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留学中の妊娠・出産はなぜ禁止?官僚の留学制度改善を求める提言を人事院に提出

日本の政策の高度化を図るという目的で、霞ヶ関には人事院による長期海外留学制度(正式には「行政官長期在外研究員制度」)があります。制度の存在自体は素晴らしいことですが、①対象者が入省10年未満と、実質的に女性官僚の出産適齢期と重なるという点、また②留学中の妊娠・出産が認められていないという点をはじめ、制度・運用における課題が多数ありました。プロジェクトKでは、令和4年4月13日、事前に行ったアンケート結果と併せ、この改善を求める提言を人事院に提出しました。

怒涛の勢いで寄せられた、悲痛な声

当該の留学制度が、国際畑を目指す女性のキャリア形成の阻害要因となっているのではないかと考えたプロジェクトKは、令和4年2月21日、facebook上でアンケート調査を実施しました。具体的には、主に以下の2点において賛否を問うとともに、その他の課題を問いました。

① 対象者が入省10年未満の職員となっている点
② 留学中の出産が制度上認められておらず、結果的に選考期間から留学中において事実上妊娠・出産ができない点 ※(調査時点)

このアンケートでは245名の方から回答をいただき、そのほかにもさまざまなケースで留学をされた方のインタビューもさせていただきました。想像以上に反響が大きく、調査開始初日から、目を疑うような実情、女性官僚の方々の悔しさ、憤りが滲み出た悲痛な声が続々と寄せられました(勇気をもって答えてくださった個人が特定されないよう、ここでは具体的な内容は伏せさせていただきます)。

人事院に提言を提出。大きな前進も

アンケート結果を踏まえプロジェクトKとしての提言書を作成し、同4月13日、人事院の西人材局長、西研修推進課長、小島派遣研修室長に提言書を提出しました。

女性にとって出産か留学(キャリア)かを選択せざるを得ない状況となっていることを考慮いただきたい旨をお伝えするとともに、実際に留学に行っている職員たちのリアルな声をお届けしたところ、「各省の人事課や秘書課からの要望を聞く機会はこれまであったが実際の職員の要望を聞く機会はなかったので、今回のように集めてくれるのはありがたい」「我々だけではできない話もあるし、今の段階で何ができるかは言えないが、関係者に共有しながら改善できるところはしていきたい」といった前向きなコメントをいただきました。

これに先立ち、令和4年2月22日、人事院ツイッターにて、産前・産後休暇を取得しても留学継続できること、および、留学応募資格の在職期間に産前・産後休暇や育児休業の期間は含まれないこと、が発表されました。
人事院の中でも問題意識は以前からあったとのことで、それが実際に制度改善に反映されたことは、大きな前進と言えます。

人事院HPより「派遣研修の対象」

追ってプロジェクトKの当該制度に対する提言について公開するとともに、引き続き人事院の動向に注目していきたいと思います。

<トップ画像のメンバー>
左から、人事院西課長、プロK北川、プロK紺野、人事院西局長、人事院小島室長


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