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それでは心を燃やして参りましょう

こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。

先日、とても嬉しい事がありました。
それは、僕達が組織開発で関わらせてもらっている企業での出来事です。

その企業では、外部メンターとして社員さんとの1on1もやらせてもらっているんですが、とある社員さんから「会社が前と比べると変わってきて働きやすくもなってきたけど、自分のいる部署はまだ具体的に何も動いていない」という主旨の話をしてもらいました(もちろん聞いたそのままの話は書けませんので意訳したり加工したりして書いています)。

その方のいる部署では幾つかの大きな問題がドデーンと存在していて、その方も含めたほとんどの方々がそれに気付いている感じではあるんですが、それを“誰か特定の人の動き”でどうにかするという事はほぼ不可能で、時間をかけながら“みんなで動く”事でしか解決できないような類の問題ばかりなんです。

つまり、「各々のリーダーシップが発揮されなければ問題が動き出す事は無いが、仮にリーダーシップを発揮したところで、その問題が一気に解消されるわけではない」というような事が、大まかに、ボンヤリと、なんとなく、誰もが気付いているような状態です。

何人もの社員さんがいる中で、その方、仮にAさんとすると、Aさんはメンタリングでの対話の中で「各々のリーダーシップが発揮されなければ~」という事にいち早く気が付きました。

そして、1on1での対話を重ねる中で一緒に考えていきながら辿り着いた「まずは自分の身の周りのすぐ手の届く範囲についてやってみる案」を実践したことで、誰よりも真っ先に「問題が少しだけ解消の方向に向かって動いた」という実感を得ていた方でした。

そうやって実践をする事で、それまで対話を重ねて一緒に考える事で見えてきた“問題”は単なる妄想じゃなくて実際に存在していて、それが“組織全体”や“仕事のクオリティ”や“自分自身の働きやすさ”やその他さまざまな事柄に悪影響を及ぼしているという事や、それらがどんどん良い方向に動いて言っている事について実感を伴って見えてきたようでした。

だけど、外部の僕からすると少し心配な事がありました。

Aさんが取り組んでくれているのは「自分の身の周りのすぐ手の届く範囲“だけ”」であって、“それより外側に存在している事柄”については、見えていて気が付いてもいるはずですが、それについては一切触れないままでした。

もちろん、“本当に見えていないし気が付いていない”という可能性についても考えてはみるわけですが、もし仮にその“外側に存在している事柄”が見えていなくて気が付いてもいないんだとしたら、そもそも「自分の身の周りのすぐ手の届く範囲」についても見えないし気が付いていないはずなんです。

例えて言うなら、「自分、お腹をシックスパックにしたいんでジムで筋トレはじめたんです」と、しっかりトレーニングメニューを組んでトレーニング記録をつけながら週5日の筋トレを実践していつつ、一方で“食事”については一切の知識や情報を取得する事をしないままひたすら大好きなラーメンやジャンクフードを食べ続けて、一向にお腹は割れてこないまま。そんな状態がしばらく続いているような感じかなと。

※ジムに通って週5日の筋トレをしっかりメニューを組んで実施している場合、トレーニングメニューの内容とそこまでのトレーニング記録と体の変化について聴かせてもらうと、大まかに「トレと栄養についてどの程度の知識を持って実践しているのか」はトレーニング実践者であれば大体見えてきます(僕の観測範囲では)。

当然ながら、1on1の中でも度々“外側に存在している事柄”(上の例え話しで言うところの“食事”にあたる部分)の話に触れてみたりもするんですが、その度に、スルリと交わされたり、シャッと断ち切られたり、ササッと別の話にすり替えられたりしてきていました。その頃のAさんは、会社や自分の周りの状況変化をたくさん感じられていた頃で、「目の前が明るくなっていく真っただ中」という話の内容が多く、“外側に存在している事柄”に着手するタイミングはそこでは無いと判断をしていました。

その状況がしばらく続いていた中で、ようやくやってきた本人からの「会社が前と比べると変わってきて働きやすくもなってきたけど、自分のいる部署はまだ具体的に何も動いていない」という、言って見れば「変わってきているはずなのに自分のとこだけ停滞感がある」という旨の申告です。

僕からすると「キタコレ」的な状態です。

そこですかさず、例え話しの“食事”にあたる部分の“Aさんの外側に存在している事柄”について触れてみました。すると、想像通りまたもやスルリと交わそうというリアクションだったので、今回ばかりは「逃がさんぞ!」とばかりにしっかりと深追いしてその話題を続けました。

すると、今までとは違った反応をしてくれたんです。

その時の反応を要約すると、「それはわかっているけど、具体的にどうすればいいのか?」というモノでした。

そう質問してもらえた事が、僕にとってはとても嬉しかったんです。

「どうすればいいのか?」と質問してくれるということは、「どうにかしたい」という気持ちが多少なりとも在るという事に他なりません。

当たり前ですが、「どうにかしたい」と微塵も感じていなければ、1on1の状況において「どうすればいいのか?」と質問をするという事は起きません。その気持ちが自分の中に無い状態にもかかわらずこれを質問するという事は、「相手に(を)〇〇を(に)してやろう」と意図的に質問を投げかけるという行動を起こさないと出来ません。

