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「三配り」の思い遣り

心を動かす何気ない「三配り」

当たり前の生活

日本のおもてなしは、
自然さ、何気なさ、さり気なさ
と言う心を重視します。

同時に
おもてなしは一つの付加価値であり、
心温まる洗練された日本の美学です。

そこには、
温かい人の心が通い合うさり気ない
気配り、気遣い、心遣いが大切です。

其の一つに、
その場・その時・状況を弁え臨機応変な
応対、対処をする心身の活動があります。

それはお客様の意向・状況・雰囲気を
一早く察知し、さり気なく其の場造り
に気遣いすることです。

以前のテレビ番組「田舎に泊まろう」で度々
見られたように、お見え頂いた初対面の
お客様をもてなす側に立つ主人や奥様は、
手伝いに来てくれた人達を上手に動かし、
主人やお客様を含めた人の動きの流れを
そっと見守っているなどがありました。

また、来客に失礼や不行き届きが
あってはいけないと考えて行動し、
お土産を持たせる場合はそれを
決して忘れてはいけないなどと、
色々なことに気配りをしていました。

その客人とゆっくり話し込んだりする
ことも出来なくても、もてなす心は
人一倍忘れないで目立たぬように
行動すると言った場面が見られました。

同時に、
気を遣っていると客人に感じさせる
気の遣い方(配慮)ではいけないと考え、
人手が足りないお店の状況であっても
お客様に寛いで頂けることに気遣いし、
走り廻る姿も見られました。

訪問した客人が、帰る道すがら
「ああ何と心の和むもてなしだった」
「また、此処に来たい」と感じる
さり気なさがある心の通う日本人ならではの
おもてなしの心身の活動はとても大事です。

常に相手の身になり想い考え、
 相手に要らぬ気遣いをさせない
 それこそが日本独自のおもてなし】


そこにお客様に対する思い遣り(配慮)、
ユーモアのセンスや共感共有の態度に
その人の人柄が表れます。

人柄を表わすめためには、
もてなす人の心の温もりが何より大切で、
それは相手の立場になって想い巡らし
考えることで幾らでも補えると思います。

例えば宴会の場合、
どういう趣旨や目的でなされるのか?、
誰を励ます会なのか、見合いの席か?、
どなたかのお祝い、喜寿の祝いか?、
そう言うことを一早く察知することです。

励ます会であれば
主人公の気分が高揚するように神経を配り、

お見合いの席であれば、
本人同士が相手に良く映るように目配りし気遣う、

喜寿の祝いであればお肉などにお年寄りが
食べ易く包丁を入れるよう調理場に伝達する。

と言ったことで、
日本のおもてなしと接客サービスは、
類似点は有りますが別のものです。

また、おもてなしに大切なことは、
お客様を決して待たせないことです。

お待たせするとそのお客様や相手は
いらいらし徐々にあら探しを始めます。

要は、待たせることでお客様を益々
⊖要因に導かないことが肝要です。

そのためには、知恵を絞り、
要領良く、敏速に提供すること、
即ち、一挙手、一投足の仕草の中に、
自然で、繊細な気配り・気遣いと、
ある種の美しさであると思います。

その一つにお客様(客席)と調理場
とのパイプ役を果たすことがあります。

今、お客様は挨拶をされているとか、
会話が深刻になっているから料理を提供
するのはもう少し出すのを控えて欲しい
などの報告や連絡を随時調理場に入れます。

また、お客様同士が、込み入った会話を
している時には料理に手をつけられません。
料理が冷えてしまうことになり兼ねません。

提供する飲食物は温かいものは温かい内に、
冷たいものは冷たい内に召し上がって頂く
と言うタイミングがとても重要です。

同時にいつもお客様の前を整然と綺麗に
美しく見えるようにすることを考えて、
お客様の前にものを出す時はお客様に併せた
美しい仕草(所作)で提供することも大切です。

それは、お客様が席を立たれた時などに、
食卓上を美しく整然として置く何気なさ、
床が食物や飲物が落ちて汚れていたら
サッと拭き取っておく目配り・気配り・手配り、
お荷物が汚れないように布カバーなどをかける
と言う気遣いの行動を手早くさり気なくすること。

また、お水を沢山飲まれる方にはデカンタ
をそっと置いておくことも気遣いの行動です。

入店時・立席時の別なおもてなしとして、
靴やコートが濡れていたり汚れている時は、
さり気なく手入れをして置くと言う心遣い
はお客様の心に温かな余韻を与えます。

美しく素敵な仕草は、お膳の持ち方、
グラスの置き方、ボトルや瓶の持ち方、
お酒やワインの注ぎ方、その際の手と
指先の向きや添え方、差し出す角度など
と言った身のこなし方が自然に流れるように
流暢である心の表れる所作から生まれます。

あるお店では、食事提供マナーに
決められた通りではなく、場面に応じて
飲物も食事も、全てお客様の右側から出して
食べ終えてないお料理を左の方に寄せていく
と言う方法で接客をしているお店があります。

それはマナー違反と言われる方もいると
思いますが、そのお店では自然な形を
重んじ整然とし、見た目に綺麗にすれば
良いという配慮で実施しています。

あちらこちらに飲食物を置かず、
お客様の体に当たらないようテーブルの
上は一定の方向に流れる様にして置く
サービス活動に※五配りをしています。

その時々の方法は、
店舗内の客席(客室)の造りや状況、
席の都合に合わせその都度変えて、
お客様へおもてなしをしています。

このような事例から判るように、
自然な姿、さり気なさ、何気ない心遣いを
原点とする「日本のおもてなし」は其の場
にピッタリな臨機応変さが求められます。

※五配り
=目配り・気配り・心配り・手配り・身配り

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