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大学教員をはじめる方のために(1)傾聴・協調


#仕事のコツ

はじめに

大学教員の仕事はやり甲斐があります。そして、大学教員はある程度の裁量があります。ただし、大学教員を始めたばかりの方は、その裁量についての解釈を誤る事例を見てきました。当事者は、口を揃えて“新人なので何もわからなくて”とおっしゃいますが、そのうち2割から3割の方は試用期間(3ヶ月)を終えても、その発言を繰り返します(笑)。それが1年続くと、同僚から孤立し始めることがありますので、大学教員マナーの「傾聴と協調」について述べることにしました。

自律心があり自分の意見を持つ方が大学教員になる

ほとんどの大学教員は、そのポジションを獲得するまでに相当な努力をします。大学院で学び、先行研究を多読し、研究を実施し、国際学会発表、国際誌に論文を発表することは非常に労力がいることです。努力家が大学教員になるわけで、自律心と自分の意見を持っていることが当たり前です。ですので、キャリアを歩み始めたばかりであってもガンガン意見を主張する方が多いのも事実です。ただし、「環境」を理解せずに、ガンガン意見を主張していることに気づく方は、少ないのが現状です。

  • 努力家の集団が大学教員組織です。あなたの努力家としての側面は、否定しませんが、あなたよりも努力家の方で構成されているのが大学教員組織です。

  • 大学教員組織は、アカデミックな内容について相当な議論を実施しています。あなたの提案や意見は、過去に議論を終えています。あなたは改善するため、斬新な意見として主張するかもしれませんが、大学教員組織では斬新な意見として捉えられることはほとんどありません。

  • 大学教員組織は、洗練された戦略的思考も含めて思考力に卓越性を有しています。あなたも将来は、卓越した思考力に到達します。ただしその道のりは、長いものです。卓越した思考力を分析して、自分の思考力の弱みを特定してください。あなたの2倍、3倍思考力が高い状態とは、どういうことなのか理解をしてから発言しないと、聞き手になる方の思考力に届く意見にはなりません。

  • 決して経験を鵜呑みにするな、ただし経験を参考にせよというように、大学教員組織を覗いてみると、大学教育歴10年、20年、30年とある先達者が多く在籍しています。授業方法や学生面談そして研究推進力をとってしても、相当な努力と経験を有しているはずです。その経験から、大学教員組織は改善を重ね、重厚感を増す思考力、実行力を高めています。その環境であなたは働いているということに気づいてください。

だから仕事は傾聴に始まり協調に終わる

大学教員組織は、伝統があり重厚感ある教育・研究特殊部隊であるという話をしてきました。ただし、新人大学教員の方は、教育・研究特殊部隊の集団が大学教員組織であると気づいている方が少ない状況です。

そのためだと思いますが、新人大学教員を見ていますと、次第に孤立するのではないか?と思うことがあります。私は、気づくと優しく意見交換をしますが、その改善率は5割に満たず、半数以上が共同プロジェクトを実行することが難しい状況になってしまうと感じています。

  • 他者からの認識も含めて自己分析することができない人

  • 他者にお伺いするのが苦手な人

  • 他者の価値観を理解できない人

  • 個人研究だけしかできない人

  • 誠実さがまだ弱い人

  • 隣の研究室と近所付き合いができない人

私は、これを防ぎたいと思っています。なぜなら、そのような教員にも生活があり、そして努力家の側面があるからです。個人で進める研究も、良く分析してみると一人で実施した研究はほとんどありません。それに気づくことができるだけで、気持ちが穏やかになります。単著で執筆した原著論文でさえ、誰かの気遣いがあって成立しています。

”自分は支えられて今がある”
”自分も目立たないサポータになる"

そんな視点で大学教員組織の一員になれば、不満を抱くことよりも好奇心や挑戦心に満ち溢れた日常を過ごすことができます。そのような仕事における発想の転換は、プライベートにおいても穏やかに自分らしく生活をすることに寄与すると考えています。 

  • 傾聴に徹することもはじめは必要です

  • 全てに協調してみると、自分の思い込みが誤っていたということに気づきます

  • 徐々に可能性を広げるため、発想の転換をしてポジティブに考えてくだい

  • オープンマインドで思考してください、それが思考力向上の近道です

  • 教員組織の各教員の役割と仕事内容を理解してください。そして組織としてどこに向かっているのか理解しようとしてください。

  • 教員組織のサポーターになってください。そうすると、あなたの魅力も増して、あなたのサポーターが増えます。

  • 学生、教職員、保護者、地域の方、学会等でエンゲージメントしてください。そうすると、価値観の醸成が期待できます。

おわりに

みなさんのキャリアが成就していくことの一助になれば、幸いです。幸せな思考により、幸せな人生を送ってください!では、またお会いしましょう。

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