自分の中に“いつの間にか湧いてくるように自然に”浮かんでくる質問なのか、そうでは無くて、相手に対して何らかの働きかけを行う意図を持った質問なのか、それを見分ける事が出来るのはその後に何らかの変化が起きた事後である場合がほとんどですが、こうやって話をしながら瞬間的に、「ああ、Aさんはどうにかしたいと思っているんだなぁ」と感じる事も時々はあったりするんです。

そうして、“それ”について分かっている事や僕の視点から見えている事や対応策として考えられる事などについて話をしたところ、これまでとは全然違って、しっかりと受け取って貰う事が出来ました。

どうして「しっかりと受け取って貰う事が出来た」と認識したのかと言えば、Aさんから「それ、ちょっとやってみます!」と約束してもらう事が出来たからです。

Aさんから先に言い出してくれた約束なので、ここについては「しっかりと受け取って貰う事が出来た」と認識するのが最適な解釈だと思っていますし、今のところそれ以外の解釈をする妥当性は無いんじゃないかなとも思っています。

この時にAさんが約束をしてくれた事柄が、実際にこれから実践されるかどうかは今のところわかりません。

実践してくれるのであれば次にお会いする時にその話を聴けるんじゃないかと思っていますし、実践しないのであればこれはこれで次にお会いした時に「なぜ実践出来なかったのか?」という話を聴けるんじゃないかと思っています。

そして、そんな風に話が進んでいくのであれば、その先に繋がっている未来では確実に今よりも「Aさん自身とその周囲の問題は少しでも解決していく方向に良くなる」という事が、今の段階でもう既に明らかになっています。

だって、この“問題解決のPDCA”はもう回り始めてしまいましたし、既にそれが効果を発揮しはじめているのが、Aさん自身にも見えていて感じ取れていて「やらなくちゃ」と思えていて具体的な策があって、更に、期限や目標を握ってしまっている状態です。
やれば確実に「動く」のがわかっていて、それが「動かない」ことに不安や不満やストレスを感じているのであれば、もう選択肢は一択です。

もちろん、その「一択の選択肢を選び取る」というのを実際に“やる”までは、それがどれだけ大変でハードルが高く見えるのかという事もよくよく理解はしています。だからこそ、もし仮に“やる”が出来なかったとしても、それはそれとして「出来なかった理由」を一緒に分析して次の機会を作れば良いわけです。

そういう、「痛みを伴うのがわかっていても前に進む覚悟や勇気」というモノが、ここまでの数か月に渡る1on1でのやり取りの中でしっかりと見えていましたし、ここにきてそれがググっと強まったのも感じていました。
Aさんが「心を燃やした」瞬間を目撃したような感じです。

だからこそ僕は、「Aさん自身とその周囲の問題が少しでも解決していく方向に良くなる事が既に明らかになっている」と捉えていますし、それは間違い無いと考えているんです。

僕は“行動”をとても大切な要素だと捉えていますが、それと同じかそれ以上に“気持ち”や“感情”もとても大切な要素だと捉えています。

「嬉しい」も「覚悟」も「勇気」もみんな物理的には目に見えませんし、いくらだって偽ったり誤魔化したりする事もできるでしょう。

そして、それらの目に見えない“気持ち”や“感情”は、必ず“行動”に現れてきます。これは誰であっても例外無く必ずです。

練習や訓練を重ねれば“気持ち”や“感情”が「まるで“行動”に現れていないかのように振る舞う」という事は可能になるという事もわかっていますが、それでも必ずどこかしらや何かしらの“行動”には表れてしまうのは人間としてどうにもならない部分です。

もしかしたら誰から見ても完璧に振る舞う事で“気持ち”や“感情”が表れていないかのように見えていたとしても、目に見えないからこそ“感じる”という部分で受け取る事が出来てしまうのも“気持ち”や“感情”の特徴だと考えています。

だから、僕は「そういうのって伝わるしわかるよね」という事を前提にして組織開発や1on1などの仕事に取り組んでいます。

Aさんのような変化を目の当たりにしたりすると「マジでこの仕事していて本当によかったぜ」と心から思いますし、嬉しくて嬉しくて、話の詳細な部分まで書く事が出来なくていつも以上にわかりづらい内容になってしまうであろう事がわかっていても、どうしてもここに書きたくなってしまって、自分の気が済むような形になるまでキーボードを打ち続けてしまいますし、ここまで書いてきてようやく満足した感じがしてきたのでこの辺りで急に終わりにしようと思います。

ここまで読んでくれた方に、ほんの少しでも「ウチがやっている組織開発や外部メンターの内容」が伝わったり、「あの瞬間の僕の嬉しさ」が伝わったり、「この広い世界の片隅の関東平野の端っこに在る業界では老舗と呼ばれる中小企業で毎日忙しなく働いているAさんという一人の方が、覚悟を決めて勇気を出して心を燃やして己の壁に立ち向かう様子」が伝わったりしてくれたら、また一つ嬉しい事が増えるよなあ、なんてことを想像しています。

今度会ったら、「煉獄さん好きですか?」ってAさんに聞いてみるのもありかもなあ。


あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/

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