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Vol.7トゥアレグ族の塩キャラバンに密着した映画「CARAVAN TO THE FUTURE」の上映会に行ってきました!

こんにちは!PROCHE編集長のHarukaです。
本投稿では、ドキュメンタリー映画「CARAVAN TO THE FUTURE」を観た感想と、トークショーについてのレポです!


サハラの塩キャラバン


皆さんは、サハラ砂漠で1000年も前から続く「塩キャラバン」をご存知ですか?
塩キャラバンは、3000キロに及ぶ伝統的なラクダ乗りの交易です。

それを営む国家を持たない遊牧民トゥアレグ族は、毎年サハラ砂漠を横断し、ビルマという所で塩を仕入れてから、ニジェール南部まで行って塩を売り、持って帰ってくるのは穀物という自給自足の交易を行っています。

その塩キャラバンを撮影し、映画にしたのが、「CARAVAN TO THE FUTURE」の作者であるデコート豊崎アリサさんです。

デコート豊崎アリサさん プロフィール


豊崎さん(写真右)とのツーショット


ジャーナリスト、写真家、ドキュメンタリー作家。
日本人とフランス人の両親を持つ。幼少期から冒険家の父とアフリカを旅し、サハラ砂漠に出会う。その後、自身のラクダ3頭を保有し、トゥアレグ族の男性のみで構成される塩キャラバンの一員となり、ニジェール、マリ、アルジェリアの砂漠を放浪する。また、トウアレグ族の遊牧生活を支援するため「サハラ・エリキ」を設立し、本物のキャラバンを体験するツアーを主催。2011年3月11日の東日本大震災を機にジャーナリスト活動をはじめ、パリ、東京、サハラ3か所の拠点を行き来しながら取材を続けている。2015年、「ニジェールとウラン鉱山」を取材し、報道雑誌連合組合の調査報道大賞受賞。パリで「ウラン鉱山とトゥアレグ族」の写真展と講演を開催。2016年、ソーラーパネル担ぎ、ドキュメンタリー映画「CARAVAN TO THE FUTURE」を撮影・監督し、3000キロを横断する塩キャラバンの日常を描いた。日本をはじめ、ニジェール、フランスなどで上映トーク会を開催。

Profile

アリサさんは、ドキュメンタリーを撮影するため、ビデオカメラとソーラーパネルを持ってトゥアレグ族と一緒に3000kmの旅をしたそうです。


「CARAVAN TO THE FUTURE」を観て


上映後のトークショー

キャラバンのリアルが映像を通して感じられる作品でした。映画の中の音声(説明)はすべてアリサさんが吹き込んだフランス語で、日本語字幕付きです。自然の美しさと過酷さ、そしてそこで生きるトゥアレグ族の豊かさに圧倒されました。特に、砂漠の中で水が飲めない日が何日も続いたり、日中は50度まで気温が上がったりと、サハラ砂漠の過酷な日々が映し出された映像が印象に残りました。また、上映後のトークショーでは、キャラバンで撮った写真や交易路の説明をしてくださいました。アリサさんのお話を聞く中で、このキャラバンは時代とともに衰退してしまっているという事実を知りました。最近はトラックでの移動もできるようになり、4ヶ月に渡り時間をかけて交易をするキャラバンは徐々になくなっているとのことです。しかし、アリサさんは、このキャラバンが未来に希望をもたらすキャラバンであると仰っていました。そして、このキャラバンが文化遺産として登録されることを切望されていたのが印象深かったです。美しい文化の中で培われた伝統的な交易として、この先も残り続けてほしいと、映像とアリサさんのことばで強く感じました。(Haruka)


トゥアレグ族の生活が垣間見える写真がズラリ

雨の春分の日、電車でいくと時間がかかるので車に切り替えて「たばこと塩の博物館」に向かう。
「たばこと塩の博物館」なるものの存在を知らなかったが、どちらも基幹産業となる、なっていた作物でこういった博物館があること自体が興味深い。
車に切り替えたものの雨と駐車場迷子で結局時間ギリギリに到着してしまったが、上映前には豊崎さんとお話しもでき、ゆっくりと映画を見ることができた。
会社でサハラエリキとのコラボや書籍の販売をしていたので今回の映画の監督の豊崎さんの名前は知っていたが、どういう作品なのかなどは全く知らずに視聴を開始。
まず、ラクダの塩のキャラバンが現在でも存在していることに驚愕した。
アフリカでも主要道路は舗装されていて、作物を長距離運搬するのは当然トラックだと思っていた。実際わたしのよく行く東アフリカでも内陸国から港のあるモンバサやダルエスサラームに向かう幹線道路にはトラックが列をなして走っていて、国境での検査などを別とすれば何千キロあっても数日で移動している。
実際に塩のキャラバンが通る西アフリカのニジェールからナイジェリアの地域でもトラックで輸送されている。それでもなお、塩のキャラバンが続いているのは何故かと理由を映画の上映中考えた。いくつか映画の中で理由が述べられていて、「キャラバンが扱う塩の品質が高い」ことや、「塩とキャラバンが必要とする作物の交換が理にかなっている」こと、「キャラバンの存在と経済活動が地域の民族間の融和を生んでいる」こと、一つ一つは理由として弱いかもしれないが、合わさることでキャラバンの存在意義が生まれていることを感じた。キャラバンの持つソフトパワーが地域に良い影響を与え、消滅すると言われながらも、数を減らしながらも、受け継がれ存在しつづける理由であること、現代だからこそ価値を持つものということをこの映画から伝えられた。また、サハラ砂漠をラクダとともに旅するターバンを巻いた男たちの気高さと美しい映像とともに心に残る記録映画でもあった。
アフタートークではキャラバンのルートやトゥアレグの文化にもっと詳細に触れた。トゥアレグの挨拶の方法、握手をしては離しを何度も繰り返す、これってやめるタイミングはどうやって計るのかなと、取るに足らない疑問も感じつつ、彼らの家族の形や生活習慣に触れた。また、ギャラリーの展示も面白く、トゥアレグの工芸品はどれもすごいデザインで品質も高い。もっと売りたいなと思いつつ、会場を後にした。(Yu)

サハラ・エリキとは

サハラエリキは遊牧生活を支援する協会。
1998年からジャーナリストのデコート豊崎アリサさんはニジェールのサハラ砂漠における塩キャラバン等の様々な旅をきっかけに2006年に「サハラ・エリキ」を設立。サハラリエキはキャラバンの交易、環境問題などについて考え、難題を抱えた遊牧民の支援に尽力している。
2016年にはサハラ・エリキはアリサが単独で撮影した3000キロを横断する塩キャラバンの旅のドキュメンタリー「Caravan to the future」をプロデュース。2015年以降、サハラ・エリキはニジェールのウラン鉱山の閉鎖を要求しているトゥアレグ族のNPOを支持している。2019年12月から「エリキ・ツアー」を10年ぶりに復活し、タッシリ・ナジェール砂漠での旅を実施している。エリキツアーに参加される方は、トゥアレグ遊牧民の文化を保存する活動に貢献している。

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