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キュビスムの革命性

国立西洋美術館の「パリポンピドゥセンター キュビスム美の革命展」に行って来た。
元々会期ギリギリで行くつもりであった。
そのため、小野正嗣の日曜美術館を見てからの訪問となった。
キュビスムの何が革命的なのか。
それはアダプテーションを止めたことである。
模倣(イミテーション)をしないということ。
過去の絵画世界からの断絶。
過去の絵画を如何なる意味でも解釈しないこと。

世の中は、凡そ模倣から出来ている。

池澤夏樹によれば、「創作は、常に先行するあまたの作品の上に成立するものであり、実はその依存の度は我々がふだん考えているよりずっと大きい。敢えて言えばすべての創作は本歌取りであって、このシステムの全体を伝統と呼ぶのだ。創作において個人の才能の寄与はまことに限定的である。独創的とか個性的とか、そんなものは表面の意匠にすぎない。」

佐藤=ロスベアグ・ナナ編『翻訳と文学』、みすず書房、2021年3月、書中池澤夏樹「編纂・翻訳・創作ー文芸論の序説のためのメモ」より。

創作自体が創作であるとしたら、それは異次元の世界である。その異次元の世界にぽっかり浮かび上がったのが、ブラックであり、彼とザイルで結ばれたピカソである。この2人の絵がキュビスムである。そうはいうもののブラックにも発想源があった。それはセザンヌであった。また、彼らの後に続く無数の芸術家達が彼らの模倣をすることになる。

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