その発生源を突き止めろ
こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。
「職場の先輩も後輩も、自分で何も考えないくせにすぐに色々聞きに来るから全然仕事にならなくてウザイんだよね」
先日、知り合いと会った時にこんな話をしてくれました。
その知り合いAさんは、話を聞くところによるとどうやら職場の中でも“エース的存在”として目されているようで、役職としての本来の仕事以外にも様々な仕事が回ってくるらしくいつも忙しくしている様子でした。
そんな状況の中で、さらに自分のすぐ近くの席に座っている先輩が「Aさん、これってどうやるんだっけ?」的なことをしょっちゅう聞きにきたり、同じくすぐ近くの席に座っている後輩が「Aさん、あの件なんですけどどう進めていったらいいでしょうか?」と何についても聞きに来るようでした。
ちなみにAさんは、その先輩の部下でもなければ、その後輩の上司でもないという立場だそうです。
そんな仕事に追われて忙しい状況の中でも、聞かれたことについては時間がある時にはちゃんと対応しているそうですが、時間が無い時にはあまり取り合わないこともあるそうです。
「そんな状況について、とてもストレスを感じている」という話がこの時の話の概要でした。
Aさんの職場では今年の4月に人員異動があってから、会うたびにこれと同じ話をずっとしているので、今まではただただ聞いていたんですが、5か月が過ぎてもまだ同じ話をしていたのでこんな話をしてみました。
「もう5か月も同じ話をしているけど、その先輩も後輩も“自分で変わる”っていうのは難しいんだと思うよ。何しろ、“自分で変わる”ってことができるのであればこの5か月の間に、と言うか、異動してくるよりもっと以前にでも変わる機会はいくらでもあったんだと思うんだよね。Aさんはどう思う?」
そんな質問をしてみたところ、しばらく間が空いた後に口を開きました。
「でもさ、マジであの二人がうるさくて仕事にならないんだよ。ホントに毎日毎日~」
どんなことを考えて話をするのかと聞いてみると、またもや全く同じ話が延々と続きます。
他者と話をしていてこうい状況になることは、そんなに頻繁にはありませんが、かと言って「とてもレアケース」というわけでもありません。ただ、こうやって話がループする状況は僕が仕事で関わる人の中ではあまり起きません。
なぜなら、仕事として話を聞く場合には「今よりもっと働きやすくなるために」というテーマが必ず存在しているからです。
テーマがあると、話がループしていたらそのまま「話がループしています」と伝えて話の流れを修正したりできるので、相手がただ思い付くままに好きな話をしてもらうという感じにはなりません。
でも、Aさんは僕の知り合いで、特に「仕事の相談がしたいからアドバイスが欲しい」なんて言われてこの話を聴いているわけではありません。ただ会って、話をするタイミングがあったから聞いているだけです。
だからこそ、Aさんは「自分の話したい話をしているだけ」なんだと思いますが、僕は僕で「自分自身の学びや仕事の糧にするために話を聴いている」わけであって、「あなたの気が済むまで延々と話を聴きますよ」なんていうボランティアをしているわけでもなければ、サンドバッグとしてそこにいるわけでもありません。それに、これまで何度も聞いてきた「何も状況が変わっていない職場の話」は特に聞いていても面白いものでもないですし、そこにAさんの何らかの働きかけがあったのかどうかを知りたかったんですが、ここまで聞いていた限りではAさんがこの状況を変えようとして何らかの働きかけをしたという話はありませんでした。
Aさんは、ただただ「自分がいかに現状にストレスを感じているのか、どれだけ不満に思っているのか」ということを伝えたいだけなのかもしれません。だから、ただただ聞いてあげて「わかる~、マジでムカつくよね~」って同感してあげるだけでいいんだってことなのかもしれません。でも、僕は特に同感できませんし、このAさんが感じているストレスは、先輩や後輩が作っているものではなくて、Aさん自身が自分で生み出しているモノだと考えています。
なぜなら、Aさんの先輩も後輩も、Aさんという“仕事ができる人”に何かを質問してきているということは“わからないことがある状態”だから「この人ならわかるんじゃないだろうか」と思ってAさんに質問をしてきています。そして、Aさんはそういう質問をされることについてストレスを感じているわけです。「そんなことくらい自分で考えたり調べたりすればわかるだろう」とAさんは思っているからこそストレスに感じるわけです。仕事の中での“真の問題”とか“真の課題”についての相談だったら、それが“真の問題”だとわかる人からすれば「こりゃあすぐに対応しないとヤバイぞ」と思うわけですし、「そんなの自分で調べれば~」と思うということは、Aさん自身は質問についての答えを持っているわけです。その状況であれば、教えてあげたり、もう二度と聞かれないように仕組化したりということをすれば自分のストレスは減らせるわけです。もちろん、「何でそんなことを自分がしなければいけないのか?」という疑問は湧いてくるでしょうが、別に「しなければならない」ということではありません。でも、それをしないからこそ“今の現状”として先輩と後輩の言動にストレスを感じているわけですし、そのストレスを「嫌だ」と思っているわけです。つまり、Aさんが「何もしない」という選択をとっているからこそ発生しているストレスともいえるわけです。
そんなわけで、Aさんが自分自身の行動によって“今の現状”を変えていくことはすぐに出来ちゃうんだろうなと僕は考えています。
だから、こんな話をAさんに伝えてみました。
そしたら、Aさんは「嫌だ」と不機嫌そうに言ってこの話はそれで終わりになりました。
きっと僕の話した内容に“怒り”を感じたんだろうと思います。
以前「“怒り”が湧いてきた時は困っている時だ」という話を聴いたことがあって、よく怒っている自覚のある僕からすると、その話がとてもしっくり来たんです。
それ以来、「怒っている人は、何かに困っている人」だと思って眺めてみると、その人の困りごとが結構ハッキリみえてくるようになりました。
もちろん、僕が話をした後のAさんも“なにか”に困ったからこそ“怒り”が湧いてきたんだと思います。
Aさんがこれから職場でどんな選択をしてどんな決断をしてどんな行動をするのかは、(もう二度と無いかもしれませんが)またAさんの話が聞ける機会があったら聞いてみようと思います。
そして、今後は誰かの“仕事の愚痴”を聞く時には「あなたの働きやすさについて一緒に考えるために話を聴くということでいいですか?」と事前に確認をとってみようと思います。
あかね
株式会社プロタゴワークス
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