語りたい時に使えます。

所期の目的を果たし」
➤ 所期とは、期待したり実現したいと思うこと。
  「所期の効果、性能、役割」などとして使われます。
  類語として「所望の~」もあります。

「従来にない柔軟な発想によるものであり、高く評価できる」
➤ 「頭が柔らかい」という表現がありますが「考え・発想」に対しても使うようですね。賞賛する時に活用してください。

「一層活用し、並行してその知的基盤をより強化する」
➤ ~し、さらに~するの言い換え

「人材育成力の伸長を鈍化させる要因」
➤ マイナスな印象を与える言い回しです。しかし、まだ完全にマイナスとなりきったわけではありません。「伸長が鈍化」つまりプラス効果が減っただけで、まだプラスではあります。伸長自体は続いています。そのように表現したい時に最適ですね。

「資金の使途を柔軟にする」
➤ 使いみちです。新しいことを試す場合に「使途を柔軟にする」と使います。

「地域の課題は我が国全体の課題の縮図であり
➤ 例えば社会問題など、課題提示の場面で使われます。

地理的な枠を飛び越して、学際・融合研究拠点への発展も期待できる」
➤ 良い意味で使われます。「地理的な」を別の単語に変換するだけで汎用性が増します。例として「事業の枠を飛び越えて、~という制度の枠を飛び越えて」

「意見を的確に吸い上げ、積極的で建設的な協力を得る」
➤ 意見の吸い上げ。意見を募るということです。
  上司が部下の意見を取り入れる場面が想定されます。

  建設的もよく耳にします。
  有益の言い換えです。

「職員との有機的連携を進める」
➤ 有機的とは「お互いが結びついている様子」を表す表現です。有機体のように、多くの要素から成り立ちながらも、各要素間で密接な関連があり、全体としてうまくまとまっているということです。組織・構造について述べるときに使われます。



引用元:
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/attach/pdf/211115-2.pdf
https://www.moj.go.jp/content/000116588.pdf
https://www.janu.jp/news/10611/

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