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目の前で起きていることから考えよう

こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。

「普通に考えればわかるでしょ。それをしたらどうなるかなんてさ」

Aさんが巻き込まれた出来事について、一通り話をしてくれた後に言っていた言葉です。

大雑把に言うと、「Aさんと仕事上での関わりのあるBさんが、Aさんに対して行った言動の結果引き起こされた様々なトラブルに巻き込まれてほとほと参ったんだ」という話でした。

その話を聞きながら、僕も確かにAさんが冒頭で言っていたような事を思いながら話を聴いていました。

でも、話を最後まで聞いてみると、どうやらこれは「普通に考えればわかるでしょ」というような話の内容ではなさそうだと思えてきました。

確かにAさんの言う通り「普通に考える」ことによって、「もしも、“それ”をしたらどうなるか?」という予測をすることは可能なはずです。

例えるなら、「自分が渡りたい横断歩道の信号は赤で、その横断歩道が描かれている車道には左右のどちらからもビュンビュンと車が行き交い続けている。そんな状態の横断歩道を走って渡ろうとする。そうしたらどうなるか?」そんなイメージの「普通に考えれば、どうなるかわかる」というような内容です。

もちろん、この状況を思い描いてみると、「いやぁ、その横断歩道は渡らないでしょ」と考えるのが冒頭で言うところの「普通に考える」ということなんだろうと思うんです。

でも、現実的にはそんな想像を易々と越えて来るような事例はたくさんあるわけです。

子どもであれば「転がっていったボールを追いかけて」信号に関係なく車道に飛び出すこともあるでしょうし、同じような感じで、「目の前の車道の向こうの歩道を歩いている友達を見つけて走り出して」とか、「散歩していた犬のリードが手から離れてしまい走り出した犬を追いかけて」とか、「まだ渡れると思って点滅している青信号で渡り始めて途中で赤信号になってしまう」とか、そんなイレギュラー事例が思いつきます。

そんな「普通に考えると起きないであろうこと」が現実ではそれなりにたくさん起きています。

ということは、「普通に考えればわかるでしょ」と言ってしまうのは、ちょっと乱暴すぎるんじゃないかなと。

そして、「普通に考えたけどわからないから、イレギュラーな事例が起きている」とういわけでもないはずなんです。

イレギュラーな事例が起きている背景には、「“普通に考える”という工程がすっ飛ばされてしまうようなことが起きている」と考えた方がすんなりと理解しやすいんじゃないかと思っています。

上に挙げたイレギュラーな事例のほとんどは、ちょっと考えてみても「じっくりしっかり考えた末に行動した結果ではない」と思えるものばかりです。もちろん、ここに事例をそういう事例ばかりを上げているからというのもあるでしょうけど、もっとゆっくり時間をとってこの辺にある事例を考えたとしても、結果的に「普通に考えたらわかるでしょ」と思ってしまうような出来事が起きた経緯については、実際には「普通に考える」という工程が存在していないケースがほとんどだと考えた方が話の筋が通りやすい事象ばかりだと感じています。

そもそも、「自分が“それ”をしたらどういうことが起きるのか?」ということを事前に考えて想定してから行動していれば、「普通に考えればわかるでしょ」と他者から言われるようなことを起こすことは無いハズです。

だって、「普通に考える」ということができるのを前提にしているということは、「その場・その状況でしか、わからない・気付けないこと」等の“特殊な状況”では無いというのが前提の話になっているわけです。「普通に考える」と言ってるわけですから。

つまり、多くの人が「どこにでもいる普通の人たちの誰もが導き出すことのできる簡単な想像をするだけでわかること」という話なはずなんです。

でも、そうではない状態が起きてしまったのが“現状”です。

であれば、そもそも、「普通に考えるということができない状況・状態にあった」と考えるのが最も合理的なんじゃないかなと思えてきます。

そうやって“前提”になっていることから考え直してみると、「なぜ“それ”が起きたのか?」と考えることで立てられる仮説は、この出来事の本質に迫っていくような内容に変わっていきます。

もう既に起きてしまったアクシデントについて、「普通に考えればわかるだろ。それをしたらどうなるかなんてさ」と言っていることは、実際にはこの“現状”について「役に立つこと」なんて何一つありません。トラブルに巻き込まれて、それを言っているその人の気持ちだって晴れるはずがないし、そのトラブルを巻き起こした本人だってどうしようもありません。本当に、何一つ、何の役にも立たない言葉だと思っています。

それよりも、今目の前にあるこの“現状”から考えてみて、そもそも自分が立脚していた“前提”から考え直してみる。

そこからはじめて、本質に迫っていき、その本質を見極めるための仮説を幾つも立てて実証していく方がよっぽど「役に立つこと」なんじゃないのかなと思っています。

実際に、そんなことをしてみたことで、このトラブルにまつわる“本質”に迫っているであろう仮説を立てることができましたし、その仮説をベースにすると、今後起きるであろう出来事の想定もある程度はできました。

起きてしまった出来事については元に戻すことはできないので、Aさんの不満の解消にはつながらなかったかもしれませんが、少なくとも、Aさんが「Bさんは、なぜこんな行動をしたのか?」については理解と納得をすることができた様子でしたし、そのせいなのか、それまでに抱えていた“Bさんに対する怒り”もある程度収まった様子だったので、まあ一応良かったのかなと思っています。

「普通に考えたらわかるでしょ」

確かに僕もこんな言葉を使っていたこともありますし、今でも色んなところでよく聞く言葉ですが、今目の前で起きているこの“現状”から考えてみれば、こんな言葉を言ったところで何にもならないし、自分も含めて誰の気持ちもスッキリしないので、こういう言葉は使わずに、まずは目の前の“現状”からスタートして“そもそも”から考えていこうとあらためて心に決めました。しょうがないよね、だって、もう既に起きてしまっているんだから。


あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/

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