ソレって一体どんなモノ
こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。
「“経営者目線”を持って仕事をする社員がいないんだよね」
こんな話を経営者の方から聞かせてもらうことがとてもたくさんあるんです。
そんな話を聞かせてもらう度に、自分が以前会社に勤めていた頃によく言われた言葉を思い出します。
「もっと経営者目線を持って仕事をしなさい(意訳)」
こんなことをよく言われました。
自分が会社を経営する今になってみると、確かに“経営者目線”なるモノをあの当時は持ち合わせていなかったのは間違いありません。それについては反省しています。
ただ、こうも思うんです。
そもそも、一介の勤め人に対して、その人間を雇っている経営者(&経営層)が「経営者目線を持て」と言うのはあまりにも無理があるんじゃないだろうか?あまりにも都合がよすぎるのではないだろうか?と。
もちろん、この「経営者目線を持て」という言葉が“親心”から発せられている部分もあるんだとは思います。
例えば、「一介の勤め人だとは言っても、経営者目線を持って日々の仕事に取り組むことで、ただやらされていると思いながら仕事をするよりも得られるモノがたくさんあって自分自身の成長につながるんだよ」という“親心”とか。
そんなところから発せられている可能性も万に一つあるのかもしれません。
もし仮にそうだとしても、やっぱり「経営者目線を持て」というのはあまりにも無理筋だと思うんです。
もちろん、たまたま事業承継問題に直面している企業だったり、役員候補を探している企業だったりすれば経営者目線を持って仕事をすることで“経営層”になれる可能性が出てきたりして、そのメリットが享受できる場合もあるとは思いますが、それは“運が良い特殊ケース”でしかありません。
それに、そんな特殊ケースに該当する会社であれば、経営者から言われずとも既に“経営者目線”を持って仕事をしている従業員がいる可能性も高いでしょう。
でも、そんな特殊ケースに該当しないのであれば、「経営者目線を持て」というのはやっぱり無理筋です。
何しろ、“経営者目線”を持って仕事をしたとしても、特に何かに還元されるわけでも経営者になれるわけでも無いからです。
そもそも、その“経営者目線”というモノを持って仕事をしているかどうかは誰がどうやって判断をするんでしょうか?
経営者が該当する人の仕事ぶりを見て「アイツは持って仕事をしている。ソイツは持たないで仕事をしている」なんて事わかる程、果たして一人一人を見ていることができるんでしょうか?
仮にもし「見てわかる」んだとすれば、なぜ“経営者目線”とやらを持っていない人に対して「どうすればソレを持てるようになるのか?どうやって実践すればよいのか?」をレクチャーして、その行動をとってもらうようにすることができないのか?それができないのに「見てわかる」とはどういうことなのか?
そんな数々の疑問が湧いてきますし、その疑問が解消するような答えを見つけることはちょっと難しいのかもしれないとも思っています。
身も蓋も無い話をすれば、経営者からしてみると自分が経営する会社の中に自分と同じような“経営者目線”を持って仕事をしてくれる社員がいてくれたら、こんなに楽なことはありません。何しろ、自分がいちいち何かを言ったりやったりしなくても、同じような視点から先回りをして「本来なら自分がやるべき仕事をやってくれるかもしれない」わけですから。
だけど、“経営者目線”を持った仕事ができるのは、本質的には「その会社の経営者だけ」であるはずです。
そうでなければ、「その会社の経営は他の人がやってもいい」わけですし、「他の人が経営をしても目的が果たせるなら、その経営者の存在意義は無い」ということになるからです。
逆に言えば、“経営者目線”を持って仕事をしている社員がいたとしたら、その社員はいずれ退職していく人なのかもしれません(もしくは、いずれその会社の経営者におさまる人なのかもしれません)。
そんな事を考えると、「“経営者目線”を持って仕事をする社員がいないんだよね」という嘆きにも似たこの言葉は、その会社がある程度の平和な日常を過ごせているということなのかもしれないなぁと思えてきます。
様々な中小企業の経営者が口にする「社員に経営者目線を持って欲しい」というこの言葉が意味するところは、本当は別の言葉で言い表せるのではないだろうか?
最近はこんなことを考えることが多くなってきています。
これを問いにして投げかけたとしたら、一体どんな答えが返ってくるんでしょうか?そのうちどこかで投げかけてみようかなと思います。
あかね
株式会社プロタゴワークス
https://www.protagoworks.com/
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