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社会人大学院経験者が語る 大学院修士課程の魅力とは



はじめに

 社会人が大学院で学ぶをテーマに私見を述べさせていただきます。フルタイム理学療法士として働き、夕方や週末などの時間を使用して大学院の学びを進める。ただでさえ、仕事で疲れているのに、一体何を身につけるられるのか!? 受験までの簡単な流れも含めてお伝えさせていただきます。

大学院受験の志望動機は様々!

 大学院で取得できる学位は、修士号と博士号の2つに大別されます。私は、修士号を取得するために2年間大学院で学び、次に博士号の取得に向けた活動を開始しました。  多くの理学療法士さんは、まず修士課程で学びます。
 私自身が社会人大学院経験者、現在は、社会人大学院生を指導させていただく機会を得て6年が過ぎました。この機会に大学院受験の志望動機を抽出してみました。

  1. 自身の臨床経験で生じた疑問を、大学院修士課程で解決したい(課題解決)

  2. 臨床研究ができる様になりたい(研究力)

  3. 自分自身の専門分野を作りたい(専門家)

  4. キヤリアアップしたい(学位取得)

  5. 考え方を勉強したい(思考力)

  6. 人脈を作りたい(ネットワーク)

  7. 敗けたくない(精神論)

 私の場合は、7の敗けたくないということで、受験したいと考える様になりました。今振り返ってみると、恥ずかしく感じる動機ですが、当時はそれだけしか考えておりませんでした。 働きながら大学院を受験しようか考えるわけですから、複数の動機があって良いですよね。 願いは叶う!  

大学院受験までの流れ

  大学院を受験してみようか少し考えたけど、具体的な流れがわからない。相談できる人が近くにいないなどの理由で、現実的な流れを把握しづらい状況にあるかもしれません。ここでは、全体の流れを大雑把に紹介します。

  1. 受験の候補先をリストアップする。各種学会に参加すると大学院に所属している教員や大学院生の発表に触れることができますし、著書や論文などから指導を受けたい教員を考えることができます。職場内に大学院を修了した方がいれば、そこから情報を収集することはとても効果的かと思います。

  2. 指導を受けたいと考えている教員に連絡を入れ、初回面談のお願いをする。自分自身の出身大学の教員である、面識がある教員に連絡することは、抵抗なく進めることができます。私は、専門学校を卒業して理学療法士になったので、いわゆる大学院の教員とほとんど面識がありませんでした。このような状況にある方々は、大学院の教員に連絡を入れる段階で躊躇してしまうのではないでしょうか。躊躇する理由は“メールを入れても無視されるのではないか”、”本当にメールを送って良いものか”、”面識が無いので不安だ”など様々ですが、ほとんどの場合、大学院教員の気持ちを知らないから躊躇しています。大学院教員は、『いつでも大学院の受験希望者から連絡を待っています!』ので、連絡が届くと、とても嬉しいんです😀。 是非、連絡を入れてみてください。

  3. 面談を実施する。最近では、ZOOMやTEAMSなどを使用して遠隔で面談を実施することも可能かと思います。私の場合も、夕方18:30頃から30分程度を使用して初回の面談を行わせていただいています。この面談は、お互いを知るために行われます(指導教員をお願いしたいか、指導教員を引き受ける可能性があるのか)。そのため、自己紹介、臨床経験の紹介、興味がある研究などについて意見交換をしたり、大学院教員の研究を紹介したりします。 面談を何回ほど繰り返すかは、お互いの状況次第かと思います。私の場合ですと、3回ほど面談を行い、自分が指導できる研究分野に興味があるのか、研究分野と臨床実践が関連しているかなどについて相互理解に努めています。

  4. 願書を取り寄せ、受験に向けた準備を開始する。最近では、願書をインターネットからダウンロードできる大学院があります。願書を見て、試験科目、必要書類、締切日などを確認します。大学院でよく提出を求められるのが“研究計画書”になるかと思います。今まで、研究を実施したことが無い方にとっては、研究計画書ってどのように作成していけば良いかわからないということが考えられます。その場合には、面談をした教員や大学院の担当事務に問い合わせてください。私見では、面談を実施した教員と意見交換を行いながら、研究計画書を作成していくことが多いかと思います。研究計画書の書式内に、指導希望教員名を記載する欄があったりします。また、社会人が受験する入試では、プレゼンテーションを求められることがあるかと思います。制限時間以内に、自己紹介、業務内容の紹介、志望動機、研究計画をプレゼンする形かと思います。

  5. 入試を受験する。

いつ学修成果を体感できるか?

 大学院修士課程は、2年間の課程になります。2年間、多くの活動があるかと思います。大学院の授業に参加して、研究デザインや統計学を学ぶなどして専門性を深めていきます。大学院では、大学院生が計画する、調査するなどの活動をプレゼンテーションし、積極的な意見交換を実施していくことがあります。大学院では、多くの機会で学修成果が体感できるかと思います。簡単に思いつくものを抽出してみました。

  1. 先行研究論文を読み、指導教員と意見交換をして考え方を理解できる様になった

  2. 研究倫理審査委員会に研究計画書を添えて申請し、承認を得た

  3. 予備実験を実施した

  4. データ収集を開始した

  5. データ解析を開始した

  6. 学会に抄録を投稿した

  7. 学会発表した

  8. 学会で同じ分野の研究を実施している方と意見交換ができた

  9. 論文を作成して、専門誌に投稿した

  10. 専門誌に論文が掲載された

  11. 公聴会で発表した

  12. 修士号を取得した

  13. 職場内の勉強会で自身の研究テーマを紹介した

大学院修士課程で身につけられること

 大学院での学びは、調査学習、フィールドワーク、対話・議論型授業、プレゼンテーション等のアクティブラーニングが中心になります。職場で明るく患者さんやスタッフとコミュニケーションを取ることができていた私ですが、そこに「論理的に説明することができる」、「相手の状況に併せて、わかりやすく説明することができる」、「わからないことを、科学的な思考を使用して解決しようとする」、「職場内で使用する文章の明瞭さが向上する」、「職場内勉強会の企画や講師が実施できる様になる」、「同僚の症例報告をサポートできる様になる」、「他職種の学会発表を理解することができる」、「他職種と共同して臨床研究を実施する素地ができる」、「研究論文を理解することができる」などがパッと出てきました。
 私が指導させていただく大学院生には、症例報告が大切であるということを伝え、大学院入学時と大学院修了時に症例報告を実施していただいて、2年間の学修成果を内省する機会を設けています。 考え方が変わるということは、想像以上に大きな変化を生むと信じています。

まとめ

 社会人大学院経験者、そして社会人大学院の指導教授という立場から、大学院修士課程の魅力と題して、紹介をさせていただきました。 山を見るといい景色だなと感じます。その山を登山していくと、外から見ている時には気付けなかったことに気づき、楽しく、山頂に到達した時には至福の時間になるかと思います。
 社会人が社会人大学院で学ぶ、楽しく学んで、満足していただきたいと思います。満足したところで学びを止めるということも、社会人だからことできる自由な学びではないでしょうか。 記事を読んでいただき、ありがとうございました。また、お会いしましょう。

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