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会話の記録4

この日のさらにつづき

「なぜ生きるのか」
「うん。なぜですか」
「生きて行くとはどういうことですか。ゆくって何ですか」
「いく ではないって話?」
「どこに行くんですか」
「ゆく と いくの違いを話してるのかなって思ったんだけど」
「あー違います。でも、ゆく が好きだよ」
「うん、好きそう。行く、ね。どこに行くんだろうね」
「生きていくって、生きて、そして行くってこと?死に向かって?」
「じゃあ、死に行くは違うの?」
「死んだあともどっかに行くのかしら」
「死に行くって死んでないじゃん。生きてるじゃんね。」
「ね、本当だね」
「じゃあ生きていくってことは死んでるってことですかね」
「ん??」
「と考えると生と死は反対言葉ではないということになりますね。」
「反対言葉ではないんですか?」
「そう」
「はじまりとおわりってことか」
「どういうこと?」
「生まれるは…あー違うか。はじまりとおわりの間には何かある?」
「私はアルファであり、オメガである?」

「りんごは好き?」
「きらい。おいしいりんごは好き」
「蜜たっぷりのやつ?」
「もくもくしてないやつ」
「もくもくしてるやつあるよね」
「梨とかみかんは好き。りんごは基本的にはきらい」
「りんご大好き。梨はふつう」
「概念としてのりんごは好き」
「私も最近思い出してたんだよ、いつか君と話したなって。例の代表はりんごだって、例えるときにはいつもりんごが使われるって。」
「うん。そのときのりんごは好きだよ。すごく好き」
「ヨシタケシンスケの『りんごかもしれない』読んでよ。」
「確かにね」
「君、ヨシタケシンスケ絶対好きだと思うんだけどな」
「絶対なのに、思うなんだ」

「冬ってさ、全ての季節の反対な気がしない?」
「また訳のわからないことを言い出した」
「春の反対が冬でもしっくりくるでしょ?」
「それは分かるよ」
「夏の反対が冬でもしっくりくるでしょ?」
「分かるよ」
「秋の反対にもなるでしょ?」
「それは分からない」
「そっか、これは無理矢理か。ちょっと自分でもそう思ったんだ。」
「そう、そんな感じがした。でも訳のわからないことを言ってもさ、どうにかなるときあるよね、捉え方次第で。」
「どうにかってどういうこと?」
「意味が分かるというか、繋がるというか」
「言ってることが何となく分かるって?」
「そう」
「そっか、分かってくれるか」

「ひとりごとって人に言ってもひとりごとなの?」
「誰かに聞かれてたら、それはひとりごとではなくなるんじゃないかってこと?」
「んー、ひとりごとっていうのは一人で話しているからひとりごとなの?」
「でもひとりごとのひとりって、孤独の独だよね」
「そっちなの?」
「あれ、違うの?でも変換で先に出てくるのそっちだよ」
「悲しいね。まあ、確かにね。大勢がいる中で一人だけ話してたら、それはひとりごとだもんね。」
「うん」
「ひとりごと…」
「ひとりごとは人に聞かれたくないなって思う?」
「思わない」
「そっか。ひとりごとを言ってるときに誰かに見られたら恥ずかしいなって」
「思うときと思わないときがある」
「なるほど」
「たまに奇人ぶりたいときってあるでしょ?」
「奇人ぶりたい?奇人のレベルが違うよ、ひとりごとは」
「そうか。ひとりごとの内容を人に言っても、それはひとりごとだよね」
「うん」
「ひとりごとであったことに変わりはないよね」
「そう、だね」
「孤独の独の字を使ってるってことは、やっぱりプラスではないのか」
「孤独の独の字って、マイナス?」
「マイナスなイメージ強くない?」
「まー、孤独はね」
「個人的には好きですけど。マイナスだから好きって感じもする」
「そうだね。ひとりごと…。ふたりごととは言わないもんね。二人いたら、会話になるもんね」
「そうだね」

「小学生の夏休みって神秘的?」
「今思うとそうだけどね。当時は神秘的だとは思わなかった」
「中学生の夏休みは神秘的じゃない?」
「そうだね。小学生の夏休みの方が神秘的な感じがするよね」
「そうだよね。夏休みって小学生のためのものみたいな言葉のイメージあるよね」
「確かに。確かにね。」
「自由研究があるから?」
「自由研究って言葉も小学生みが強いね」
「自由研究で、哲学やればよかったな…」
「ねー」
「自由なんだから」
「ね」
「小学生のとき、自由研究に自由感じてた?」
「いや、義務感があったからね」
「感じてないよね。今自由研究の宿題を出されたら、何やる?」
「何やるかねー」
「もし今自由研究の宿題を出されたら、ワクワクする?」
「ワクワクするね」
「するよね。じゃあ自由研究しよ」
「どうしたらいい夢がみれるか」
「いいよ、じゃあそれやって」
「毎日体勢を変えてみるとか、ルーティーンを変えてやってみましたとか」
「いいね〜」
「昨日はうまくいったけど、今日はうまくいきません。」
「いいね〜」
「もしかしたら夢とルーティーンとは相関関係がないのかもしれません」
「いいね、ぜひやってください」

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