少子化は「成功」だから止めにくい

この発言👇が批判されているようだが、少子化は批判している人の多くが「正しい」と思うであろう社会変化の帰結なので、自民党政権を批判してもお門違いと言わざるを得ない。

少子化が止められないのはそれが「成功」と表裏一体だからである。

出生率の低下は、精子の数とも、生殖能力について議論する際に頭に浮かぶありきたりな事とも、何ら関係ない。
そうではなく、教育を受け仕事をする女性が増え、避妊がもっと簡単になったことで、女性がより少ない子ども数を選択するようになったのだ。
いろんな意味で、出生率の低下は成功談(サクセス・ストーリー)なのだ。

これに付け加えると、結婚しない/出産しない生き方を選択する女が増えたことも「女性解放」が成功した証である。

重要なのは、解放——生き方の自由化・多様化——は、自発的に結婚しない/出産しない人だけでなく、非自発的・不本意に生涯独身・無子となる人も生んでしまうことである(incelと同じ)。3割が結婚・出産する生き方から外れれば、残りの女が平均3人の子を産まないと出生率は人口置換水準を下回ってしまう。現実的には2人強が精々なので、出生率は「希望出生率1.8」にも届かない1.4~1.5程度になってしまうわけである。

国立社会保障・人口問題研究所
横軸は女の出生年、縦軸は各年齢時点での累積出生率

少子化対策とされる子育て支援拡充は産んだ後の話なので、追加的に産まれる子の数は少なく、国全体の出生率を「希望1.8」に引き上げるほどの効果はない。

成功例と喧伝される兵庫県明石市も周辺自治体から出産予定者を「タダ」を餌にして集めただけなので、国レベルでの少子化対策にはならない。

少子化が止められないとすると、それが根本原因となっている日本経済の停滞・衰退も止められないことになる。

希望が無いようだが、「女性解放」はパンドラの箱を開けるようなものだったわけである。


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